136話 みなさん、こんにちは~!
久しぶりに書けたのでうp!
全米オープンジュニア? なんですかソレ?
お元気ですか?
ニューヨークから無事に帰国して、婦人警察官の衣装に身を包んで登場のたまきちゃんです。
テニス選手から警察官にジョブチェンジというわけですな。
「今日、一日警察署長を務めますのは、テニスの全米オープンジュニアチャンピオンである庭野環希選手です!」
うん、婦警のコスプレをさせてもらえるとは思ってもいなかったので、恥ずかしい反面、嬉しくもあります。
そう、今日は私の自宅の近所にある新横浜警察署に於いて、一日警察署長の役目を仰せつかったのであります。
一日警察署長の役は、全米オープンジュニアで優勝した私へのご褒美みたいなモノでしょうか?
まあ警察も、その時々で話題になった人を一日警察署長に任命していますので、私が選ばれるのも時間の問題だったのかも知れませんでしたね。
それはそうと、私は全米オープンジュニアだけじゃなくて、全仏オープンジュニアとウィンブルドンのジュニア女王でもあるんだけどね。
でも、この場合に私の肩書って、どういうふうに呼ぶのがベストなんでしょうかね?
全豪オープンジュニアのタイトルは獲ってないのだから、ジュニアグランドスラム女王と言うのは憚られるよなぁ。
グランドスラム女王やチャンピオンというのは、四つの大会を全て制覇してこそ、グランドスラムの女王を名乗れるような気がしますしね。
でも、四大大会はカテゴリー的にはグランドスラムなのだから、四大大会の一つで優勝すればグランドスラムチャンピオンでもあながち間違いでもないという、ややこしい状況になっちゃうのですよ。
まあ、それはさておき、挨拶をしなければ。
「みなさん、こんにちは~!」
しーん……
おろ? なぜに返事が返ってこないんだ?
こういう場合には、お約束として「こんにちは」が返ってくるのが普通だと思ったのですけど。
どうやら今日この場に集まった人たちは、恥ずかしがり屋さんが多いみたいですね。
おんや? ご近所さんの顔見知りのオッサンを発見!
彼に犠牲にじゃなくて、彼に音頭を取ってもらいましょうか。
今日は私の家から近所ということもあってなのか、知っている顔の人もチラホラと見受けられます。
「みんな元気ないぞ~! もう一度言うから、大きなお友達から率先して挨拶の声を出してみましょう! 長谷川さん長谷川さん」
「ふぁ?」
「長谷川さんが音頭を取って下さい」
「せ、拙者がでござるか?」
貴方以外に、この場で私の知っている長谷川さんはいませんよ?
「そう、お ね が い」
「ま、任されたでござるよ!」
ふっ、私のウィンク一つでお願いを聞いてくれるのだから、長谷川さんはチョロかった。
「さあ、行くよ! みなさん、こんにちは~!」
「「「こんにちは~!」」」
ノリと気分は教育テレビのお姉さんのノリですな。
「は~い、よくできましたね! ただいまご紹介に預かりました庭野環希です! 交通ルールを守らない人は私が逮捕しちゃうぞ☆」
「庭野さん庭野さん、いきなり逮捕しないで、そこは注意や指導から始めましょうよ」
「あ、それもそうでしたね!」
広報のお姉さんからツッコミを食らってしまうとは。
「軽微な違反で逮捕ばかりしてると警察のイメージが悪くなってしまいますので、お願いしますよ。ところで、庭野選手」
「はい、なんでしょうか?」
「秋の全国交通安全運動の期間中ですけど、庭野選手は交通事故を減らすにはどうしたら良いと思いますか?」
むむっ! 本職の広報の婦警さんの質問は、私が答えるのに難儀しそうな質問ではありませんか!
