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1 2-1 30-0 訪問の目的はなんですか?


 いつの間にやら季節は巡り、気が付いたら、夏になっていました。

 そう、小学生中学生のバカンス、夏休みに入ったのです!



「やっと着いたー! 疲れたよー! 眠いよー!」


「環希、はしたないから大人しくしなさい」


「へーい」



 でも、日本時間では夜中の1時を回っているんだし、こっちの時間でも夜中の0時を回っているのだから、眠いのは事実なんだよ。

 普段ならば、とっくに寝ていて夢の中の時間なのですから。


 これは、飛行機の便を選んだママの選択ミスの気がしないでもありません。

 現地への到着の時間が悪い便ということですね。



「What is the purpose of your visit?」


「I came to sleep」


『はははっ、確かに子供は寝る時間だな』


『娘が寝ぼけていたようで、すみません』


『お母さんですか? パスポートを拝見します。お嬢ちゃんはもういいよ。グッナイ』


「good night~」


「環希はそこで待ってなさい」


「Yeah~」


『……マドカ・ニワノ? あのダブルスの?』


『ええ、まあ』


『シンガポールにはテニスの仕事で?』


『ジュニア選手のコーチとしてですけど』


『そうでしたか。グッドラック!』


「Thank you」



 成田から飛行機に乗って、約七時間。

 マーライオンの故郷、シンガポールへとやって来ました!


 なんで、羽田の方が近いのに、羽田を使わなかったのかだって?

 だって、羽田便は少しお高いですやん。


 ママだけとか家族だけとかだったら、また違ったのでしょうけど。

 今回の旅行でのママの役割は、私の保護者だけではなくて、他の未成年者の引率者の役目もあるのです。


 でも、成田便だからといって、LCCとは違いますよ? れっきとした、レガシーキャリアの航空会社の便を使っております。

 レガシーキャリアだと、ちゃんとマイルも貯まるしね。


 しかも、座席はエコノミーかと思っていたら、プレミアムエコノミーでした。

 小市民的な喜びを感じられて、嬉しく思います。やったね!


 もっとも、プレミアムエコノミーにした理由は、身も蓋もない理由だったりもするのですがね。

 そう、デルタの以遠権便だから安かったので、プレエコにワンランクアップできたという理由が。


 でも、日本やシンガポールの他レガシーキャリア航空会社のエコノミー運賃の約半額で、デルタのプレエコに乗れるのですから、以遠権便はお得だと思いますよ?

 それに、レガシーキャリア他社のプレミアムエコノミー運賃と比較したら、他社は安くても倍で高ければ五倍の値段がするのだから、本当に以遠権様々ですよね!


 もっとも、現地に到着する時間帯が深夜と悪いので、チケットの値段が安いというのもあるのかも知れません。

 意外とケチなママは、こういうことに対しては目聡いみたいなのですよ。


 LCCの乗り継ぎ便だったら、シンガポールまで片道二万円以下とかのチケットもあるのだけれど、ケチ臭いママも、さすがに乗り継ぎがあるLCCは嫌だったみたいですね。


 二万円以下のチケットで、LCCのぎゅうぎゅう詰め仕様のエコノミーに乗って、乗り継ぎを含めて十時間以上掛かるフライトを選ぶのか?

 または、四万五千円を払って、フルサービスキャリアのプレミアムエコノミーに乗って、七時間快適なフライトを過ごすのか?


 あなたなら、どちらを選びますか?


 まあ、この選択肢以外にも、三万五千円という値段で、LCCのビジネスクラスという選択肢もあるのですがね。これなら、レガシーキャリアのプレエコと同等以上の快適さは確保されています。

 LCCのビジネスクラスは、レガシーキャリアの一昔前の、短中距離国際線のビジネスクラス以上の座席の気がしますね。そう、座席だけに限って言うのであれば。


 LCCに、レガシーキャリアのフルサービスを期待してはいけない。


 しかし、LCCのビジネスクラスとはいっても、乗り継ぎ便なのには変わりませんし、シンガポールまで十時間以上掛かるのも変わりません。


 それに、LCCだとアライアンス共通で使えるマイルも貯めれないしね。

 やっぱりママは、その辺しっかりしているわ。


 私ならば、LCCのビジネスクラスでも、べつに構わないとか思っちゃたりもするのですけどね。

 ほら、シンガポールまで行くのには、乗り継ぎ便だから、余分に飛行機に乗れてお得な感じがしませんか?


