局地戦
カテゴリーは、ここで合ってますか?
辺りは、先ほどまでの戦いなどうそのように、静まり返っていた。
「ちっ」
真っ赤に濡れた自分の手を見て、舌打ちをする。
腕にも、同じサイズの赤い痕。
いつだってそうだ。初めてこいつらに出会った時から、このやり取りは変わらない。
「やったのか」
「あぁ、やった」
ぐっと、手を握ると、少し、ぬるっとする。
なのに乾き始めたものが、少しだけパリッとして。
「傷を見せろ」
そう言って全身をチェックし、互いに傷の手当てをしてく。
薬が、傷にしみる。
「大人しくしていれば、死ななくて済んだのに」
手当をしながら、つぶやく。
「やるか、やられるかだ。それはあいつらも知っている」
冷酷だなんて思うだろうか。
いや、この戦いが始まった時から、冷酷じゃなかった事なんて、只の一回もないだろう。
物心ついたときには、もうこの戦いに身を投じていた。あれから、もう何十年……
毎年、同じ季節にやってくる奴らを、迎え撃つことにはもう慣れてしまった。
奴らもそれをわかっていて、少しでも気を抜けば、容赦なく襲い掛かってくる。
最初のうちは、なすすべなく蹂躙されていたこともあった。
あのころは、無力だった。ただ、助けを呼ぶことしかできなかった。
しかし、その侵攻を、黙って受け続けてきたわけではない。
時に守りに入り、時に打って出て。
そうやって、自分たちの生活圏を守ってきた。
安全圏と言ってもいい。
最初は目に見えるバリアを張り。
突破されればバリアの目をより細かいものとし。
バリアは次第に、はっきりとは目に見えないものとなり、最終的には侵入してくる敵を、自動で攻撃するものとなった。
そうなるまでに、どれだけの犠牲が双方に出て、どれだけの血が流れたことか、わからない。
わかるのは、そういったものの上に、この戦いは続いているということ。
背中を気にしないで済むというだけでも、どれだけ安心できるだろうか。
そして、今はこうやって、攻勢に出ることができる。
誰かを、守ることができる。
今の俺は、エースだといわれる。
だが、それが何になる。
ただ、この戦いに生き延びてきたというだけの事だ。
誰かが囮になって、その間に別動隊が奴らを叩く。
何の発展性もない戦い方を繰り返して。
あいつは、途中で挫折した。
逃げまどい、倒れたあいつに群がっていた奴らの事を、俺は許さない。
プ~ン……
どこからともなく、音が聞こえる。
「敵襲!」
ハッとする。
まだ戦いは終わっていない。
巣食う奴らを駆逐すること。
そうしなければ、守ることはできない。
「防御陣を形成、持ちこたえろ」
火がおこされ、新たな煙が立ち込める。
「すごい数だ、守り切れるのか」
ここにいれば、奴らはやってこない。
だが、これでいいのか。
このまま、安全な所にいて本当にいいのか。
「安心しろ、今年の俺達にはこれがある」
そう言うと、一本の筒が差し出された。
そうだ。
俺達には、これがある。
キンチョールを片手に、俺たちは立ち上がる。
明日の勝利をつかむために。
ありがとうございました。