「そうですね~。なかなか難しい問題ですね」
「簡単だと思ったのですけど、難しい質問でしたか?」
「漠然としていて含意が広すぎます。強いて言うのであれば、外出時には、なるべく公共交通機関を使いましょう。とかでしょうか?」
バスや電車を使えば、それだけ個人個人が事故に遭う確率は低くなる気がしますしね。
「え~と…… それはそれで地球環境に優しいエコではあるとは思いますけど、ほら、もっと別に、シートベルトをちゃんと締めましょうとか色々とあるじゃないですか?」
「そういえば、右見て左見て、また右見てから手を上げて横断歩道を渡りましょうとか幼稚園で習った記憶がありましたね」
「ええ、新横浜警察署の交通課でも毎年管内の幼稚園保育園を回って、小さなお子さんに交通ルールの指導をしております」
「飛び出しは危ないですから、その指導は絶対に必要ですよね」
小さな子供というのは母親や家族知り合いなどが道路の反対側に居た場合、わき目も降らずにトテトテテーと道路を渡ってこようとすることが多々ありがちなんですよね。
視野が狭いからなのか? それとも、ママを発見したらママ以外のことは考えられなくなってしまうのかも知れませんね。
あと、興味を引いたモノがあれば、それに一目散に突っ込んで行くとかありますもんね。
だから、子供は犬じゃないとか色々と批判はありますけど、親が二三歳の幼児に犬の散歩に使うみたいなリードを腰に付ける気持ちも一概には否定出来ないと思います。
批判する人は子育てをしたことがないか、子育てをしたことがあったとしても、きっと外出先で子供が危険な目にあったことがなかったのでしょう。
二歳ぐらいの幼児というのは、親が三秒でも目を離してしまえば、トテトテテーと何処かへと走っていってしまうのですから。
それが人込みでもあれば、迷子の出来上がりということです。
「庭野さんはまだ車の免許を取れる年齢に達してませんけど、歩行者の目線からドライバーに注意を促すことはあるでしょうか?」
「制限速度は守りましょう。運転中にスマホを弄ってはいけません。とか色々とありますね」
「スマホを弄りながらの運転は危険ですからね」
「思ったんですけど、制限速度を守って運転している人って少ないですよね?」
道路に制限速度があるのならば、その制限速度以上のスピードを出せないようにすれば、交通事故も減るとは思いませんか?
「そ、そうですね。ぶっちゃけ流れに乗っていれば、5キロ程度の速度超過は許容範囲とでもいいましょうか?」
およよ? 警察が法定速度という建前を押し通さなくても大丈夫なんでしょうかね?
他人事ながらも、少し心配しちゃいますよ。
「なるほど、逆に制限速度をクソ真面目に守って運転しているほうが、流れに乗れてなくて危ないということですか?」
「そうなりますね。警察も流れに乗っている車を止める程、鬼ではありませんので」
ふむふむ。なかなか話の分かる婦警さんですね。いや? この場合は警察の総意というヤツなのかな?
広報というのは組織を代表して、その組織が伝えたいことを代弁する役割ですしね。
警察の広報には、警察のお堅いイメージを和らげて市民に親しみを持ってもらえるようにするという、イメージ戦略の役割があるはずですしね。
「カツ丼食うか?みたいな仏心というヤツですね」
「あっはっは、カツ丼食うかは刑事ドラマの創作なんですけどね~。でも、なんでもかんでも杓子定規に取り締まっていたら、道路が麻痺してしまいますし、世間様から警察が嫌われてしまいますから」
この婦警のお姉さんも、なかなかノリが軽くて私としては気楽で助かります。
まあ、そういう人当たりが良い人だからこそ、広報に選ばれたのでしょうね。
「それは確かにおっしゃるとおりでしたね。私からも質問よろしいでしょうか?」
「交通安全に関する事でしたら、じゃんじゃん質問して下さい!」
さて、この機会に素朴な疑問を聞いておきましょうかね?
年末なのに、秋の全国交通安全運動という季節感ブチ怖しというw
おかしい、一日警察署長が一日では終わらなかったよ…
次話は明日の同じ時間に投稿の予定です。