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1 3-3 40-15 ウェリントン日本人ジュニア女子会

頭からっぽの方が夢を詰め込めるって誰かが言ってた。

つまり、想像力は無限大!


「げぇ! ドローに庭野環希の名前があるじゃん!」


「ちゃんとエントリーリストにも載ってたよ。見てなかったの?」


「基本、自分がダイレクトイン出来るかどうかしか見ないからなー」


「ローマ字だと、同じ日本人の名前は読み飛ばすよね」


「アルファベットと言えアルファベットと」


「しかし、アノ化け物も、ついにジュニアサーキットデビューかぁ」


「ついに、来る時がきたって感じだね」


「わたし、去年の全日本ジュニアで庭野に完敗してるんだよなぁ」


「それ、あたしも」


「なんで、庭野がU16に出てくるんだって思ったよ」


「そうそう、せめてU14に出てくれよって思ったわー」


「こっちくんな、あっちいけってヤツだね」


「あはは、そんな感じ」


「小学六年でU14は優勝したから、中一ではU16だったんだろうなぁ」


「中一でも12才だったし」


「12才に負ける中三と高一と高二」


「U12に出ろよ」


「でも、庭野は早生まれじゃにゃいから、U14が下限だね」


「じゃあ、U14に出ろよ」


「U14は用済みだったんだろ」


「もう既に、U16も用済みだけどね」


「ということは、仮に今年も庭野が全日本ジュニアに出るとしたら、U18ってこと?」


「出るとしたら、そうなるのかな?」


「13才でU18に出場かよ……」


「信じられない」


「庭野ってマジで、バケモンだな」


「うん、顔は可愛いのに、やることが鬼畜すぎるわー」


「二人ともダブルベーグル食らってたな」


「アンタだって、2ゲームしか取れなかったじゃないのよ!」


「でも、誰かさんと違って、ダブルベーグルは食らってませーん」


「ぐぬぬ」


「性格わるー」


「庭野とアンタの試合見ていたけど、あの時の庭野ってなんか試していたよ?」


「そういえば、そうだった…かも?」


「試合中に練習されてたから、2ゲーム取れたとか?」


「あはは、手抜きされてやんのーだっさー」


「やかましい!」


「しかし、国内公式戦無敗だもんなぁ」


「でも、さすがにITFジュニアでは、どこかで負けるでしょ?」


「まあ、いつかは負けるだろうけど」


「それは、此処ウェリントンでないことは確かだな」


「ニュージーランドの三連戦でも負けなさそうな気がする」


「大会のグレードが、G4とG3だしねー」


「庭野が負ける姿が想像つかないわ」


「あの里田ですら、庭野には勝ててないのでしょ?」


「うん、勝ったこと聞いたことないよ」


「里田ってランキング何位だっけ?」


「66、いや、65位かな?」


「65位かぁ。あたしにとってトップ100は、まだ遥か先だよぉ」


「でも、そのランキング65位にいる里田が、庭野に勝てないということはだな……?」


「庭野環希の実力は当然、65位以上ということでーす」


「だよなー」


「ですよねー」


「13才でもう既に、65位以上かよ」


「ちょっと信じられないよね」


「でも、それが現実なんだよー」


「しかも、今日がジュニアサーキットデビュー戦という」


「もう笑うしかないね」


「笑えばいいと思うよ」


「でもね、現実はもっと非情なんだよ」


「ん? どういう意味で?」


「実は、坂巻さんも庭野には勝てないのでしたー!」


「マジで!?」


「うそ! 萌香先輩も勝てないの?」


「うん、真面目な話だよ。坂巻さん本人から聞いたもん」


「ありえねー」


「坂巻って今ランキング何位?」


「38位だよ」


「トップ50入りは、夢のまた夢だー!」


「諦めたらそこで試合終了だよ」


「地道にコツコツと頑張んなきゃ」


「つまり、そのランキング38位にいる坂巻が、庭野に勝てないということはだな……?」


「庭野環希の実力は当然、38位以上ということでーす」


「だよなー」


「ですよねー」


「13才でもう既に、38位以上かよ」


