1 2-1 0-0 七人の女の子たち
多人数での台本形式ですので、頭を空っぽにして読んで下さい。
誰が誰とか考えてはいけないw
「あれ? あの里田優梨愛に声を掛けた子って庭野環希だよね?」
「どれどれ? ホントだ。庭野環希だ」
「なんで、あんなバケモノがここにいるのよ?」
「さぁ? でもあの子ってまだ小学五年生でしょ」
「ああ、そういえばそうだったね」
「庭野と同世代は大変だろうな」
「わたしも、たまきちゃんと同学年じゃなくて助かったと思ったよー」
「同学年の子は、庭野が出場してたら優勝できそうにないもんなぁ」
「庭野相手では、対戦する相手が可哀想だよね」
「数年後には私たちも、同情される側に強制的に回されるかもよ?」
「そうかも知れない」
「公式戦無敗だっけ?」
「うん、無敗」
「ありえねー」
「普通だったらありえないけど、それが現実なんだよ」
「ダブルベーグル食らって恥を掻く前に引退しようかなぁ」
「安心しろ、里田優梨愛はそれ二回食らってるけど、ピンピンしてるぞ」
「それ凄い精神力の持ち主だわ」
「それは言えてる」
「でも、里田って私らとタメ張れるぐらい強いじゃん」
「つまり、それって……」
「たまきちゃんと対戦したら、わたしたちでもヤバイということでーす」
「それだけ庭野が規格外なんだろうね」
「まだ五年生なのにマジかよ」
「でも、ドローに名前がないのに、ここで顔を見てビックリしたよ」
「まあ、名前がないのは当たり前なんだけどな」
「なんで、アイツがここにいるのよ?」
「さぁ? 家が近所なのでは?」
「うん、たまきちゃんの家ってすぐそこだよ」
「へーそうなんだ。知らなかった」
「ここに電車で来たのなら、小机駅からここに来る途中に個人のテニスコートがあったでしょ?」
「あったあった! アレが庭野の家なの?」
「うん、アレだよ」
「豪邸というか敷地が広すぎるんですけど!」
「ブルジョアってヤツ?」
「うん、ブルジョワというヤツ」
「万国の労働者よ団結せよ!」
「バンコク? タイの労働者を集めてどうすんの?」
「恵玲那はお馬鹿さんだね」
「松中は頭の中まで筋肉で出来てるんだよ」
「君たちは失礼なヤツだな」
「でも、たまきちゃんは、お母さんが庭野コーチなんだから、お金は持っているだろうねー」
「いいなぁ、私も自宅にテニスコートが欲しいなぁ」
「君の家はマンションだから、残念ながら無理だよ」
「一軒家でも、普通の家では庭にテニスコートは無理なんですけど?」
「だよねぇ」
「というか、庭野コーチ? もしかして、アンタ教えてもらったことあるの?」
「何回もあるよー」
「いいなぁ」
「ほら、わたしって自宅が菊名だから近いじゃん?」
「いや、アンタの家なんて知らんし」
「だから、月に二、三回ほど、自分のスクールが休みで予定も入ってない時とかに、ひょっこりと遊びに行って練習に参加させてもらってるんだよ」
「へー、だから、庭野コーチにたまきちゃんなのね」
「そういうこと」
「その経験からして、どんな感じ?」
「わたしが小学六年生だった時に二年生だった、たまきちゃんに負けましたー」
「マジで!?」
「うん、マジで」
「現在はどうなん?」
「普通に負ける。というか、試合形式では、ここ二年半ぐらいは勝てた試しがないよ」
「うそっ! 萌香の実力で真面目に勝てないの?」
「本当だよ。それに、わたしが強くなれたのも半分以上は、たまきちゃんのおかげだと思ってるし」
「庭野環希ってマジもんのバケモノだったのかよ……」
「四つも年下の子にコーチングしてもらってたの?」
