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117話 スリスリ…… あ~気持ちいいよぉ~

ひさしぶりにテニスの話を書いた気がするw

だけど、番外編ではテニスはオマケなのだー


 スリスリ……


 あ~気持ちいいよぉ~。


 スリスリスリ……


 あー、この感触は癖になりそうだよ。

 天上の心地良さとは、このことを差して言う言葉だったんですね!


 まあ、チクチクとするのですけど。



「環希ちゃん、いつまでそうしているのですか?」


「ふぇ?」


「坂巻さんと里田さんの練習の邪魔になりますので、どいてください」



 麻生さんに怒られちゃいました。



「いやー、この芝生の感触が気持ち良すぎて、つい頬擦りをしてしまったよ」



 グラスコートを作ってくれた、お爺ちゃんには感謝しないとね。

 芝生を造成してくれた職人さんも、まったくもっていい仕事をしてくれたよ。


 そう、ついに我が家のテニスコートの一画に、ようやく芝生が根付いてグラスコートが完成したのであります。

 グラスコートを作るのに掛かった金額は気にしないでおきましょう。


 全仏オープンジュニアで私が優勝したから、お爺ちゃんには400万ポンド以上は儲けさせてあげましたしね。

 しかしこれで、ウィンブルドンに向けて自宅でグラスコートの練習が出来るのだから、いろいろと捗るでしょう。



「グラスコートが完成して嬉しい気持ちは分かりますけど、いい加減にしないと、まどかさんのカミナリが落ちますよ」


「はーい」



 それにしても、グラスコートは管理が面倒そうですね。ちょっとでも管理の手を抜いたら、テニスでは使えない普通の芝生に早変わりしちゃいそうですし。

 これは、ゴルフ場のグリーンにも同じことが言えそうですね。


 しかし、そのうち他の日本人選手もグラスコートの練習をさせてくれとか言って、押し寄せて来そうな気もしますね。

 庭野家のプライバシーなんて、あってないようなモノなのですよ。どうやら、我が家に関して言えば、個人情報保護法が適用されていないみたいでした。


 その事実に、春には我が家のアンツーカーで練習してから、全仏オープンまでのクレーシーズンを戦う為に、欧州へと旅立っていった選手も数名いたりもするのですよね。

 日本ではアンツーカー以上にグラスコートは希少ですから、なおさらのことだと思われます。


 ここは一つ、日本のテニス界が発展するためにも、私たちチームマドカの練習する時間以外は、他の選手にもグラスコートを開放してあげましょうかね?

 具体的には、60分で2千円か3千円程度の使用料で。


 でも、西日本在住で時間に余裕のある選手は、ゴールデンウイーク中に私がしたみたいに、おそらくグラスコート佐賀で練習するのでしょうね。

 あそこぐらいしか、まともなグラスコートのテニスコートは日本国内にはありませんしね。




 ※※※※※※




「優梨愛ちゃんグラスコートでは、もっと膝を使ったほうがいいよ」



 優梨愛ちゃんのグラスコートでのストロークの練習を見ていて、少し気になったところがあったのでアドバイスしてみたところです。

 まあ、今はまだグラスコートに慣れる段階ですので、あれこれと口喧しく言わない方が良いのかもしれませんけど、修正できるうちに修正させておいた方が後々のことを考えると楽だと思いますので、これでいいのだ。


 修正が強制的な矯正になってしまうと、いろいろと大変なんですよね。

 矯正の場合だと、悪い点を矯正しているうちに良い部分までおかしくなってしまって、最終的にはボロボロになってしまうとかありますので。



「膝を使う?」


「球足が速いから、それにアジャストさせるには膝を使わないとね」



 グラスコートとは、球足が速く伸びるサーフェイスなのだから、それに合わせて意識的に膝を使って初動の対応を早くする必要があるのです。

 膝を使うとは、重心を地面にベタ足で接地させないとも言えるでしょう。


 やや、前のめりというか前掛かりの体勢をして、動き出しを早くするのです。

 低くて速いバウンドに合わせるのにも、膝を柔軟に使って対応しなければなりません。


 フットワークの柔軟性、冗長性を確保するとでも言えばいいのかも知れませんね。



「なるほど、そう言われてみるとそうなのかも」


「萌香ちゃんを見てごらん」



 そう言って私は萌香ちゃんを指差して、お手本として示してみた。

 萌香ちゃんは、ママとストロークの練習をしている最中だったので、ちょうど良いサンプルになってもらいました。


 グラスコートはバウンドも高く跳ねないから、膝を使って自分からボールを迎えに行かないと、上手くリターンを返すのが難しいサーフェイスといえるのかも知れません。

 また、バウンドもイレギュラーしやすいから、そのイレギュラーバウンドに素早く対応するためにも、他のサーフェイスよりも膝を使わなくてはならないのです。



「萌香さんを?」


「ほら、あんな感じだと出だしが早く動けるんだよ」



 どうやら、萌香ちゃんは私に言われなくても、ちゃんと膝を使えている感じでしたね。

 これが、優梨愛ちゃんと萌香ちゃんの二年の経験の差なんだろうなぁ。



「なるほど、あれなら確かに初動が早くなりそうだね」


「膝を使って素早く動けるようにしないと、相手にエースやウィナーをより多く献上する破目になるからね」


「おっけー、普段よりも膝を意識して使ってみるよ」


「習うよりも慣れろだから、優梨愛ちゃんも頑張ってねー」



 身体に染み込ませる反復練習って大事なんですよね。その反復練習をした動作が身体に染み込んでいれさえすれば、頭で考えるよりも先に無意識のうちに、身体が勝手に動いてくれるのですから。


 それにしても、ママも四十を過ぎているのに、よくやりますよね……

 萌香ちゃんはダブルスのジュニアグランドスラムのチャンピオンなんだよ?


 プロのツアーでも萌香ちゃんは、25Kでそこそこ良い勝負をしているんだよ?

 その萌香ちゃんを軽くあしらっているのだから、ママってまだ現役でも十分に通用しそうな気がしないでもありません。


 さすが現役時代には怪我一つしなかった、フィジカルお化けの庭野まどかといったところでしょうか?

 雨で日程が順延したので、シングルスとダブルスの準決勝と決勝を一日で四試合もこなして、その両方とも優勝してしまったバケモノが、庭野まどかというテニス選手なのですから。


 それもITFの下部サーキットの大会ではなくて、れっきとしたWTAのツアー大会での出来事だったんですよね。

 後にも先にも、一日でシングルスとダブルスの準決勝と決勝の四試合をこなして、どちらとも優勝したという選手は、庭野まどか以外には存在しないのである。


 そして、屋外で開催されるWTAの大会でも、隣接して屋内コートが作られるようになった昨今では、庭野まどかの記録に並ぶ選手は今後おそらく現れないであろう、偉大な記録となったのでした。

 ママの一日四勝して単複同時優勝という記録は、不滅の金字塔という言葉がぴったりと当て嵌まる偉業だと思います。


 でも、私も庭野まどかの丈夫でタフな身体という恩恵をDNAで受け継いでいるのだから、ママに感謝なんだけどね!


テニス未経験の作者がテニスを語る(`・ω・´)

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