165話 きゃぴっ☆
サブタイに悩む…
キリが悪くなるので今話は、ちょっと短めです。
それはそうと、早速ですけど、スポンサーと契約した内容の特権を使う機会が訪れるとは、たまきちゃんってば本当についてますね。
そう、エミレーツのビジネスクラスに乗り放題というヤツのことです!
まあ、サナダさんの分までは無料にならないので、日本円で約14万は私が払ったんだけどさ。
サナダさんも私たちと一緒に移動するのに、私と麻生さんだけビジネスクラスというのも可哀想だから、ちゃんとサナダさんの席もビジネスクラスにしてあげたけどさぁ。
でも、エコノミークラスのチケットだったら、5万2千円だったんだぞ。
さらにLCCならメルボルンまで、2万5千円ぐらいのチケットもあったし。
そう考えると、たまきちゃんってば、マジ天使じゃん!
でも、認知させてないけど、一応遺伝上は娘のはずである私に14万を支払わせる父親って、それってどうなのよ? とか思わなくもない。
しかも、まだ中学生である娘に! まあ、嘘なんですけどね。
サナダさんとのヒッティングパートナーは、ビジネス上での契約ですので、サナダさんの仕事上で必要な移動経費は、雇用主である私が支払わなくてはならないのです。
でも、中学生の娘に雇われる父親って、それってどうなのよ? とか思わなくもない。
それで、私の乗り放題ですけど、乗り放題とはいっても、ドバイ便の往復以外で搭乗できるのは、テニスのツアー大会に出場する予定がある時だけなんだよね。
まあ、それはそうだよね。私がテニスの試合にも出ないで乗り放題だからといって、世界中を飛び回って遊び惚けたりでもしてたら、スポンサーの宣伝にはならないもんね。
だから、枷というのかケジメは必要ということですね。
いや? 私が機内の様子とかをSNSとかに投稿すれば、一応は宣伝になるのか。
でも、それだとスポンサーの趣旨と外れるのか?
私とは、あくまでもプロテニス選手として、スポンサー契約をしているはずですので。
しかし、ドバイ便の往復には本当に乗り放題になります。
まあ、ドバイに行くのは、トランジットを含めたとしても、多くても年に数回程度だとは思いますけど。
それで、オークランド国際空港には、エミレーツの自社便は就航していませんので、その代わりカンタスの便に搭乗することになります。
でもまさか、オークランドからメルボルンの間に、共同運航便が飛んでいるとは思いもしませんでしたよ。
しかも、自社便が就航していないにも関わらず、オークランド国際空港のターミナルの中には、エミレーツの専用ラウンジまであるのですよ。
これには、自称空港ラウンジ評論家でもある、この私も驚きましたね!
「プロになってスポンサーも付いたのだから、乞食するは絶対に禁止ですからね!」
「いえすまむ!」
麻生さんに釘を刺されてしまった……
でも、プロ選手になった自覚とでもいうのでしょうか? 私もそれぐらいはちゃんと弁えてますってば。
スポンサーのラウンジに入るのに、乞食するぞとは、さすがの私でも言う度胸はありませんよ。 ……本音では、言いたかったけどさ。
あー、でも、ある意味では、乞食のような気がしないでもないのかな?
契約とは本来お互いに利するモノがあるという、ギブアンドテイクだとは思うのだけれど、見方によってはスポンサーにたかっているようにも見えますしね。
私の場合は石油王との契約条件が良すぎるから、なおさらですね。
そのほかにも、オークランド国際空港には、カンタスの専用ラウンジやプライオリティパスで入れるラウンジとかもありましたけど、せっかく私のスポンサーになってくれたんだし、今回はエミレーツのラウンジにお邪魔することにしました。
契約には含まれてないけど、私が機内やラウンジでの様子をSNSに投稿するのも、スポンサーにとっては自社のアピールになると計算したから、スポンサー契約を結んでくれた気がしますしね。
私のフォロワーによる閲覧数や再生数って、数百万再生は余裕で行きますから、スポンサーからしたら馬鹿にならない数字だと思いますしね。
たまきちゃんはカリスマ女子中学生で、インフルエンサーなのです。キャピッ☆
まあ、スポンサー契約を締結する前から、私がそういう旅の非日常的な空間が好きだから、自分で好き勝手にSNSやようつべに投稿していたけどさ。
つまり、芸は身を助けるといった感じでしょうかね?
ちなみに、インフルエンサーとインフルエンザって似ていると思いませんか?
どちらも、拡散して撒き散らすのも同じだしね。
と、思ったら、どちらもラテン語由来で同じ意味からかよ!
そら、似た感じの語感になるわな。
でも、紛らわしいんじゃー!
※※※※※※
「あれ? ピアノがあるじゃん。前に来た時にも置いてあったっけ?」
「去年は置いてなかったはずですよ」
「そうだよね」
昨年、オークランドの空港に来た時には、この場所にピアノは置いてなかったはずですので、私が日本に帰国したあとにピアノを設置したのかな?
グランドピアノが置いてあれば、絶対に気付くはずだもんね。
「環希ちゃん、どうします? 弾いていきます?」
「飛行機の時間は大丈夫なの?」
そういえば、私にはピアノという、もう一つの芸もありましたね。
「搭乗まで、まだ一時間以上はありますよ」
「そっか、時間があるのなら弾いていこうかな」
ピアノが置いてあるのに、そのピアノを弾かなければ、ピアニストとしてピアノに対して失礼にあたるしね。
まあ、ピアノを弾く時間がなければ、後ろ髪を引かれつつも泣く泣くピアノの前を素通りするけどさ。
それで、ニュージーランドの有名な曲といったら?
じゃかじゃかじゃかじゃーん! ででんっ!
続きはまた来週~♪
まだニュージーランドから脱出できないw
現実のオークランド空港にピアノがあるのか不明ですが、この世界線の空港にはピアノが置いてあります。
最後、予想が当たる人は、たぶんいない気がする…