「ちょっと信じられないよね」


「でも、それが現実なんだよー」


「しかも、今日がジュニアサーキットデビュー戦という」


「もう笑うしかないね」


「笑えばいいと思うよ」


「なんか、さっきと会話がループしてるよ」


「でも、庭野だったら全豪ジュニアに出ていても、いい線行きそうな感じがするわ」


「あたしも、庭野だったらQFぐらいまでなら、楽に行けそうに思うわー」


「SFは固いんじゃね?」


「それは、ドロー次第だろうね」


「ジュニアでも、ランキングの上位五人ぐらいは、バケモノ級でしょ?」


「バケモノ同士の頂上決戦てか?」


「庭野が化け物を相手にして負けると思う?」


「うーん、いい勝負はしそうだけど、勝ち負けまでは分かんないなぁ」


「私は、庭野はジュニアでは負けない気がするわ」


「あたしも、なんとなくそんな感じがする」


「というか、全部、わたし等の想像でしかないのだけどね」


「まあ、そうなんだけどさー」


「それを言ったら、身も蓋もなくなるという」


「だよねー」


「すまん、野暮だったか」


「でもこれからは、海外のジュニアも庭野の理不尽さを味わうのだと思うと、同情するよ」


「わたしは、不幸を共有できて嬉しいかな?」


「うんうん、みんな理不尽な存在というのを味わったらいいんだよ」


「庭野に叩きのめされて、絶望に打ちひしがれる金髪美女とかを想像したら、ゾクゾクしちゃうね」


「あたし、それを見たら濡れちゃうかも」


「あんた達、性格悪いわよ」


「黒い笑みを浮かべるって、こういうことなんだね」


「約一名は、恍惚とした表情になってるけどな」


「でもさ、庭野だったら、いま直ぐインターナショナルぐらいなら勝っても、わたしは別に驚かないぞ」


「さすがにそれは、盛り過ぎでしょ?」


「いや? ありえそうだから困る」


「まあ、なんと言っても、アノ庭野だからなー」


「そうだよねー」


「庭野なら、14歳でグランドスラムに出場できるんじゃないの?」


「さすがにそれは、盛り過ぎでしょ?」


「うんうん」


「それは、笑えない冗談だな」


「笑えばいいと思うよ」


「でも、過去には14歳でシニアのグランドスラムに出場した選手もいたじゃん」


「まあ、確かにそうなんだけどさ」


「早熟の天才ってヤツだな」


「うんうん」






 ※※※※※※






「庭野の試合終わったよ!」


「庭野が勝つのは当然として、内容はどうだったの?」


「ドーナツ二つ!」


「マジで!?」


「うん、マジで」


「デビュー戦で、いきなりダブルベーグルかよ……」


「庭野なんだから、わたしは驚かないぞ」


「あの子だったら当然あり得るしね」


「対戦相手って、一応シード選手でしょ?」


「第7シードのオージーだったな」


「ランキングも500位ぐらいの子だよ」


「わたし、その子と過去に対戦して負けてる」


「私とたいしてランクが変わらない相手に、ダブルベーグル食らわせるとか、笑えない冗談だな」


「笑えばいいと思うよ」


「アンタ、さっきからそればっか」


「笑顔は大切だよ。生きるためのエナジー! 明日への活力!」


「まあ、そうなんだろうけどさ、なんか小馬鹿にされてるような気がするわ」


「スマイル、スマイル! ほら、笑って」


「なんかムカつく」


「あはは」


「わたし、順当に行ったら、庭野と三回戦で当たるんだよー」


「終わったな。ドンマイ」


「あたしはQFで当たるよー」


「終わったな。ドンマイ」


「私はSFで当たる予定だけど、その前のQFが厳しそうな感じだな」


「終わったな。ドンマイ」


「そういうアンタは、どうなのよ?」


「あたいは庭野とは反対の山だったから、ファイナルまで当たらないよ」


「いいなー」


「悪運の強いヤツめ」


「ドロー運が良いと言え、ドロー運が」


「しかし、決勝まで勝ち進めるとは誰も言ってない」


「あはは、そりゃそーだ」


「君たちは失礼なヤツだな」


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