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2 0-2 0-30 負けちゃった♪

アナスタシアさんとの試合は尺の都合でキンクリされました…

環希と萌香ちゃんの二人だけの回って、もしかしたら初めてかも?


「負けちゃったー」



 負けたのは私ではありません。


 私は準々決勝のアナスタシア・トハチェフスカヤには、6-1、6-2のストレートで勝ってますので。

 それに準決勝セミファイナルも、ノーシードから勝ち上がってきたベラルーシの選手を相手にして、6-2、6-0のストレートで破って決勝に進出しておりますので、あしからず。


 順調にベーグル職人の道を歩んでいる気がする今日この頃であります。


 あれ? なんか最近、似たような状況があったような気がしますね。

 天丼職人といえるのかも知れません。



「残念だったね。でも、惜しかったよ」


「さすがにランキング二位は強かった……」


「でも、一セットは取れたんだし、ランク二位をあと一歩の所まで追い詰めたんだから、善戦はしたんじゃないかな?」



 そう萌香ちゃんは、準決勝まで勝ち進むことが出来たのだけど、その準決勝で第二シードの選手を相手に、6-4、3-6、5-7と惜しくも逆転負けを喫してしまったのです。


 ちなみに、ジュニアランキング一位で今大会の第一シードであった選手は、私が準決勝で破った相手にR16で敗退していました。

 ノーシードでも、第一シードに勝てるのがテニスという競技なのです。


 ジャイアントキリング、怖いです。


 とくにジュニアの女子では、ジャイアントキリングが起こりやすい傾向があるような気がしますね。

 これからは私も追われる立場になるのですから、ジャイキリされないように気を引き締めなければいけません。



「あと一歩とか、善戦では意味がないんだよー!」


「そ、そうだね」



 いつもは負けても大人しいはずの萌香ちゃんが、珍しく荒ぶっていますね。

 余程、負けたのが悔しかったのでしょう。



「やっぱやるからには、勝負事は勝たなければダメなんだよ」


「まあ、それは確かに、萌香ちゃんの言うとおりかも知れないけど」



 アスリートのメンタリティー的には、勝つことが至上命題と位置付けているアスリートは多い気がします。

 また、そうではなくては、アスリートとは名乗れないのかも知れません。


 試合の始まる前から、負けてもいいやとか思って試合に臨むのは、アスリートとは言えないと思いますしね。

 でも私の場合は、どうなんだろ?


 どうでもいい試合では、負けてもいいやとか思ったことも過去にはあったような、なかったような……?

 まあ、さすがに大事な試合では負けたいとは思いませんので、ノーカンということで。



「マッチポイントを握れたけど、そのチャンスを二回とも活かせなかったよ……」



 萌香ちゃんの対戦した相手が、マッチポイントを二回も跳ね返しただなんて優梨愛ちゃん並みに、しぶとい精神をしていそうな感じがしますね。



「さすがは、世界ランキング二位の底力ってヤツだった?」


「うん、そんな感じかな」


「萌香ちゃんが勝ちビビりをしたってことはない?」



 勝ちビビリとは、勝利を目前にして慎重になりすぎてしまって、勝ちを逃すことですな。

 勝利が手から零れ落ちるともいいます。



「う~ん、べつに勝ちビビりしたつもりはなかったんだけどなぁ」


「そっか、それじゃあ相手が一枚上手だったんだね」



 ジュニアランキングの二位という肩書は、伊達ではなかったということか。



「でも、あと1ポイント取れれば決勝だ!みたいに、やっぱどこかで気負っていたのかもね」


「それは確かに、平常心でプレーするのは難しい場面ではあるよね」



 それでも、平常心を心掛けてプレーをしなければ、足元をすくわれるのがテニスなのだから。

 しかしこれは、どの競技にも当て嵌まる普遍的なことでしたか。



「あ~あ、全仏オープンジュニアの決勝という大舞台で、たまきちゃんと日本人対決をしたかったなー」



 それは私も萌香ちゃんと同じ気持ちだよ。

 でもその楽しみは、ウィンブルドン以降への楽しみが増えたと思って、大事に取っておきましょう。



「萌香ちゃんの仇は、ちゃんと私が決勝で取ってあげるから」


「わたしの分まで、たまきちゃんに頼んだよー」


「うん、大船に乗ったつもりで任せてよね!」



 同志萌香は本当は強かったのだと、パリジャンとパリジェンヌに教えて差し上げましょう。

 そう、萌香ちゃんの名誉のためにも。



「こうなったら、たまきちゃんにシングルスは任せて、わたしはシングルスの代わりに、ダブルスでは絶対に優勝してやるんだから!」


「萌香ちゃん、その意気だよ!」


「でも、さっきの試合のダメージがちょっと心配」


「シングルスを早めに負けた方が、ダブルスの体力面では有利だからね」



 この後、夕方頃からダブルスの準決勝があるのです。

 一日で二試合は疲れると思うけど、萌香ちゃん頑張れ!


 シングルスとダブルスを掛け持ちしている場合では、雨とかで日程がギュウギュウ詰めになって、下手をしたら一日で三試合をこなす破目になる。そんな事態も稀にはあるのです。

 その一日で三試合、それよりかはマシだと思ってもらいましょう。



 その萌香ちゃんを破って、私と決勝で戦う相手の名前は、イザベル・ダラディエという17歳の地元フランス期待の選手でした。

 イザベルちゃんは今年の全豪オープンジュニアの決勝で、アナスタシア・トハチェフスカヤを破って優勝しているのです。


 もう既にプロサーキットでも、25K大会での優勝の実績があったりもするのが、イザベル・ダラディエという強豪選手なのである。

 こりゃ、決勝戦は完全にアウェーでの戦いを強いられそうな感じでしょうか?


 これだけの実績があれば、ローラン・ギャロスもジュニアではなくて、シニアの方に出場していても良さそうな気もするのですけど、なんでわざわざジュニアの大会に出てきたんだ?


 こっちくんな! あっち行けあっち!


 まあ、イザベルちゃんはまだ17歳なんだから、ジュニアの大会に出場する権利はあるんだけどさぁ。


 そう思っていたんだけど、どうやらイザベルちゃんは今年のローラン・ギャロスでは、ジュニアとシニアを掛け持ちして出場していたみたいでした。

 シニアの方は、予選のQ3で惜しくも敗退しちゃってたとかなんとか。


 ジュニアのグランドスラム優勝者とはいえ、プロの壁は分厚かったようですね。

 これがジュニアとシニアとの壁なんだろうなぁとか思ったりもしました。


 でもまあ、萌香ちゃん相手に苦戦しているぐらいなのだから、私の敵ではないと思いますがね!

 そう考えると、萌香ちゃんと優梨愛ちゃんは、私が二人の力量と手の内を知り尽くしているのだから、私が対戦する相手のレベルを測るのに、ちょうど良い物差し代わりのような気もしますね。


 鉱山のカナリアやリトマス試験紙ではないはずです。 ……たぶん。


思えば、ココのウィンブルドン四回戦進出は、近年では凄い出来事だったんだなぁ

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