196話 WTA500ドバイ大会 準決勝その3
掲示板の雑談中に負けた元世界ランク1位がいるらしい…
この小説は、そういう作風ですのであしからず。
WTA500ドバイ大会 準決勝
「ゲームセット! マッチウォンバーイ、ニワノ!」
よっしゃー、勝ったどー!
グランドスラムを12勝もしている元世界ランク1位で、今大会第4シードのキム・ウィンストンが準決勝の相手だったけど、6-3、6-2のストレートで危なげなく勝利して、ファイナルへと駒を進めることができました!
ドバイ500の決勝に進出したことによって、現時点の暫定にはなりますけど、ランキングポイントは305ポイントの加算は確定しているので、私のランキング順位は83位ぐらいまで一気にジャンプアップするのは確実になります。
おー、なんだ、もうあっさりとトップ100位入りして、グランドスラムの本戦にダイレクトインできるランキング順位ではありませんか!
これは早々に特例で、大会への出場数の制限を緩和してくれそうな気がしますね。
ちなみに、優勝した場合には470ポイントを貰えるから、今までに稼いだ440ポイントと足した合計で910ポイントとなり、59位ぐらいまでランキング順位は上昇します。
賞金も準優勝者が貰える33万ドルと、スポンサーからのインセンティブのボーナスも100万ドルは確実にゲットできるので、笑いが止まりません。
優勝した場合は、賞金が57万ドルでボーナスが200万ドルになります。
ドバイがスポンサーの本拠地だからこそ、今大会はボーナスも特別に増やしてもらえているのだけど、インセンティブを貰う立場の私からしてみれば、本当にありがたいことです。
他のWTA500の大会だったら、仮に優勝したとしてもボーナスは50万ドルだからね。
それで、肝心の試合の内容はといいますと……
キム・ウィンストンの試合は過去に映像で何度も見ていますので、とっくの昔に彼女の弱点は判明していたのですよね。
だから、私はその弱点が本当に弱点なのか、実戦で確かめるだけで良かったということになります。
そして、その弱点はといいますと、ものの見事にドンピシャでビンゴだったというわけでありました。
そう、キム・ウィンストンには、バックハンドに穴があるのですよ。
オマケにメンタルに難ありときたもんだから、私にとってみれば対戦する前からカモに近い相手だと思いましたよ。
人の嫌がることを率先してやりましょう。そう小さい頃に教わった私からすれば、メンタルがクソ雑魚ナメクジの相手をイジメるじゃなくて、おちょくるでもなくて、適当に相手をするのって得意なんですよね。
ええ、なにせ、人の嫌がることを率先してやる、模範的な生徒で優等生でしたからね、私は。
え? 意味が違う?
こ、こまけぇことは気にしなくてもいいんだよ!
だから、メンタルがクソ雑魚ナメクジの相手をするのは、対戦していても楽ができるので、とても助かりました。
ちょっと私がウィンストンのバック側をネチネチと攻めただけで、キム・ウィンストンは自分から勝手にアンフォーストエラーを量産して自滅してくれましたので、笑いが止まらないとはこのことだよ。
オマケに上手く行かないからといって、ラケットに八つ当たりする始末でしたからね。
見苦しいったらありゃしない。
ジュニア選手やアマチュア選手の模範とならなければいけない、トッププレイヤーの一人でグランドスラムの女王なのに、この醜態はいただけません。
ジュニア選手が真似をしたら、一体誰が責任を取るんだ?
ホンマ、見苦しいったらありゃしない。
プロのテニス選手としての資質以前に、人間としての品格を疑ってしまうよ。
試合を観戦しているファンも、トップ選手のこんな姿は見たくないでしょう。
まあ、ファンの中には選手が醜態を晒すのを見て、それを楽しめる奇特なファンも一部にはいるのかも知れませんけど、それはあくまでも例外でしょうしね。
こんなクソ雑魚ナメクジのメンタルで、過去にグランドスラムで12回も優勝しているだなんて、笑わせてくれる。
まあ、200km/h以上のスピードで打ち込まれるサーブだけは凄かったですけど、脅威に思えたのはそれだけです。
でも、200km/h以上のサーブならば、サナダさん相手に見慣れていますから、甘く入った200km/hのサーブであれば、なんとか私でも対処できちゃったりもするのですよね。
そう考えると、サナダさんって結構、私の役に立っていますね。
バレンタインデーは過ぎちゃったけど、サナダさんに今度お礼としてチョコレートでもプレゼントしてあげましょうかね?