「直接的な教えはないよ。わたしが、たまきちゃんの押し掛けヒッティングパートナーなんだよ」
「押し掛けてたのかよ」
「うん、日時を指定されないから、最初は気軽に遊び半分で行ってたなぁ。今は超真面目に通ってるけど」
「スクールが休みの日までテニスとは、アンタもテニス馬鹿だね」
「でも、たまきちゃんのサーブやリターンが、わたしのギリギリ届くか届かない所に常に来るから、それでテニスが上手になれたと感謝しているよ」
「庭野環希はスパルタだったのか」
「うわー、うちのコーチと同じだわ」
「でもそれって、萌香のコーチの立場がないよね」
「うーん、スクールはスクールでちゃんと教えてもらってるけどね」
「というか、庭野環希はなんでここに来たんだっけ?」
「だから、里田の応援じゃないの?」
「ああ、里田優梨愛も庭野まどかコーチに教えてもらってるんだっけ」
「優梨愛ちゃんも、昨年の九月から一緒だね」
「さぁとぉだぁ~」
「アンタ、なに唸ってるのよ?」
「とりま、里田は裏切り者だから潰す!」
「いくら、STCで後輩だったからといって、それは私怨だと思いまーす」
「あー、そういえばそうだったかー」
「そうそう、テニスクラブの所属を変更するのは個人の自由だよ」
「だよねー。それを言ったら、STCだって中小のテニススクールから移籍してきた子も多いんだし」
「う、五月蝿い! 潰すって言ったら潰す!」
「そうは言ってもねぇ」
「なによ文句あるの?」
「私だってスクールは二回移籍してるしね」
「うんうん、わたしも一度変わってるよ」
「あたしも、由美コーチのところで三ヶ所目だし、自分に合っているクラブを選ぶのは大切だよ」
「私はSTC一筋だけど、移籍が個人の自由には賛成かな」
「裏切り者ー」
「よくあることだよ」
「そうだね、当たり前のことだよ」
「というかさ、あなた、里田優梨愛に絶対に勝てるという自信あるの?」
「うっ、そ、それは……」
「里田は庭野環希に負けてばかりであまり目立たないけど、あの子も大概だと思うよ?」
「あたしもそう思うわー」
「とりあえず、庭野環希の相方である里田優梨愛を潰す同盟を結ぼう!」
「相方だったの? 知らなかったよ」
「さぁ? 同じクラブなんだから一応は相方なんじゃないの?」
「でも、同盟って成立しないじゃん」
「うん、絶対に成立しないよソレ」
「なんで?」
「松中は馬鹿だったのか……」
「馬鹿とは失礼な」
「だって、私たちもお互いに潰し合うんだよ?」
「うんうん」
「そういえばそうっだったわ……」
「前から思っていたけど、恵玲那って抜けてるよね」
「馬鹿で抜けてて悪かったわね! こうなったら、私が意地でも潰してやるよ!」
「松中に八つ当たりされる里田優梨愛が可哀想だな」
「恵玲那ちゃんとは決勝まで当たらないから、私がSFで里田に勝っちゃうかもよー」
「いや? アンタはあたしにQFで負けるのだから、里田に勝つのはあたしだよ」
「あんだと? 貧乳のクセして生意気な!」
「おっぱいでテニスは勝てないのだよ。ホルスタインさん」
「なによ!」
「なにさ!」
「「言ったな!」」
「だいたいアンタは昔から!」
「だいたいおまえも昔から!」
「仲間割れが発生しました」
「内ゲバが好きなんだね」
「いや、コイツとは仲間なんかじゃない!」
「そうそう、元々がお互いにライバルですし」
「でも、喧嘩するほど仲が良いとか言うしね」
「うんうん」
「「違います!」」
「声も揃って仲が良いよねー」
「うんうん」
坂巻萌香と松中恵玲那。
ここにきて、名前付きの人物が登場。
その他、モブ子はどうしよっかなぁ…