239話 パオ可愛いよ、パオ
「パオ可愛いよ、パオ」
「そう言ってもらえると、パオを買って良かったと思えてきますね」
マイアミからシカゴを経由して、無事に日本へと帰国した庭野環希です。
シカゴで乗り継いだ羽田行きのアナのファーストクラスは、ネットカフェの個室に近いモノがありました。
食事は日系のファーストクラスで出されるだけあってか、さすがに美味しいと感じさせる豪華な食事でしたけど。
しかし、一番美味しかったのは、博多堂とコラボした醤油ラーメンなんですけどね!
ファーストクラスの豪華な食事も、ラーメンの美味しさには負けるんや……
これは私の独断ですけど、ファーストクラス、ビジネスクラスに搭乗した乗客に、どの料理が一番美味しかったか? そういったアンケートを取ったら、おそらく半数近くの乗客がラーメンと答えるような気がしますね。
庭野リサーチは、独断と偏見で構成されているのです。
そういえば、昨年のウィンブルドンと全米オープンからの帰りの便でも、アナのファーストクラスに乗って日本に帰国したけど、今回と同じような感じの個室でしたね。
ファーストクラスのチケット代は、私がグランドスラムジュニアに優勝したご褒美として、お爺ちゃんが払ってくれました!
そう、パリからの帰りの便では、優梨愛ちゃんと萌香ちゃんにジャンケンで負けてしまったので、ファーストクラスには搭乗できなかった私ですけど、ロンドンとニューヨークからの帰国便では、無事にファーストクラスに乗れたのです!
ファーストクラスの席が空いていて、ジャンケンをしなくても済んだのが結果的に良かったのかな?
それはそうと、シカゴ・オヘア国際空港の出発ロビーにもピアノが置いてあったので、乗り継ぎの合間にピアノを数曲弾かせて頂きました。
シカゴといったら、シカゴの素直になれなくて!
Hard to Say I'm Sorry、これに、"素直になれなくて"という邦題を付けた人はセンスあると思います。
ごめんねと謝れないから、素直になれなくてだなんて、センチメンタルが満載な感じですよね?
本当の素直になれなくては、I can't be honestとかだもんね。
というか、言い訳がましくて未練タラタラな男って、なんか嫌だ……
まあ、よくいるし、よくあるパターンなのかも知れません。
確実にストーカーやDV予備軍の男だな!
みなさん、自分の言葉に酔うような自己愛が激しいナルシストと、自己中心的で物事を自分の頭の中で自己完結させるような男性には、十分に注意してくださいね?
相手の都合も考えずに、グイグイと来るような押しの強い男は、大抵DVの気を持っていると思いますので。
まあ、私の独断と偏見なんだけど、あながち間違いではないはずです。
「僕がこんなにも君を愛しているのに、なぜ君は解ってくれないんだ!」
こんな感じで、歪んだ愛が暴力に変わるのって、DVあるあるですよねぇ。
おー、怖っ!
そもそもの話、男性目線のバラードって女々しい感じがするヤツが多いような気がするぞ。
一人の女性に執着する男が多すぎるのかな?
その点、女はあんまり引きずらない人が多い感じがしますね。
女性の恋愛は男を上書きするとか言いますし、それが関係しているのかも知れませんね。
もしくは、男は頭で考えて、女は子宮で考えるからなのかな?
うん、これがなんとなく、しっくりくる感じがしますね。
それで、honestときたら、オネスティ!
この曲も洋楽を弾く時の定番の曲だと思います。
アメリカといえばロックのイメージが強いですけど、バラードの名曲も多数生み出されているんですよね。
でも、この曲も一歩間違えれば、DV予備軍の歌だよなぁ。
相手に誠実さを求めるだけで、自分は何も与えないのかと小一時間問い詰めたい。そんな気分にさせられる曲だよ。
もしくは、相手の女性に母性を求めている、マザコンの曲なのかも知れません。
ええ、偏見ですとも。
オネスティの次は、めぐり逢い!
この曲は、ヒーリング音楽の中でも有名な曲だと思います。
日本でも90年代のトレンディードラマ全盛期に、ドラマの挿入歌として使われていたみたいなので、知っている人も多いんじゃないかな?
それと、この曲って後から歌詞を付けたんだっけ?
まあ、歌詞なしの曲インストゥルメンタルのままでも、癒しの音楽として大好きなんですけどね。
そして最後は、変わらぬ想い!
これで〆させてもらいました。
この曲も愛が重いんですよね。
しかし、この曲の愛の重さは不思議と嫌いにはなれない。
そんなナニかが響いてくる曲だと思います。
もしかしたら、ラブの愛よりもアガペーの愛に近いモノを感じたからなのかな?
