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プロローグ -西の獅子ー
我々は圧倒的人数差で蹂躙し既にその門をこじ開けているはずであった。なのに何故今現在誰一人としてその門に至っていないのか。それは簡単な理由である。西の門を守っているヤツの力が3万の我が軍より上であったのだ。その力量差は圧倒的であった。空には常に幾千もの槍が飛んでおり、門に近づこうとする者を貫いた。それを恐れて後退したものはヤツの矢によって頭を射貫かれる。ヤツに恐怖した我が軍は散り散りになっていた。こうなってしまっては後退の命令も伝わるまい。全滅するのも時間の問題だ。
獅子は兎相手にも手を緩めないという。ヤツにとって我々はただの兎の群れだったのだろう。
「あれがグリード王国の西の獅子か!」