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205話 WTA1000インディアンウェルズ大会 二回戦その1


 WTA1000マンダトリー、インディアンウェルズ大会 R64、二回戦




「ゲェ~ィ~ム、ニワノ!」



 よっしゃ!

 このゲームも楽にラブゲームでキープだぜぃ!


 インディアンウェルズ1000大会の二回戦、試合はもう既に第2セットの終盤に差し掛かっています。

 次のゲームをブレイクすることができたら、今日の試合ベーグル&ポッキーの完成ですね。




 ※※※※※※




 ズムズム実況



「庭野のサーブ&ボレーが鮮やかに決まりました!」


「40ラブからのサーブでしたから、庭野選手には前に出る余裕がありましたね」


「日本の庭野が第6ゲームをラブゲームでキープしています!」


「今日の庭野選手は、キレにキレまくっていますね」


「ウィンストンをまったく寄せ付けずに、ワンサイドの試合展開ですからねぇ」


「ドバイ500の準決勝で対戦した時と同じで、ウィンストン選手のバック側をネチネチと攻めているのが、かなり効いていますね」


「データを見ますと今日のこの試合、ここまで庭野は77%をウィンストンのバック側にボールを集めています」


「その数字の答えが、この結果に繋がっているのでしょう。それに付け加えて、庭野選手が時々混ぜてくるフォア側のボールに、ウィンストン選手はバックを意識するあまり、バランスを崩されてしまいました」


「そういえば、ウィンストンが得意とするフォアハンドが、今日はほとんど決まってませんでしたね」


「相性の問題もあるのでしょうけど、ウィンストン選手は庭野選手が相手だと、かなり自分のプレーがしづらそうですね」


「つまり、ウィンストンにとって庭野は苦手なタイプの相手ということですか?」


「両者はまだ二度目の対戦ですけど、ウィンストン選手は庭野選手の戦術にまったく対応できてませんので、そうなると思います」


「なるほど。ウィンストンのバック側にボールを集める戦術もそうですけど、合間に織り交ぜていたドロップショットも非常に効果的でしたね」


「環希ちゃんのあのドロップショットは、テイクバックが小さく素早いのにタッチが柔らかいから、反則級のドロップショットですよ。あの柔らかさは真似しようにも私にはとても真似できません。天性のモノでしょうね」


「安達さんでも真似できませんか?」


「ドロップショットは打つ時にどうしても、ぎこちなくなりがちです。だから、環希ちゃんのあれはセンスがなければ無理ですね」


「なるほど、センス、才能ということでしたか」


「努力することそれ自体は絶対に必要なことなので否定はしませんが、残念ながら努力だけでは身に付かないモノもあるということです」




 ※※※※※※




 1万6千人を収容するインディアンウェルズのセンターコートは、ほぼ満員の観客で埋め尽くされています。

 1万4千人ぐらいは入っている感じでしょうか?


 このセンターコートは、観客席の角度も浅くて圧迫感のない開放的な造りになっていますので、試合をしていても気分良くプレーができるので楽しいです!


 ダブルスの女王であった庭野まどかの娘という、鳴り物入りでテニス界に彗星の如く現れた、期待の若手である私を一目見ようと駆け付けたテニスファンも大勢いるとは思いますけど、半分以上の観客は対戦相手であるウィンストン目当てなんだろうなぁ。


 キム・ウィンストンはグランドスラム12回の優勝を誇る実績で、これまで20年という長きにわたって、アメリカ女子テニス界を引っ張てきたレジェンドだもんね。

 というか、20年前とか私はまだこの世に生まれてすらいなかったよ。


 そういえば、ウィンストンってママや麻生さんと同世代なんだよなぁ。

 そう考えると、キム・ウィンストンって凄いな。


 まあ、かなり性格に難ありだとは思うけど。


 そのウィンストンと私は、先月ドバイの大会で対戦した時に一悶着がありましたので、今大会を開催する主催者から見ても、興行的に面白いと捉えられてしまったのでしょう。

 だから、私が初戦を突破すれば二回戦で、シードのウィンストンと対戦するような、意図的なドローが組まれたのだと思います。


 つまり、二週にわたって開催される大会の、ファーストウィークにお客を呼びこませる客寄せパンダということですな。

 男子の人気選手でもない限り、ファーストウィークはセンターコートでも空席が目立つもんね。


 そこに、私とウィンストンという曰く付きの因縁の相手同士が再戦するチャンスがあるのならば、主催者がほっておく道理はありません。

 だから、私が勝てる確率が高そうな選手を初戦の相手として、主催者が選んだのだと思います。


 その一回戦は、LLラッキールーザーの選手が対戦相手で、現在のランキングが120位ぐらいのクロアチアの選手が相手だったので、6-2、6-0と完勝することができました。

 予選で一度は敗退している選手を相手に、負けるのは私のプライドが許さないのだから、ちょっとだけ頑張っちゃいました。


 きっと大会関係者は、私が勝ち上がったことに喜んでくれたことでしょう。


 私の一回戦は、3千人ぐらい収容のスタジアム3でのプレーだったんだけど、LLのほぼ無名の選手が相手でも、ほぼ満席でしたね。

 ということは、私ってアメリカでもそこそこ以上には、テニスファンに名前が知れ渡っているということなのかも知れません。



 それはそうと、インディアンウェルズの大会は、96ドローで行われます。

 予選通過枠が12で、ワイルドカード枠が8ありますので、本戦にストレートインできるのは、ランキングの上位76名の選手ということになります。


 上位76人の選手全員が本戦に出場すれば、当然ながらランキング76位までの選手で本戦出場枠は埋められてしまうのですけど、毎年数人は欠場しますので今年は82位の選手までが本戦にダイレクトインできました。

