194話 WTA500ドバイ大会 準決勝
WTA500ドバイ大会 準決勝
「ゲームニワノ、ファイブゲームトゥツー。ニューボールプリーズ」
ドバイ500の大会で順調にセミファイナルまで勝ち上がってきた庭野環希です。
今大会の会場は、昨年12月に開催された100k大会の試合会場の場所とは違って、ドバイ国際空港からほど近い場所にある、ドバイ・デューティフリー・テニスセンターが大会の試合会場になります。
空港にほど近い場所だから、東の空を見上げれば、ひっきりなしに離着陸をする飛行機が見えるんですよね。
たぶん世界で一番、ずんぐりむっくりとしたA380の機体を数多く見られるのが、此処ドバイだと思います。
空港にもアホみたいに何十機とA380が駐機していましたもんね。
まあ、飛行機が真上を通過するわけではないので、ほとんど飛行機の騒音は気にならないので、騒音で集中力が削がれて試合の妨げになるということはなくて助かったよ。
それで、ドバイ500大会の総賞金は、3,635,960ドルで、優勝賞金は57万ドルになります。
この賞金総額は、WTA500の大会では一番高額賞金の大会だったかな?
ブリスベンと東京のパンパシが200万ドルで、他の500大会は精々125万ドルぐらいとかだから、やはりドバイのこの大会がWTA500では抜きん出て一番の賞金でしたね。
来週のカタールでの大会の総賞金が400万ドルだから、WTA1000の非マンダトリー大会と大して変わらないぐらい、高額な賞金ということになります。
さすがは、スポンサーがお金持ちなだけはあると思いました。小並感。
といいますか、3,635,960ドルとかいう中途半端な金額は、一体どこから導き出されたのか謎ですね……
ユーロをドルに換算し直したのかな?
これだけ高額賞金の大会ということは、当然オフィシャルホテルも豪華な五つ星のホテルで、ぐーぐる先生で調べたら、最低でも日本円で一泊9万円ぐらいする高級ホテルでした。
私の泊まっている部屋なんかは、たぶん一泊で数十万円は下らなさそうな気がしてきましたよ。部屋を汚さないように気を付けなくっちゃ。
まあ、私の場合は大会の出場選手だから、タダで泊まってはいるんですけどね!
でも、サナダさんと純ちゃんの部屋は別なので、私が払っているんだよぉぉ!
まあ、大会関係者ということで、サービスで割り引いてはもらえたのだけど、それでも一泊5万円ですから十分にお高いと思います。
サナダさんが一人部屋がいいとか我がままを言ってきたから、「だったら、外国人労働者が泊まるような安宿にしたろか?」とか言ってあげたら、純ちゃんと同室でも構わないと折れてくれました。
人と人とは、話し合えば理解し合えるのだと、そう確信できた瞬間でしたね。
え? 違う? こ、こまけぇことはいいんだよ!
そして、男衆を分けたということは、女三人は同じ部屋ということになります。
同じ部屋とはいっても、部屋の中に間仕切りがあって壁で仕切られているから、実質的には別の部屋とも言えるのかな?
だから、同室でもちゃんとプライバシーは確保されています。
これで、寝る前にごにょごにょしたとしても、麻生さんとうさみんにバレなくて大丈夫! たぶん。
いや? 大会期間中はしないけどさ。
今のところは、ですけど……
ごにょごにょがなんなのかは、聞いてくれるな。
ええ、日課のお勉強ですとも。
たまきちゃんとの約束だぞ☆
そして、今大会の初戦であるR32はといいますと、予選から勝ち上がってきた、ランキング60位代のチェコの選手を相手にして、6-2、6-0のストレートで圧勝しました。
二回戦のR16は、これまたチェコの選手でしたけど、初戦の相手とは格が違いました。
そう、今大会の第2シードで現在の世界ランキングは3位!
つまり、私でも結構手古摺ったということです。
ランキング2位の選手は今大会には出場していません。もしかしたら、ドバイをスキップして体調を整えて、来週のカタール1000に照準を合わせているのかも知れませんね。
ちなみに、私は来週のカタール1000大会には出場しません。
私としては、べつにカタールの大会に出場しても構わなかったのですけど、ほら、私って一応はまだ義務教育中の身だから、できるだけ学校に通わなけれないけないんですよね。
それに、カタールの大会は仮に出場したとしても予選からの出場でしたしね。
だけど、今週セミファイナルまで勝ち上がったから、SEを使えたのかな?