それに、いくら球速が200km/hとか速いとはいっても、ウィンストンの球の重さってスピード程には、そこまで球質は重くないんですよね。
全豪オープンで対戦したクリスのボールのほうが重く感じましたね。
まあ、それでも結構ミスする時もあったけど……
というか、こんな程度でウィンストンは、よくもまあ、グランドスラムを12回も優勝できたもんだと、不思議に思えてなりません。
もしかしたら、全盛期の若かった頃は、もっと凄かったということなのかな?
そうじゃないと説明が付かないよなぁ。
まあ、私との相性が悪かった可能性も否定できないけどさ。
そう、テニスというスポーツは対戦相手との相性が、とても大きなウエイトを占める競技なんですよね。
だから、今日の私がそうであったように、たとえランキングが低かったとしても、対戦相手との相性が良ければ結構簡単に、ジャイアントキリングをやってのけちゃったりもするのですよ。
でも、同じグランドスラムの女王とはいえ、12回優勝しているキム・ウィンストンよりも、10回優勝のクリスのほうが圧倒的に強く感じましたね。
その証拠に、スコアがすべてを物語っているとも言えるでしょう。
もう、このおばさんでは、これから先のグランドスラムは勝てないでしょうね。
まあ、女性で四十間際まで現役を続けているのは、それだけで称賛に値するとは思いますけど。
私が40歳のおばさんになっても、現役を続けていられるのかどうかと問われたら、正直いって微妙でしょうしね。
なにはともあれ、キムおばさんに挨拶をしなければ。
『ナイスゲームでした!』
『あなたって若いのに、ねちっこく嫌らしいプレーをするのね。性格が歪んでいるのかしら?』
あいべっぐゆあーぱーどぅん? なんだ、藪から棒に?
このオバハンは、たとえ試合に負けた場合であったからといって、社交辞令で試合終了後の挨拶である、ナイスゲームも言えんのか?
言うに事欠いて、上から目線の嫌味ですかそうですか。
これは、ケンカを売られたと、そう解釈をしてもよろしいのでしょうかね?
ふーん、そっか…… 分かったよ。
そっちがそういう態度を取るのであれば、こっちも相応の態度を取らせてもらうだけなんだから。
どうやら、たまきちゃんの性格は歪んでいるらしいですから、相手に対して相応の態度を取ったとしても、何も問題ないということだよね?
こんなのが女子テニス界のリーダー的存在として長年にわたって君臨し続けていたとか、幻滅させられたよ……
まあ、映像で見るこのオバハンの今までの言動から、なんとなく初めから分かっていたことではあったけどさぁ。
でも、建前でもいいから若い子への気配りとか、少しは期待していたんだよ?
ここまで自分本位な人間だったとは、ね。
まるで、私の嫌いな体育会系の脳筋そっくりじゃないですか、やだー。
私も自分本位の人間だとは自覚しているけど、それでも社交辞令で挨拶ぐらいはちゃんとしますよ?
挨拶とは、人間関係を円滑に進めるための潤滑油だと思いますので。
どうやら、このババアとは、分かり合えそうにもありませんね。
だったら、早いとこ引導を渡してあげるのが、次世代を担う若い者の務めというモノでしょう。
そう、年長者に敬意を払う意味に於いても。
『もうロートルなんだし、コートの中での振る舞いも見苦しいから、さっさと引退しなよ。お ば さ ん』
『お、おばっ!? くぁwせdrftgyふじこl!!!1!!』
あはっ、このオバサンってば、ちょっと沸点が低すぎやしませんかね?
まあ、だからこそ、メンタルがクソ雑魚ナメクジなわけなんですけど。
ここで更に煽ったら、血管がプチンと切れちゃうかも知れませんね。
まあ、さすがに私も分別はつきますので、そこまではやらないけどさ。
これ以上、相手が突っかかってこなければ、ですけど……
しかーし!
売られたケンカは全力で買うのが私の主義なので、ケンカを売るなら喜んで買わせていただきますよ?
気分は、冬戦争時のフィンランドみたいな感じでしょうか?
そう、かかってこい! 相手になってやる!
こんな感じで、準備万端であります。
もっとも、私が飽きるまでとの但し書きは付きますけど。
プロのアスリートというのはエンターテイナーであり、人気商売の側面もあるのですよ。
だから、舐められたままだと、「アイツは馬鹿にされたのに、言い返しもしない」とかなんとか、第三者からも馬鹿にされてしまい、面子に瑕がついて、自分の商品価値が低下しちゃうのですよね。
どこでカメラのマイクが音を拾っているのか分からない、そんな世知辛いご時世だから、余計とですね。
商品価値の低下は、スポンサーとの契約の有無と契約料の低下に直結しますので、そんな事態は、できる限り避けなければなりません。
つまり、自力救済が必要ということですな。
試合後の記者会見っている? というか、もう書いちゃったけどw