歌詞は激甘なラブソングなのに、アガペーを感じさせるだなんて、やりおる。
出発ロビーにいたお客さんも、足を止めて私の演奏に聴き入ってくれた人が多数いてくれて、演奏が終わった直後、シーンと静まり返った一瞬の静寂の後、地鳴りのような拍手の嵐が襲ってきました。
こういうのを、万感の思いを込めたスタンディングオベーションというのかも知れませんね。
お客さんの中には、涙を流して感動している女性も数人いたのには、私も驚きましたが。
でも、音楽で人の心を揺さぶれたのであれば、ピアニスト冥利に尽きると思います。
まあ、私の本業はテニス選手なんですけどね!
そして、時差ボケも治った三日後、春休み最後の日曜日である今日、お出掛けするために麻生さんの愛車である、復刻版パオの助手席にお邪魔しているところであります。
パオを選択するとは、麻生さんも車の遊び心というモノを良く分かっているじゃないですか。
パオ可愛いよ、パオ。
やっぱ車には、大人の玩具という感覚が欲しいよね。
大人の玩具と聞いて、途端にスケベ方面を思い浮かべた、そこの貴方。
心が汚れていますね……
修業が足りん! 修業が。
「パオって納車まで一年半待ちとか聞いたけど、麻生さんはよく手に入れられたよね」
「パオ復刻版が発表されたその日に、即決で購入予約しましたので」
「ふーん、てっきりコネとか使ったのかと思ってたわ」
「違いますよ。コネじゃないから、発表直後に予約したのにも拘らず、納車まで三ヶ月も掛かったのですから」
このパオは、ノートEパワーをベースにレトロ調の改造を施した、期間限定の受注生産で販売した特別な車になります。
当初は一万台限定での販売の予定とか発表されていたんだけど、あまりにも注文が殺到しすぎたために、慌てて三万台限定に上方修正されました。
一万台限定というプレミア感は無くなってしまったけど、パオが欲しいユーザーの手元に届くのは良い事だと思いますので、生産数の拡大は喜ばしいことでしょう。
今から注文したら、納車まで一年半待たされるけどね!
というか、マーチはどこに行った?
Eパワーとは、ガソリンエンジンも搭載しているんだけど、エンジンは発電専用で、その発電した電気でモーターを駆動させて走るから、Eパワーは電気自動車の亜種になるのかな?
ハイブリッドや充電式の電気自動車とは、また違った方式なので、Eパワーは充電いらずで便利だと思います。
充電式の電気自動車に比べて、Eパワーは生産コストも抑えられていて価格も安いのですけど、なんで、Eパワー方式が普及しないのでしょうか?
ちょっと不思議な気がしますね。
Eパワーは高速走行時の燃費の悪さが指摘されているけど、その辺りがボトルネックになっているのかな?
でもさ、高速走行時におけるガソリン消費がリッター28kmとかならば、それは上出来の部類じゃないのとか思わなくもない。
32リッタータンクを満タンにしたら、無給油で800km以上も走れるんだし、Eパワーは十分以上にエコカーだと思いますね。
パオ可愛いよ、パオ。
それで、小机の自宅最寄りにある新横浜ICから首都高に乗って、東京都心を横断すること1時間と40分あまり。
常磐道を柏ICで降りて、TTCに到着したところです。
TTCとは、テニス研修センターの略で、テニスの普及やテニス選手がレベルアップする為に必要な練習の場を提供している、公益財団法人になります。
でも、テニス研修センターでは堅苦しいから、英語のままテニストレーニングセンターの名称にすれば良かったのに、そう思わなくもありません。
テニスとセンターは英語なのに、なんで間に日本語が挟まってんねん!
そう思ったのは、きっと私だけではないはずであります。
それで、日本のテニス選手で一定以上のレベルにある選手は、ほぼ全員がTTCで試合や練習にテニスの研修をしたことがあるんじゃないかな?
私もTTCには、過去に10回以上と頻繁に訪れていますしね。
「大きな渋滞に巻き込まれなくて助かったよ」
「そうですね。酷い時はTTCまで二時間半以上、三時間近く掛かる場合もありますから、今日はかなりマシなほうでしたね」
たまたま今日は渋滞に巻き込まれなかったけど、首都圏を移動する場合は電車のほうが早かったりもするんですよね。
神奈川から都心を横断して、埼玉や千葉に行く場合などは特に。
まあ、千葉の房総方面へ行く場合は、東京湾アクアラインを使えば、車のほうが早かったりもするのですが。
アクアラインを通る高速バスに乗客を奪われて、館山行きの特急が廃止されちゃったぐらいだもんね。
現実世界でパオが復活する未来はあるのかな?
パオ可愛いよ、パオ