ポイントも賞金もスポンサーからのボーナスの面でも、稼ぐ機会の損失ということで、ちょっとだけ、もったいなく思えてきちゃいましたよ。
まあ、カタールの1000大会はエントリーすらしていなかったので、この話はたらればでしたね。
せっかく無料で中東まで来ているのだから、来週のカタールの大会にもエントリーしておけばよかったと、少しだけ後悔しています。
まったく、義務教育中の我が身が恨めしいぜ。
そして、R16で私を手古摺らせたランキング3位の選手の名は、マルチナ・ポスピシロヴァ。
ポスピシロヴァって言い難いし、舌を嚙みそうな名前だよ。
ポスピシロヴァ選手は過去にグランドスラムも、ウィンブルドンとローラン・ギャロスを1度ずつ優勝している、かなりの強豪選手になります。
まあ、ポスピシロヴァ選手に手古摺ったとはいえ、結局のところ7-5、6-4のスコアで、なんとかストレートで勝てたんだけどね。
たぶんだけど、ポスピシロヴァの得意とするサーフェイスは、クレーコートとグラスコートなんだと思います。
グランドスラムもその二つサーフェイスの大会で優勝しているしね。
だから、ハードコートでは多少なりとも、本来の自分の実力を発揮できなかったのでしょう。
そう考えると、過去に2度のグランドスラム完全制覇を成し遂げていて、どんなサーフェイスでも問題なくこなす、オールマイティなクリスの異常さが際立っている感じがしますね。
クリスとポスピシロヴァとを比べると、クリスのほうが圧倒的に強かったですし、それがスコアにも如実に表れた結果になったのだと思います。
そして、準々決勝のクォーターファイナルでは、先月のニュージーランドのオークランド250でも対戦した、今大会の第7シードでもあるイタリアのサラ・ベルナルディ選手との再戦となりました。
そのベルナルディを相手にした準々決勝は、6-3、6-3というスコアのストレートで、オークランドの時よりも危なげなく勝てました!
もしかしたら、私にとってベルナルディは相性の良い相手なのかも知れませんね。
まあ、今のところ、ハードコート限定ではありますけど。
ベルナルディって絶対にクレーコーターだと思いますし。
こんな感じに勝ち進んで、セミファイナルまで進出したというわけですな。
このドバイの大会には、全豪オープンを制したクリスやランキング1位のシュタイナーも出場しているのですけど、幸いにも二人は反対の山だったので助かりました。
そう、クリスとシュタイナーの二人は、私の試合の後に行われるセミファイナルで激突して、潰し合うことになっているのです。
だから、全豪オープンのドローに比べて今大会のドローは、私に多少は有利なドローの組み合わせだったと言えるのでしょう。
まあ、それでもR16で第2シードと対戦させられはしたけどね。
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ズムズム実況
「さて、解説の吉沢由美さん。第1セットを日本の庭野が6-3で取り、第2セットもここまで5-2と庭野がリードしていますけど、今日の試合をここまで振り返ってみて、いかがでしたか?」
「そうですね…… 一言で言うなら庭野選手がえげつなかったと思います」
「えげつなかったですか?」
「はい、あそこまで嫌らしいぐらいに、徹底してバック側にボールを集められてしまうと、相手のウィンストン選手としては、かなりやり難かったと思いますよ」
「データを見ますと、82%とかなり高いパーセンテージでバック側にボールを返していますね。これは確かに、嫌らしいぐらいに徹底しています」
「両利きの庭野選手ですが、今日はあえてレフティで左を多用していますので、その数字になっているのでしょう」
「しかし、庭野の返球がバック側に来るのが分かっているのなら、ウィンストンも対処しやすいような感じにも思えるのですけど、吉沢さんそこのところはどうなんでしょうか?」
「今日の試合でウィンストン選手がミスした、アンフォーストエラーの数を見れば、一目瞭然だと思いますよ?」
「今日のウィンストンのアンフォーストエラーの数は、ここまででもう既に23本ですから、これは確かに平均よりもかなり多い数字に感じますね」
「そうですね。相手のバックにムーンボールやハーフロブを入れておけば、相手がアンフォーストエラーを量産して勝手に自滅してくれるので、庭野選手は勝ち筋が見えやすいですからね」
「つまり、左だと右が対戦相手の場合、バック側が有効ということでしょうか?」
「左対右の定石とも言いますけど、ここまで徹底して完遂できるのは、いい意味で庭野選手の性格が悪い証拠だと思います」
トップ10選手二人がモノローグでナレ死しますた(´・ω・`)
今回の解説は新キャラで、チームユミのコーチが登場です。
ハム子さまもジュニア選手の面倒をみたりとか色々と忙しくて暇ではないんや…