帰り道デート
「おつかれー」
『おつかれー』
お互いの仕事終わり、駅で待ち合わせ
スーツ姿を見るのは初めてじゃないのに疲れてるからなのか、それとも周りの明るさのせいなのかちょっとかっこよく見える
「ご飯食べた?」
『まだーめちゃお腹すいた!』
「何食べたい?」
『んー…オムライス、とか』
「えー」
『え、嫌ならいいよ』
「嘘だよ、いこっか」
こんなどうでもいい会話でさえ楽しい私は重症だなぁ
なんて思いながら近況報告を兼ねた夕飯
話題は尽きないけどそろそろ…
どれだけ話してるんだってはなしなんだけど笑
「そろそろいく?」
『そーだね、いこっか』
またしばらく会えないんだろうなぁ…
寂しいなんて言ったところでこの人はわかってくれないんだろうけど
こんな風に疲れてても会ってくれるだけ幸せよね
『あ、私ちょっと行きたいところあるんだけど』
「どこ?」
『こっちー』
この間インスタで見た駅近くのイルミネーションの場所、確か来週までだったんだよねー
「え、すごい」
『でしょ?ちょっともう時期外れなのかもしれないけど』
そこにはちょっとだけどキラキラした道が広がっていてちょこちょこ仲よさそうに歩くカップルたち…って一応私たちもか
付き合ってるはずなのに友達みたいで、それで満足なはずだったんだけどなぁ…
「どうした?」
なんでこういう時に限って気づくのよ
いつも全然わかってくれないくせに…
『…ちょっといい?』
「なに?」
『………嫌だったらごめん』
絶対わかってないこの人の目を両手で塞ぐ
身長差ない私たちは私がヒール履くと私の方が目線が少しだけ高くなっちゃう
今までは絶対自分より背の高い人としか付き合わない!ないんで言ってたのに…
「え、なに、怖いんだけど」
…はらたつ
「…え」
手を外してあげた
『キスされるかと思った?』
私がこの人の唇に当てたのは右手の指二本
ちょうど唇っぽく当ててやった笑
なんて、ほんとは拒絶されるのが怖かっただけ、勇気が出なかっただけなんだけど
「ちょっとね、びっくりしたよ」
『ちょっとしたサプライズってことで、帰ろっか』
そこはキスして欲しいんですよーわたし意地っ張りだから言えないんですよーなんて言えないから先に駅に戻るわたし
次会う時にはわかってくれてるといいなぁ