114話 山手女学院は、お嬢様学校と呼ばれております
なにげに初めての学校での一コマ
「であるからして、抵抗2の電圧は200ボルトで電流は30アンペアなので、何オームになるのか? そうだな…… ヨーロッパに行ってもテニスだけでなく、ちゃんと自習もしていたのか庭野に答えてもらおうかな」
ほえ? 私かいな! 無体な。先生も意地悪ですね。
授業に関しては、私でも特別扱いはしないということですかそうですか。
「6.67オームですか?」
「正解ですね。オームの法則から抵抗は、電圧200ボルト÷30アンペアで=6と2/3オームになります」
オームの法則なんて、前世で中学二年生の時に習ったかな?
あと、フレミングの右手と左手の法則とかもありましたけど、どうも記憶が曖昧ですね。
こんなのを教えても、電気関係の仕事をする人以外には役に立たないような気もするのだけれど?
学校を卒業したら、生活に不必要な知識って徐々に抜け落ちていって、そのうち忘れてしまいますもんね。
だから、工業高校の電気科とかで教えればいいような気がしないでもない。
もっとも、理数系の人材を育てる下地を中学校の段階で作っているのかも知れないけど。
もしかしたら、異世界に転生しても大丈夫なように、今のうちから教えているのでしょうかね?
知識チートが使えたら、仮に異世界に行ったとしてもある程度は苦労も軽減される気がしますしね。
私という転生者が実在するのだから、異世界に転生してしまった人がいても不思議ではありませんし。
でも、学校教育で異世界でも役に立つ授業を教えるわけはないか。
だけど、真面目に勉強していれば、万が一に異世界に行ったとしても知識は役に立ちそうな気はしますね。
「それで、この時に電源の電圧は何ボルトになるのか? 分かる子は手を挙げて」
「たまちゃん、たまちゃん」
私の隣の席に座っているひなちゃんが、コソコソと話し掛けてきました。
「電源の電圧って抵抗の電圧を足した数だっけ?」
「そうだね。それが分かっているなら、答えは小学生でも分かる簡単な答えだよ」
「さすがはたまちゃん。さんきゅ」
「誰に答えてもらおうかな? じゃあ、なんか庭野とコソコソおしゃべりしていた米原にお願いしましょう」
ひなちゃん手を挙げてないのに、先生に目を付けられてやんの。
「300ボルトだと思います」
「はい、正解です。電源の電圧は各抵抗に掛かる電圧の和ですから、抵抗1と抵抗2の電圧を足すだけで良いのです。難しそうに思えるだけで、意外と簡単でしょ?」
つまりこれは、発電所から変電所を経て一般家庭まで電気を届けているのを、ざっくりと説明しているのと似たようなモノなのか。
電圧降下? 知らんがな。
サインコサインタンジェントはまだ習ってませんので、あしからず。
でも、この授業はその取っ掛かりだよね。理科の授業なんだけどさ。
そう考えると、理科と数学は切っても切れない仲なんだよね。
なるほど、だから理数系とかって一括りになるんだ。一つ賢くなった気がするよ。
「ふぅ、たまちゃん助かったよ~」
「ひなたお嬢さまのお役に立てたのなら光栄です」
まあ、コソコソとひなちゃんが話し掛けてこなかったら、先生に当てられなかったと思うけどね。
「たまちゃん、それメイド」
「わたくしは、ひなたお嬢さまのメイドですから」
でも、この勉強ってどう考えても、やっぱ電気工事屋さんの勉強だよなぁ。
それにしても、蒸し暑い……
今の季節は梅雨です。ジトジト蒸し蒸ししているから、不快指数も跳ね上がります。
つまり、何が言いたいのかといいますと、教室全体がなんとなくメス臭い気がするのですよ。
女性には月の物があります。
そして此処は女子校であります。
つまり、生徒全員が女の子であります。
だから、クラスメイト三十数名の中で、最低でも三割か四割の確率でアレの期間が重複しているはずなんですよね。
つまり、メス臭いといいますか、鉄のような臭いが教室に充満しているような感じがするのだ。
若い男の先生の場合、理性を保つのに苦労しそうな気がしますね。
あー、でも、教師の性犯罪率って一般人に比べて高そうな気もしましたね。
若いメスの匂いに当てられてしまい、理性のタガが外れやすくなってしまうのかな?
しかしそれでも、理性を保ってこその聖職者だと思います。
それなのに、性職者にジョブチェンジしちゃう教師が、多すぎる気がしないでもありません。
まあ、若い異性の匂いに脳味噌がノックアウトされてしまうのでしょうね。
ましてや、新陳代謝が激しい十代の女の子の集団ですので、なおさらの気がしますね。
さすがに、魚の腐ったような臭いまでしないのが救いといえば救いなのですが。
その場合は子宮系の病気の可能性もありますので、お医者さんに掛かることをお勧めします。
というか、素直に病院行け。
まだ、私たち女子中学生は、多少は恥じらいもあってお淑やかなんですけど、優梨愛ちゃん曰く、どうやら高等部は違うみたいです。
足をガニ股に開いて、「あぢぃ~」とか言って、スカートの中を下敷きで煽っていたりするらしいですよ?
山手女学院はお嬢様学校と世間では認識されております。
そのお嬢様方が、ガニ股で下敷きを団扇代わりにして扇いでいる姿など、世間様には見せられない醜態だと思います。
うん、男どもの淡い幻想をぶち壊してしまったような気がしないでもない。
でも、男の目がない女子校なんて、プライベートの女の子の普段の姿なんて、こんなもんなんやで。
恥じらいのないオバチャン予備軍が、女子高生と言えるのかも知れません。
花の女子高生であっても、三十年後四十年後には立派なオバチャンなのだから、ある意味においては女子高生の時点でも、これが正しい姿なのかも知れないけどさ。
でも、なんか嫌だ……
ちなみに、ひなちゃん曰く私は上品な柑橘系の香りがするらしいですよ?
でも、ひなちゃん。それってボディソープの匂いでっせ。