1 5-5 15-30 さもしいのが好き
ボーディングブリッジで搭乗する飛行機に向かう途中で、ずんぐりむっくりとした機体が見えてきました。
オール二階建てのA380に乗って、乗り継ぎ地であるバンコクへと旅立ちます。
しかし、飛行機に乗る度にいつも思うのですけど、お酒を飲む人と飲まない人とが同じ運賃というのが、なんか納得がいかない。
ラウンジでも機内でもそうですけど、お酒を飲む値段も運賃に含まれていますよね?
まさか、航空会社が慈善事業で、お酒をタダで乗客に振る舞っているはずがありませんしね。
普通に考えたら、そのお酒の代金は航空運賃に跳ね返ってくるのです。
お酒を飲まない、また、飲めない人は、なんか不公平に感じるぞ。
私の場合は、法的にもまだお酒を飲めない年齢なのに、運賃は大人と同じ値段だから尚更そう思えるのですよ。
シャンパンやらワインやらをガブ飲みしている人を見ると、「ああ、この人はさもしいんだな」とかって、どうしても思えちゃうんですよね。
おまえら、普段、自分が身銭を切って飲む場合でも、同じ様に高い酒をガバガバと飲むんかい! とか、思わず突っ込みを入れたくなってしまいます。
お酒好きの人がタダ酒の気分でガバガバと飲んでいるのか、または少しでも元を取ろうとして飲んでいるのかまでは、分かりませんけど。
お酒のサービスは、ビジネスクラスの料金に含まれているのだから、お酒を飲むのは当然の権利ではあるのだけど、なんか納得がいかない。
まあ、私もラウンジで乞食をするのは好きですので、あまり人のことをどうこう言えた義理ではないのですがね!
私は、さもしいのが好きなんだよ。文句あるか?
しかし、お酒を飲まない乗客の運賃を一万か二万ぐらい下げろと、航空会社には愚痴を言いたい。
ちなみに麻生さんは、お上品に嗜む程度に飲んでいたのを、麻生さんの名誉のために付け加えておきます。
きっと麻生さんは育ちが良いのでしょうね。私とは大違いだよ。
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成田を夕方の五時半に飛び立ってから、およそ七時間弱で、バンコクのスワンナプーム国際空港に到着しました。
やはり、ジェットエンジンを四発搭載しているA380は、他の双発機に比べて若干速度が速いみたいで、予定よりも少し早くスワンナプームに着陸することができました。
ただいまの時刻は、タイ時間で夜の十時半です。日本時間でいえば、夜中の十二時半ですね。
つまり、眠いです……
ウィーン行きの便は、夜中の一時半に出発の予定であります。つまり、日本時間で夜中の三時半に出発なんだよぉぉ!
これから出発までの三時間、眠いのに寝るのを我慢しなければならないのですよ。
でも、眠いから寝る。
「麻生さん、寝ててもいい?」
「ええ、時間になりましたら起こしますので、休んでいて下さい」
「じゃあ、お言葉に甘えて、お休みなさ~い」
毎度お馴染みになってきたけど、どうやら私が飛行機を乗り継ぐ場合は、こんな夜中の便ばかりみたいなのです。
唯一のメリットは、寝るのを我慢していた分、飛行機が離陸したら直ぐに爆睡できるので、ヨーロッパの現地に到着しても、時差ボケが少なくて済むということでしょうか?
ママは一足早くヨーロッパへと行ってますから、今回のTGでバンコク乗り継ぎを選んだ犯人は、麻生さんで決まりですね。
まあ、出来るだけ飛行機代は安く済ませたい。でも、長距離の移動でエコノミークラスは嫌だ。そんな感じで飛行機のチケットを選んでいくと、どうしても乗り継ぎ便になってしまうのでしょうね。
ちなみに、バンコク~ウィーン間で搭乗する機材は、B787-9とのことです。787-8じゃなくて良かったよ。TGだと787-8の場合では、ビジネスクラスでもアブレストが、2-2-2の配列のはずですしね。
787-9だと、1-2-1の横四列のアブレストになるので、それだけ一人当たりのスペースも広くなるのです。
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「やっと着いたー!」
「今回は大会が開催される場所も、空港から近くて助かります」
横浜の自宅を出てから、丸一日以上。成田を飛び立ってからも、二十二時間。やっとこさ、オーストリアの首都である音楽の都、ウィーンへとやってまいりました。
オーストラリアではありません。ノーカンガルーの方のオーストリアです。
TGのビジネスクラスは、食事も美味しかったですし、まずまず良かったと思います。
若干、食事の量のボリュームが少なかったのが残念ではありましたが、欧米系以外のキャリアのビジネスクラスで出されるコース料理だったら、こんなものなのかも知れませんね。
ちなみに、タイ料理は、前菜の前に出てくる突き出しのサテだけを頂きました。
あまり、辛いモノを食べると、普段食べなれてない分、お腹の調子とかもおかしくなりそうなので、あえて食べないようにしているのですよ。
試合の当日に下痢とかシャレになりませんし、食事も体調管理の一貫という訳なのです。
入国審査では、早朝のため開いているゲートが少なかったので、並んで待っていたのですけど、そこに通り掛かった空港の職員か入管の職員だかに、何故だか、シェンゲン協定加盟国用のイミグレの方へと案内されたのは謎でしたけど。
日本のパスポートは、フリーパスみたいなモノなのでしょうか?
ウィーン国際空港に降り立って、そこから車を西へと走らせること三十分あまり。ウィーンの中心部からは、南南西に約15km。
ウィーンの郊外にある、メードリングという街にやってきました!
このメードリングで、インターナショナルスプリングボウルG2大会が開催されるのです。
いやー、テニスの試合会場が空港から近いと、楽でいいですし、ホッとしますね。
それで、ドローを見てみますと、ヨーロッパの各地から選手が集まっている感じがしますね。オーストリアは地理的に、さすがはヨーロッパの中心だけのことはあると思いました。
でも、肝心の開催地であるオーストリアは、自国の選手がワイルドカード以外では、本戦に出場すらしていないだなんて、それでオーストリアはいいのか?
もしかしたら、オーストリアでは、あまりテニスが盛んではないのかも知れません。有名な選手もあまり聞きませんしね。
隣国のチェコはテニス大国だし、同じドイツ系のドイツやスイスもテニスで強豪選手を輩出する国なのに、オーストリアは違うだなんて、少し不思議な感じがしますね。
このあたりの、ヨーロッパ各国のスポーツ文化の違いというのを調べてみたら、意外と面白そうな気もしますね。
変わったところでは、南米のコロンビアやニュージーランドの選手がいます。
あれ? このニュージーランドの子って、二月に私がオークランドのG3大会の決勝で対戦した相手だったよ。
そう考えると、ジュニアサーキットの世界は広いようで、意外に狭いと感じさせられますよね?