 それに、途中で機内から降機するから、身体も伸ばせますしね。長時間同じ姿勢でいると、身体が硬くなってしまいますので。

 エコノミークラス症候群も怖いですし、時間は掛かっても乗り継ぎ便を選ぶという、選択肢もあるのですよね。おまけに乗り継ぎ便の方が安い!


 え? 日系のフルサービスキャリアは、選択肢にないのかですって?

 現状では、あまり選択肢には入りませんね。


 だって、少々お高いですやん。


 日系やシンガポールのレガシーキャリアでも、探せば安いチケットもあるのですけど、安いチケットの場合は予約変更不可だから、復路の日程が未定になりやすいテニス選手の場合は、PEXやFIXでは使い勝手が悪いのです。

 だから基本的には、復路の予約変更が可能なオープンチケットかFIXオープンしか、選択肢を選べないのですよね。でも、オープンチケットや片道航空券って高いんだよなぁ。


 出入国に厳しい国だと、帰りの航空券がないと入国拒否とかもありえるので、最悪、その国発で近場の外国行きの格安航空券を5千円位で買って、それはノーショウにしてしまい、新たに海外発券の片道航空券を買い直す必要とかも出てきたりもするのですよね。

 5千円はドブに捨てることになるけど、オープンチケットを買うのにに比べたら、5万や10万はへっちゃらでお得になるので、トータルではプラスの勘定になります。だから、前世ではちょくちょく使った裏ワザでしたね。


 しかし、検索をしたら、羽田発着なのに有効期限が一ヶ月フリーで、往復10万円でプレエコのチケットとかもあったぞ。こっちのほうが便利でお得だったのでは?


 でも、それを教えたら、ママが逆ギレしそうで怖いから言わないけどさ。

 これからは、比較対象として、ママに早めに教えてあげましょう。


 しかし、つくづく思うことは、航空運賃なんて値段があるようで、値段がないモノなんだなぁってことですね。

 羽田から北海道まで行く値段と、成田からシンガポールまで行く値段が同等か、もしくは安いのですから。


 LCCなんて、1億ドルとか2億ドルもする高額な飛行機の代金も、ペイ出来そうにない格安運賃なのに、どうやったら採算が取れるのか不思議でならないよ。


 それにしても、シンガポールって思っていたよりも結構遠いのですね。時差は一時間しか違わないのにね? シンガポールが遠いのは、赤道近くまで南に下がるからなのか。

 でも、あと一時間半とか二時間も飛べば、アメリカ大陸の西海岸にある、シアトルやバンクーバーにも日本から届いちゃう距離なんですよね。


 まあ、あっちに行くのにはジェット気流、つまり、偏西風があるので、距離はもうすこし遠くなるのでしょうけど。

 話の偏西風も蛇行してしまった。


 それで、今回のシンガポールへの旅の目的はといいますと。


 じゃかじゃかじゃかじゃーん!


 ででん!


 シンガポールITFジュニアチャンピオンシップに、出場するためにやって来ました!

 優梨愛ちゃんと萌香ちゃんが、ですけど。


 そう、ママの未成年者の引率というのは、優梨愛ちゃんと萌香ちゃんのことだったのです。


 この二人は夏休みを利用して、ITFジュニアサーキットに、初めて参加するのです。

 今回二人が出場する大会のグレードは、Grade 5。つまり、G5。GA、G1~G5の6クラスに分かれている等級の最下位になります。


 得られるポイントは、優勝で30、準優勝で18、SFで9、QFで5、R16で2ポイントになります。

 ITFジュニアランキングポイントの計算方法は、シングルスのポイント上位6大会と、ダブルスのポイント上位6大会の"1/4"を併せた合計ポイントが、ランキングの対象ポイントになります。


