227話 シュトゥットガルト!?
庭野環希@tamakiniwano - 18分
マイアミオープンのロッカールームにて
アナスタシアちゃんと一緒♪
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『そういえば、アナスタシアってフェドカップには出ないの?』
そう、チャールストンとボゴタの大会の翌週は、フェドカップとデビスカップウィークなので、アナスタシアに聞いてみることにしたのです。
『私のランキングでは、まだロシアの代表にお呼びは掛からないわよ』
『あー、ロシアだとアナスタシアの上に、まだ20人以上が蠢いていたのか……』
ロシアのテニス界は、アメリカと並んで魔境かな?
もしかしたら、蟲毒なのかも知れません。
『ロシアのトップレベルは、シュタイナーやクリス並みにおかしな選手ばかりだから、私が選ばれるのは厳しいのよね』
『いま、ネットでライブランキングを確認してみたけど、トップ100にロシア人だけで12人もいたわ……』
そら、ロシアがテニス大国と呼ばれるだけのことはあるわな。
ちなみに、トップ1000だったら、日本人も50人以上は入っているんだよね。
まあ、圧倒的に、300位以下の選手が大半なんだけどさ。
そう考えると、萌香ちゃんって結構、いやかなり凄かったんだなぁ。
優梨愛ちゃんも、あともう少し頑張れば日本人の中では上位に入れるし、頑張ってランキングを上げてもらいましょう。
そして、私のランキングはといいますと、インディアンウェルズで準優勝したことによって650ポイントを稼ぎましたので、ぶっちぎりで日本人の中では、堂々のランキングトップであります!
だから、少しは大きな顔をしてふんぞり返っていたとしても、許されるのかも知れません。
もっとも、日本人の中だけでランキングの上位や下位とかいっても、むなしくなる気がしないでもない。
日本だけで威張っていたら、井の中の蛙になっちゃうしね。
それに、大きな顔してふんぞり返っていたら、そのまま後ろにひっくり返っちゃいそうだから、謙虚になって自重しましょう。
私の座右の銘は、謙虚堅実がモットーなんですよ。たぶん。
『だから、ロシアの代表争いは魔女の大鍋なのよ』
『テニス大国で代表の椅子を勝ち取るのは大変なんだね』
『そういうタマキこそ、フェドカップやオリンピックに出る予定はあるの?』
『私? 私はフェドカップには呼ばれてないよ』
協会から私を日本代表へ参加させる声が掛からないのか、ママと麻生さんのところでシャットアウトしているのかまで、そこまでは知りませんけど。
『そうなんだ、タマキのランキングでは珍しいわね?』
『ジュニア時代の代表選考で、ちょっと問題があってね。それから協会とは没交渉みたいなんだよ』
でもまあ、仮に声が掛かったのなら、その話を私まで持ってくるでしょうから、協会から話それ自体がないのが正解なんでしょうね。
あまり興味もないので、本当のところは知らんけど。
プロでツアーを回っている大部分の選手にとっては、グランドスラムこそがテニス界の頂点であって、フェドカップやオリンピックは枝葉末節の細事にすぎないのですよね。
たとえオリンピックで金メダルを獲ったとしても、500万ドルとか貰えるわけじゃないですしね。
これがグランドスラムだったら、本戦の一回戦に出場しただけでも、10万ドルぐらい貰えるのだから、みんな目の色を変えてグランドスラムの本戦出場を目指すのであります。
お金だけがテニスをプレーする上において全てではないけど、でも、テニス選手も生活が掛かっていることだし、お金って大事だもんね。
まあ、それでも、オリンピックの金メダルに価値はあると思うけど。
金メダリストって名乗れるもんね。
だけど、テニスの場合はグランドスラムに負ける気がしますね。
『まあ、大人の世界は色々なしがらみとかもあるからね』
『ヘドロみたいにドロドロとしてそうだよね』
『お金や面子とかが掛かるとどうしてもね。それじゃあ、オリンピックに出られるかどうかも微妙なのね』
『まだ、なにも決まってないんだよねー』
フェドカップに出場していない私でも、裏技的にオリンピックに出場できる、ITF推薦という手もあるみたいなんだけど、その話もまだ聞いてないしね?
私の方から積極的にアプローチを掛けてもいないし、スポンサーからもオリンピックに出て欲しいとか言われてないんだよね。
『そっか、オリンピックに出られるといいわね。タマキはマイアミオープンの後のスケジュールは、どうなっているの?』
『学校もあるから一度日本に帰国してから、4週間後にマドリッドで、その後にローマ、ローランギャロスの順番かな?』
『チャールストンにシュトゥットガルトの500や、その間にある250には出場しないんだ』
シュトゥットガルト!?
ポルシェェーっ!!
ポルシェを貰い損ねたと思うのは、私の気のせいですかね?
いつかは、シュトゥットガルト500に出場して、絶対に優勝してポルシェをゲットしてみせるんだから!
それと、チャールストンで優勝したら、ボルボが貰えるのかな?
『ほら、私ってまだ14歳だから、プロツアーは年間で8大会までしか出られないって制限があるんだよね』
というか、ローランギャロスまでで、もう既に8大会の制限に引っ掛かっちゃいますやん。
全仏オープン以降の大会出場は、特別許可を発行してくれるWTAとITFの裁定待ちになるんだよね。
まあ、グランドスラムや96ドローの大きな大会の、シード権を持っているランキングに位置している、私の出場を認めないとかになったら、それではファンも納得しないだろうから、4~6大会の加算を特例として認めてくれる可能性が高いと思っています。
過去にも、そんな特例がありましたしね。
『そんな制限があったわね。私も昨年はジュニアとシニアを掛け持ちしていたから、15歳で10大会の制限には引っ掛からなかったけど、プロに転向していたら出場数に泣かされていただろうなぁ』
『そういえば、アナスタシアってもうプロに転向したんでしょ?』
『ええ、昨年のペキンでのジュニアマスターズの後にね。そうでなければ、今大会で稼いだ5万ドルも4千ドル未満になっていたわよ』
『だけどさぁ、私たちぐらいの年齢でプロに転向しちゃったら、出場できる大会の数が少なすぎるよねー』
年齢による出場制限は、前途有望な若者への出る杭は打つといった感じで、若者への差別のような気がしないでもないぞ。
『でも、例の燃え尽き症候群の対策でもあるみたいだし、こればっかりは仕方ないのかもね』
『でもさぁ、アナスタシアも今年の後半には、出場制限で泣かされるんじゃないの?』
『私は5月で16歳になるから、出場可能な大会数は3つ増えて、最大で13大会になるのかな?』
『それで、今年中に出場できる残りの大会の数は?』
マイアミオープンまでに、最低でも既に4~5大会は消化しているはずだよね?
この世界線では、フェドカップのままです。




