120話 メリーのふるさと
いいサブタイが思い浮かばなかった…
成田からクアラルンプールを経由して、丸一日以上……
メリーのふるさとイギリスにやってきました!
メリーが誰なのかだって?
アンクルサムやジョンブルみたいな偶像化したモノだと認識しといて下さい。
しかし、クアラルンプール~ヒースロー間の13時間以上のフライトは長かった。
ビジネスクラスでのフライトだったとはいえ、疲れました……
私の中では、もしかするとママって、実は飛行機が好きで飛行機に乗るのも趣味なんじゃないの? とか、最近では秘かに思い始めてきているのですよ。
ママは空港でも、よく飛行機の写真とかを撮ったりもしていますもんね。
まあ、その割には、ボーイングとエアバスの違いとかは、あまり分かっていないようではありますけど。
ただ単に、その辺は無頓着なだけなのかな?
私も飛行機の外見だけでは、ボーイングなのかエアバスなのか判断できませんしね。
さすがに、ジャンボやA380は分かるけどさ。
それで、今日は七月の第一週の土曜日になります。
ローハンプトンのG1大会は変則日程でして、金曜日であった昨日が決勝だったのです。
つまり今日は、オフの日ということであります!
オフ日ということで気分転換も兼ねて、ローハンプトンやウィンブルドンから西南西に約10km行った場所にある、イーシャーという街にお邪魔しているのです。
イングランドの南部というのは、緑が豊かで住み心地も良さそうな土地柄の気がしますね。
車も左側通行ですし、英語もアメリカ英語よりも日本人には聞き取りやすい英語だと思います。
うん、私がテニスで稼いでお金持ちになったら、ロンドン郊外に別荘でも持ちたい気分にさせられるほどだよ。
イーシャーには、サンダウンパーク競馬場というのがあります。
そう今日は、エクリプスステークスの開催日なのであります!
エクリプスステークスの歴史には、ミルリーフやサドラーズウェルズ、ダンシングブレーヴなど、そうそうたる名馬が勝ち馬に名を連ねているほどの伝統あるレースが、エクリプスステークスなのであります。
イギリスの大レースって日曜日ではなくて、土曜日に開催されたりもするんですね。
そうではなくて、ウィンブルドンの前哨戦でもある、ローハンプトンのG1大会はどうなったのかですって?
ヒースロー空港で怒られましたけど、それがなにか?
まあ、ちょっと騒ぎになっただけですので、空港の警備担当者に注意されただけで済みましたけど。褒められもしたけど……
でも、仕方なかったんや!
イギリスで何を演奏しよっかな? とか考えてたら、そういやホルストってイギリス人だったよな? とか思い当たって、ホルストのジュピターを演奏したら、周囲の人たちが急に歌いだしてしまったのですから。
へー、イギリスでもジュピターに歌詞を付けてたのねー。とか暢気に思っていたのですけど、あとで麻生さんに聞いたら、この曲ってイギリスの愛国歌だったみたいなのでビックリしました。
なんで惑星の木星がイギリスの愛国歌になったんでしょうね?
まあ、それも麻生さんが教えてくれたのですがね。
ホルストのジュピターの一部分は、"我は汝に誓う、我が祖国よ"とか題名を付けられて、それはもう百年以上にわたってイギリスの人々に愛されていたのです。
さすがは麻生さんであります。博識でいらっしゃいますよね。
イギリスの愛国歌なんて、ルール・ブリタニアと威風堂々しか知らなかったよ。
あと、イギリスといえば、クイーン!
鯖生で食ったー! バナナ食ったー! とか、ウィンブルドンでの優勝を先取りした縁起担ぎも兼ねて、We Are The Championsを演奏しました。
まあ、バナナ食ったはハバナ殴ったに置き換えてもいいんですがね。
ハバナはキューバの首都です。だから意訳すると、カストロとチェ・ゲバラを殴った。と、こうなるのであります。
つまり、反共産主義の曲だったんだよ! な、なん以下ry
さすがは近代資本主義発祥の地、イギリスだと思いました。
そうじゃなくって、ローハンプトンのG1大会の結果はどうなったのかといいますと……
ローハンプトンは、一回戦のR64と二回戦のR32はダブルベーグルでサクッと勝利しました。
三回戦のR16では、ガブリエラちゃんと三月のバレンシア以来の対戦となりました。
そのガビーを相手にして、6-1、6-1のダブルポッキーでの勝利。
準々決勝QFは、ITFジュニアサーキットで優梨愛ちゃんと初めての対戦となりました。
その優梨愛ちゃんを相手に、6-2、6-3のストレートで勝ちを収めることができました!
