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128話 夏といったらバカンス!


 フォートワースの25K大会も無事に終わって、次はフロリダに向かいます。


 25K大会での優梨愛ちゃんと萌香ちゃんの成績はといいますと、優梨愛ちゃんはQFで敗退、萌香ちゃんは頑張ったけどSFで負けてしまいました。

 まあ、私が予想したとおりであって、二人とも善戦はしたけどほぼ順当な結果だったといえるでしょう。25K大会はそんなに甘くはなかったということですな。


 しかしこれで、予選通過の1ポイントと合わせて、優梨愛ちゃんは10ポイント。萌香ちゃんは19ポイントを加算できたので、ランキングも多少上がりました。

 今大会で優梨愛ちゃんは650ドル、萌香ちゃんは1160ドルを稼ぎました。


 ゴルフと違ってテニスでは、ジュニア、アマチュアでもプロの大会に出場して勝てば、日当+遠征費分の賞金までは貰えるんですよね。ゴルフでも遠征費分ぐらいは貰えるのかも知れませんが。

 つまり、ITFの下部サーキット程度の賞金ならば、ジュニア選手でも丸々賞金がもらえちゃうのだ!


 ジュニア選手がグランドスラムの本戦を勝ち進んだ場合は、どうなるのかまで、そこまで詳しくは知らん。

 日当+遠征費以上の賞金は没収だと、数十万ドルとかロストする金額が大きすぎて、ジュニア選手のモチベーションが保てない気がしないでもない。


 でも、ジュニア選手がグランドスラムで活躍すれば大会の話題にもなりますし、あとで裏からスポンサーが補填してくれるのでしょうね。たぶんだけど。

 ジュニアとシニア、つまりアマチュアとプロとの境界線が曖昧なのがテニス界と言えるでしょう。


 それで、今大会で優梨愛ちゃんと萌香ちゃんの二人はポイントを稼げたので、秋以降に25K大会に出場する場合には、多少なりとも本戦にダイレクトインしやすくなったことは朗報だったと思います。


 ランキングが低すぎると、大会の開催場所によっては予選でさえ出場するのに苦労したりもするのが25Kなんですよね。

 一番楽なのは、ワイルドカードを貰って出場した大会において、推薦した主催者の期待にしっかりと応えて、結果を残してポイントを稼ぐことがベストだと思います。


 でもワイルドカードって、分不相応な実力なのに地元選手だからといって、推薦されることが多いのが玉に瑕なんですよね。

 だから、初戦敗退とかがとても多いのが、ワイルドカードで出場した選手の特徴なのです。


 それで話を戻しますと、これからフロリダの西海岸に向かいます。メキシコ湾側にあるブレイデントンという街で、二週間にわたってテニスの合宿をするのであります!


 そう、かの有名なフロリダのテニスアカデミーがある場所ですね。

 どうやらママのコネで、テニスアカデミーのコートで練習することが出来るようになったみたいなのです。


 あれ? 夏休みの優雅なバカンスはドコへ行ったのでしょうか?

 おかしいですね?


 テニスアカデミーの近くにも、サラソタ・ブレイデントン国際空港というのがあるのですけど、残念ながらも、ダラス~サラソタ間は飛行機が不定期にしか飛んでいませんので、タンパで降りることにしました。


 タンパ国際空港に降り立ってから、車でタンパ湾を横断すること二回。一時間ちょっとでブレイデントンのテニスアカデミーに到着しました。


 それにしても、アメリカって凄いです。そこらじゅうに空港があるのですから、アメリカって車社会と同時に飛行機社会なのだと実感させられます。

 こんなに沢山の空港の数は、日本では考えられません。


 まあ、それだけアメリカの国土が広いということなのでしょうね。


 ちなみに、アメリカの国内線に搭乗する時は、ビジネスクラス以上をお勧めします。

 それは何故かといいますと、アメリカ人は体がデカイ人が多すぎなんですよ。


 デカイだけならまだしも、相撲取りみたいな体格の人にでも隣に座られてしまった時には、自分の席にまではみ出してくるんですよ?


 野菜をトッピングしているピザやフライドポテトとか脂ぎっているブツを、野菜なのだからヘルシーとか本気でのたまって食べているのだから信じられません。

 さすがはジャンクフードで飽食の国、アメリカだと思わされます。私たち日本人とは一味も二味も違いますね。そこに痺れるあこがれる!