 少し変わった計算の仕方の気もしますけれども、慣れればどうという事はありません。


 それで、ジュニアグランドスラムも一応は、Grade Aに分類されてはいるのですけど、ジュニアグランドスラムには別枠のポイントがあったりもします。

 同じく、Grade Aに分類されている、ジュニアマスターズの優勝ポイントも別枠になります。


 その各グレードのポイントをSFまで抜粋するとこうなります。


    W   F   SF


 GS 1000  600  370

 JM  750   450 320/220

 GA  500   300  185

 G1  280   170  100

 G2  160   95   60

 G3  100   60   36

 G4  60   36   18

 G5  30   18   9


 こんな感じですね。


 ジュニアマスターズには三位決定戦があるから、320/220となっているのです。

 この他にも、各大陸その地域出身選手だけが参加できるクローズ大会もあって、それぞれ、B1、B2、B3というグレードが付けられています。


 しかし、これらは、G1、G2、G3と同じグレードだと考えても構いません。

 ポイントも同じですしね。


 下部大会でポイントを稼いで、上位のグレードの大会の出場権を得るのは、日本国内のジュニアでもITFジュニアサーキットでも、なんら変わりはありません。

 プロを目指すジュニアにとっては、日本国内の大会だけではなくて、ITFジュニアサーキットに参加して腕を磨くのが、プロで活躍する為にも必要不可欠なのです。


 ちなみに、毎年、秋に大阪で開催されている、世界スーパージュニアは、普通のグレードAで、優勝ポイントは500ですね。


 それで今回、私は出場しないのかですって? まだ私は出場できる年齢に達してないから、出場したくても、大会への出場はできないのですよ。

 だって、私はまだ10才のおこちゃまなんだもーん。てへっ☆


 そう、ITFジュニアサーキットに参加できる年齢は、13才からなのです。

 だから、今回の私は二人の練習相手という名の下、ただ単に夏休みの海外旅行として、シンガポールにやって来ただけなのであります。


 ちなみに、私は今年の全国小学生テニス選手権大会には出場しません。残念ながらも、このシンガポール旅行と日程が被ってしまっていたのですよ。

 全小を欠場することによって、250Pをロストすることになりますけど、そんなの関係ねえ。


 185Pが繰り上がるから、差し引きマイナス65Pだけなのだから、私の12才以下でのランキング一位は不動のままなのである。


 私はバカ…いえ、私にとっては、萌香ちゃんと優梨愛ちゃんのヒッティングパートナーとしてのお仕事の方が、遥かに重要なことなのであります。

 つまり、私が出場するテニスの大会スケジュールは、全日本ジュニアまではお休みになります。


 つい先日には、関東ジュニアを戦ったばかりですし、バカンスを満喫して骨休みをすることも必要なんですよ。

 私のスケジュールに余裕があるのに対して、中学生である二人には、夏休み中はテニスの大会の予定が、ギッシリと詰まっているのだ。


 シンガポールITF → 関東中学生テニス → 全日本ジュニア → 全国中学生テニス。毎週のごとくテニスの試合、試合、また試合であります。

 プロの大人顔負けのドサ廻り、過密日程の気がしますね。


 それにしても、眠い。


 今日はさっさとホテルに行って、ベットの中に潜り込みましょう。






「環希って英語しゃべれたんだ……」


「わたし中三なのに、英語でもたまきちゃんに負けてる気がする」


「テニスの国際大会で英語は必須だから、あたしも頑張って覚えないとなぁ」


「そうだね、頑張ろう!」


「next」


「ね、ねぇ? 萌香さん意味分かります?」


「優梨愛ちゃん、ネクストって言ったんだよ。あのおじさんの前に進むの」


「発音が違うよ~」


トラベルコちゃんとかで飛行機のチケットを検索して比較するのが楽しいです^q^

往復で検索したら、SQとJLのプレエコも予約クラスEは、かなり安かったよ…

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