 つまり、ランキング63位だった私は、本戦からの出場となりました。


 怪我や体調が整わなくての欠場が四人、妊娠して欠場した選手が二人だったみたいですね。


 そう、WTAツアーに参戦している女子テニス選手の中には、妊娠出産をしたママさん選手も結構の数いるんですよね。

 全豪オープンで対戦したクリスもそうですし、現在対戦しているキム・ウィンストンもママさんプレイヤーになります。


 ランキング100位以内を見渡してみても、10人ぐらいは出産を経験してその後に復帰している、ママさん選手なんですよ。

 翻って日本人の女子テニス選手の場合、ほとんどママさん選手っていないんですよね。


 日本にも、もっとママさんアスリートが増えてもいいと思いますね。

 もっとも、ママさんアスリートが活動しやすい環境が整ってないから、ママさんアスリートが増えないという、スパイラルに陥っているのだとは思うけれども。


 日本人の女子アスリートの場合は、引退してから出産子育てをする女性が大半なんですよね。

 私を産んだママもそうでしたしね。


 まあ、文化の違いと言ってしまえば、それまでなんだろうけどさ。


 ちなみに、ママさん選手の一人でもあるクリスは、今大会を欠場しています。

 ドバイで試合途中にリタイアした時の怪我からの回復途上で、二週間後に開催されるマイアミオープンでの復帰を目指しているみたいです。


 クリスにリベンジするにせよ、調子の悪い時のクリスに勝てたとしても、なんとなくモニョりますので、クリスには万全の状態で復帰してもらいたいと思います。

 本当なら楽に勝てるのであれば、それに越したことはないのだろうけどさ。


 だからこれは、私のプライドの問題なんだろうな。



 それで、なんでこんなにも考える余裕があるのかといいますと、キムおばさんがやらかしているのですよ……

 そう、審判の判定が不満だったらしくて、不服申し立ての抗議をしている最中というわけですな。


 抗議をして自分の要求が通って審判の判定が覆るのであれば、審判とかいらないですやん。

 審判の判定も含めて、スポーツの競技なんやで。




 ※※※※※※




 ズムズム実況



「おっと、キム・ウィンストンが審判に抗議をしていますね」


「どうやら、タイムバイオレーションを取られたことが、ウィンストン選手は納得できなかったみたいですね」


「なるほど、25秒を超えていましたか」


「抗議を通り越して、これは猛抗議になっていますね」


「審判に食って掛かっている態度はいけませんね」


「そうですね。審判に向かってウィンストン選手は指を差していますけど、これは良くない態度ですよ」


「これは褒められた行為ではありません」


「タイムバイオレーションだけではなくて、このままだとコードバイオレーションを取られてもおかしくはないと思います」


「今日のウィンストンはラケット破壊で、もう既に一度警告を受けていますね」


「次は、1ポイントのペナルティですね。審判の堪忍袋にも限界がありますので、これはそろそろきますよ」


「あまり、こういう言葉は適当ではないのかも知れませんが、見苦しいですね」


「いえ、私も見苦しいと思いますし、テレビを見ている視聴者のみなさんの大半も、そう思っているのではないでしょうか?」


「あー、安達さんが言ってるそばから、ウィンストンに二度目のコードバイオレーションです」


「環希ちゃんは身体がキレていましたけど、ウィンストン選手はどうやら頭がキレちゃったみたいですね」


「安達さん上手い! 座布団一枚!」


「座布団、没収じゃなくて良かったです」




【庭野・石川】インディアンウェルズ実況・ズムズム専用part11【東岡・渡貫】



307 名前:加入者数@774億人

25秒オーバーしたのにウィンストンが逆ギレしたの?


308 名前:加入者数@774億人

キムおばさん目が血走っちゃってるよ((((;゜Д゜))))


309 名前:加入者数@774億人

今日の安達は淡々としていてテンション低いな


310 名前:加入者数@774億人

ウィンストンは庭野に遊ばれてパニックになっているんだろうなあ


311 名前:加入者数@774億人

安達のテンションが低いのは時差ボケか更年期なんじゃね?


312 名前:加入者数@774億人

キムおばさんは相変わらず沸点が低いな


313 名前:加入者数@774億人

コートバイオレーションを取られて逆ギレとかみっとも茄子(´・ω・`)


314 名前:加入者数@774億人

>>310

グランドスラム12勝のウィンストンを手玉に取る庭野環希さん14才くさ


315 名前:加入者数@774億人

あーあ、ウィンストンのメンタル崩壊しちゃったか…


316 名前:加入者数@774億人

>>313

コートじゃなくて規定違反のコードバイオレーションなw


317 名前:加入者数@774億人

審判は我慢したほうだよな?


318 名前:加入者数@774億人

安達のオヤジギャグwww


319 名前:加入者数@774億人

コートバイオレーションはバスケやで


320 名前:加入者数@774億人

ウィンストン安定のクソ雑魚ナメクジメンタルで逆に安心したわ


321 名前:加入者数@774億人

>>313

みっともナス(´・ω・`)



つい最近、審判に抗議をして警告が失格に変更なった事例がありますた(´・ω・`)

現実は小説よりも奇なり…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます。 WOWOWで全仏を見てると、環希ちゃんみたいな日本人選手がいればもっと楽しいだろうなぁと思って見てます。
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