準決勝SFは、カナダの選手を相手に、6-1、6-0で完勝!
そして決勝では、アナスタシアを相手にして、6-2、6-3のストレートで華麗にサクッと倒して優勝しましたけど、それがなにか問題でも?
優梨愛ちゃんとアナスタシアを倒したスコアが偶然にも同じスコアですね。
まあ、全仏オープンジュニアでの二人の実力差は僅差でしたので、私と対戦した場合でのスコアも似たり寄ったりになるのもむべなるかな。
「ちょっと格好つけて、むべなるかなって使ってみた」
「環希は一体、誰に向かって喋っているのよ?」
「……むべなるかな」
「あーはいはい、いつもの病気ね。ほら、メインのレース始まるわよ」
それで、ローハンプトンの大会では、私も珍しくダブルスに出場しました。
ガビーことガブリエラちゃんとペアを組む予定だった選手が、怪我で急遽大会をキャンセルしちゃったんですよね。
ガビーに泣きつかれてペアを組むのをお願いされてしまいましたので、また臨時でガビーとダブルスのコンビを組むことになったのです。
とりあえず、ローハンプトンの大会だけだけどね。私はウィンブルドンはシングルス一本で勝負の予定ですから。
しかしダブルスでは、QFで優梨愛ちゃんと萌香ちゃんのペアと激突して、私とガブリエラちゃんのペアは4-6、5-7のストレートで負けてしまったのです……
ガビーが集中して二人に狙われてしまったんですよね。私の守備範囲外でプレーされてしまえば、さすがに私でもお手上げです。
「……むべなるかな」
これでは、さすがのたまきちゃんでもどうしようもありません。
優梨愛ちゃんと萌香ちゃんは鬼畜だと思いました。
ここまで実質的には無敗で無敵であった私に、ダブルスとはいえ敗北という二文字が刻み付けられるだなんて……
まあ、ダブルスでの経験は私よりも、優梨愛ちゃんと萌香ちゃんの方が上ですので、私がダブルスで負けるようなこともあるのでしょうね。
私に勝った二人のドヤ顔に、ちょっとだけイラってきちゃいましたけど、心が空のように広いたまきちゃんはダブルスでの敗北は気にしないのであります。
だけどシングルスでは、二人に負けてあげる気なんてサラサラないもんね!
だからシングルスでは、優梨愛ちゃんをぎったんぎったんに叩きのめしたから、それでダブルスでの負けはチャラにしておいてあげましょう。
まあ、ダブルスよりもシングルスの方を先に試合したんだけどね。
ということはだ、私が逆に優梨愛ちゃんにシングルスの仇をダブルスで取られたということになるのかな?
でも、シングルスでは優梨愛ちゃんに勝ったのは事実なんだし、どうでもいいや。
ちなみに、萌香ちゃんは反対の山のQFで負けちゃったから、ローハンプトンのシングルスでの私との対戦はありませんでした。
私の実質的な初めての敗北という、この世紀の一戦の詳しい試合内容を知りたかったら、動画サイトを探せば簡単に見つかると思いますよ? たぶん。
優梨愛ちゃんと萌香ちゃんのペアは、私とガビーのペアに勝った勢いそのままで優勝しちゃいました!
この二人のコンビって、なにげに強くね?
まあ、庭野まどかのお眼鏡に適ったのだから、ダブルスの適性があるんだろうなぁ。
私の場合は、ママからダブルスをしなさいとか、あえて勧められませんので、そういうことなんだろうね。
エクリプスステークスの結果はといいますと、勝った馬の名前は知らん!
ママは「うぎゃー!50ポンド溶けたー!」とか叫んでましたので、どうやらお爺ちゃん譲りの賭博の才能は、残念ながらもママには備わってはなかったみたいでした。
しかし、麻生さんはニンマリとしていましたので、馬券を的中させたみたいでしたね。
ハブ殴ったー! では、ありきたりなんだよ(´・ω・`)