 そりゃあ太るわけだよ……

 まあ、私もアスリートが食べるには相応しくないはずである、ジャンクフードは好きなんですけどね。


 しかし、300ポンド以上の目方がある人は五割増し、400ポンド以上ある人は二座席分の運賃とかを強制的に徴収して、二つの席にまたがって座って欲しい気分にさせられるよ。


 まあ、エスタブリッシュメントの人たちの大半はスリムなんですがね。アメリカでは太っていたら、自己管理が出来ていない人間とか見做されてしまって、きっと出世が難しいのでしょう。

 でも、そのスリムな上流階級の人たちの大部分は、プライベートジェットで移動しているのだから、そもそも関係ない話だったのかも。


 つまり、一般人が乗る飛行機には影響がなかったよ…… ダメじゃん!


 まあ、一時間や一時間半とかの短時間であれば、エコノミーでも我慢は出来るのかも知れませんけど、隣の席に巨漢の人が座ったら圧迫感を感じてしまって、ストレスが溜まりそうなので私は嫌ですね。






 ※※※※※※






 夏といったらバカンス! 海水浴! メキシコ湾に浮かぶアンナマリア島へとやってきました!

 アンナマリア島は島とはいっても、全長は10km以上ありますけど横幅は500mぐらいしかありませんので、細長い砂洲が正解なのかも知れません。


 それで、アンナマリア島にやってきたはいいのですけど、少しばかり様子がへんなのですよ。

 水着にも着替えたので、てっきり私は海水浴でもするとばかり思っていたのですけど、違ったのかな?



「砂浜を3マイル先まで走って戻って来なさい」


「3マイルですか?」



 優梨愛ちゃんはママに3マイルと言われても、どうやらピンときてないみたいですね。

 世界中でアメリカだけが、未だに頑なにヤードポンド法を使い続けているのです。


 アメリカという国はアメリカ国内で、ほぼ全ての事柄が自己完結できちゃいますので、国際的な慣習に縛られないのでしょうね。

 あのイギリスでさえ、部分的にはメートル法を取り入れているのに、アメちゃんときたら……



「優梨愛ちゃん、4.8キロだよ」


「つまり、往復で砂浜を約10キロも走れと?」


「いぐざくとりー!」


「うへー、かなりキツそう」



 優梨愛ちゃんってば、走る前からバテた顔をしちゃいましたね。

 まあ、その気持ちは分からないではないけどさ。



「でも、この砂浜を走れば、かなり足腰が鍛えられると思うよ」


「環希の言うとおりね。あと、これを十日間続ければスタミナも付くはずだわ」



 それは確かにママの言うとおりなんだけれど、ママがスパルタだったなんて、いままで知らなかったよ!



「十日連続とか死んだ……」


「わたしも足腰ガタガタになりそうだよー」



 鬼軍曹である庭野まどかの言葉に、優梨愛ちゃんだけでなくて萌香ちゃんまで、死んだ魚の目になってしまったよ。

 目からハイライトが消えたともいいます。



「優梨愛ちゃんはフルセットの試合が多いんだから、スタミナを付けるのは有効なんだよ」


「あたしがフルセットの試合が多いのは否定しないけど、アンタに言われるとなんかムカつく」



 そんな殺生な。最近、優梨愛ちゃんが冷たい!



 ちなみに、水着はビキニタイプの水着ではなくて、残念ながらもワンピースタイプの水着を着用しております。

 ワンピースの水着もスクール水着ではありません。残念でしたね。


 誰に対しての残念なのか、自分でもイマイチわかりませんが……


 でも、砂浜を走らせる予定だったから、ママがビキニを禁止にしたのだと合点は行きました。

 ビキニで砂浜を走ったら、おっぱいぷるんぷるんになっちゃうもんね。おもに優梨愛ちゃんが。下手をしたらポロリでんがな。


 萌香ちゃん?


 うん、まあ、萌香ちゃんは私と同じぐらいか、もしくは少し小さいのかなぁ?

 でも、絶壁とかではなくて、慎ましいながらもちゃんと膨らみはあるよ。



「たまきちゃんが失礼なことを考えている気がする……」


「そ、そんなことナイヨ? 萌香ちゃんは誰かさんと違って、お淑やかで慎ましいんだよ」


「アンタ、誰かさんって誰のことよ?」


「お淑やかで慎ましいも、わたしの胸を見て言ってたらねぇ」



 あうあうあー、誤爆なのか自爆なのか、とにかく誘爆した!

 三十六計逃げるに如かずとか、昔の偉い人も言ってましたよね?



「二人とも走るよ! 付いてこないと置いてっちゃうよ!」


「あ、逃げた」


「環希、待ちなさい!」



 待たぬでござるよ!


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