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9/23

9.3/4日目 相棒

「そういや、こことももうお別れか...」


 2日ほど過ごした洞窟に向けてそう言った。というのも、俺はこれから町に行くつもりである。


「なんか名残惜しいな。よし、壁に文字でも書くか」


 俺は初日からお世話になっている錆びた剣で壁に文字を入れていく。


「北風、ここを去る…っと。まあ、ここで日本語が通じるとは限らねえが」


 逆に言うと、日本語が通じる可能性もある。天精が日本語を使ってるからだ。

 通じればいいがな...


『そろそろいこ!』


 ああ、はいはい...

 アリオンが話しかけてくる。アリオンには街に出ることを言っていないが、そこは今から何とかする。アリオンが町に溶け込めるかは分らないが。ってか溶け込みそうにねえが。

 とりあえず、町に行くことを言ってみるか


『なあ、これから俺らは町に行くが...大丈夫か?お前?』

『大丈夫!多分!』

『多分って...まあ、進化すれば強くなるか。肉狩りは頼んだぞ。』

『りょーかい!』


 全く、かわいいなあ。ちょっと頼りない感じがするが、まあそれは俺が何とかすればいいだろう。

 と、洞窟の前でいろいろ考えていると、目の前に嫌な奴が現れた。タートルドラコ...亀野郎だ。


「ガアアア!」


 タートルドラコは咆哮する。


「グガア!」


 アリオンも咆哮...ちょっと可愛い感じの咆哮だ。

 タートルドラコはアリオンに向かい突進する。

 アリオンは避けるそぶりも見せず、むしろ真正面からぶつかっている。おれはとっさに声が出た。


「危ない!逃げ...え?」


 アリオンの様子を見て俺は腰を抜かしそうになった。アリオンは真正面からぶつかり…亀野郎の胴体を貫通して立っていた。


『こんなもんかなぁ、あ、肉!』

『...一応参考程度に聞いとく、今のは?』

『ドラゴンヴレイヴ...っていうの?まあそれ』


 レアSの主魔法は半端ない。それを痛感さされた。

 そういや、アリオンのレベルは...

・種族:子ドラゴンLv5/5(通常10)MAX

 お、進化できんじゃん。そういや、進化権は俺にあったな。ちょっとやってみるか。


『魔物進化を行いますか?』


 おう、やるぜ。


『進化先を表示します。進化先には、主に使う属性と、攻防のどちらが得意かなどを知ることができます』


 へえ、結構便利だな。っじゃ、進化先表示頼む


『通常進化

中ドラゴン 無属性 バランス

世界を変える者

ファーヴドラゴン 無属性 攻撃型

ナーガドラゴン 無属性 防御型』


 うっわ、世界を変える者特別枠かよ。もう特別枠にするしかないじゃん。

 とりあえず、というかこれからは必然的に攻撃力が必要だ。攻撃は最大の防御っていうしな。というわけで、アリオンはファーヴドラゴンにするぞ。


『進化先をファーヴドラゴンに確定しますか?』


 おう、いいぞ


『進化先を設定しました。これから進化を開始します』


 そう言ってテレパシー...アナウンスが終了すると、アリオンが光り始めた。

 次第にその光は大きくなっていき...2mほどになった所で止まり、収束した。

 その光の中から出てきたのは...黒い鱗に覆われた、愛らしさが少し残るドラゴンだった


「グオオウ!」


 咆哮も少し可愛げがあるが、前よりたくましく成っている。ていうか、かっけえ。

 身長は俺と同じくらいで、西洋のドラゴンのように2足歩行で背中に翼が生えている。頭部は角が2本生えており、顔はかっこいい。うん、とてもかっこいい。


『あ~あ~...聞こえるか?』


 そう話しかけてきたのはアリオンだった。


『お前...精神年齢上がってね?』

『そうか?そういや、お前みたいなしゃべり方だな。声変わんねえけど』

『なんか急に頼もしく...頼もしいか?俺が2人いるようなもんだぞ?』

『相棒と同じにされるとは悲しいな』

『覚えとけよ...この野郎』


 天精並み...というか、むしろ天精よりめんどくさそう。

 さて、ステータスは...


・名前:アリオン

・種族:ファーヴドラゴンLv1/25(通常50)

・職業:相棒

・HP:250/300

・MP:130/400

・装備

竜のうろこ

・ウェポンマジック

ドラゴンブレイク レアS

ドラゴンヴレイヴ レアS

ファイアブレス レアA

アクアブレス レアA

ディグブレス レアA

フィルア レアB

グロウ レアB

ハイドロブレス レアB

・サブマジック

いずれ世界を変える者 レアSS+ 偽装中

相棒テレパシー レアS

レベルUP上限引き下げ レアS

成長速度UP レアS


 やべえ、鰐がかすんで見えるわこれ。間違いなく今までの中で一番つええわこいつ。種族説明も聞いとくか


【ファーヴドラゴン】

数々の魔法を扱う。攻撃主体で、並みのモンスターなら20匹相手でも互角以上に戦える。


 20っ匹!?俺、2体でも結構しんどかったのに...


『ま、これが俺との違いってこったな、相棒』

『るっせえ、でもこれからも頼むわ』

『もちのろんだ。相棒!』


 そういってアリオンはグーサインを送る。が、俺は1つ気がかりなことがあった。


『なあ、相棒ってはずいからやめようぜ?』


 俺は愛称で呼ばれるのが得意ではない。特に、相棒とかそういうのは...


『いいじゃん、これから人生を共に歩むんだし』

『なんかかっけえな。じゃなくて、相棒は...ね?』

『気にすんなよ、相棒。じきになれるだろ』


 慣れるしかねえのか、と俺は思う。とここで俺は気づく。

 俺、洞窟の前から1っ歩も動いてねえ。

 そういや、道に行くには天精ナビがいるな、よし


『おーい』

『ん?なんだね』

『なんか返し方いつもと違うな』


 そんな違う気もしないが、まあいい


『早速本題だ。俺を町までナビってほしい』

『なんだその単語は。まあ、分かった。ただ、私も最低限しか行わないよ』

『了解。まずどっちだ?』

『このまま、洞窟を出た方向のまままっすぐだ。』

『了解。』


 そしていったんテレパシーを中断し、アリオンに言う


「こっからまっすぐに行く。ついてこい」

「グオウ!」


 俺たちはまっすぐ歩いた。

 途中、坂道だったり、岩があったり、魔物が群れで襲ってきたりしたが問題ない。結構危なかったが。

 歩いていると、木の実を見つけた。リンゴ、っぽい。俺はさびた剣で切る。こいつ持って来といてよかったな。


 むしゃむしゃ...うまい!最近肉しか食ってなかったから、とてもうまい。

 リンゴを1つ食べ終わると、アリオンがこちらを見ていた。


『...ほしいのか?』

『...いや、そういうわけではないんだが...』

『じゃ、なんだ?』

『...それ、毒入りだぞ』


 え、っとおもった瞬間、手足がマヒした。


「が、ぐううぅ」

『おい、大丈夫か!』


 そういうと、アリオンは魔法をかけてくれた。


『今のはなんだ...?』

『グロウ...だったっけ?治癒魔法だな。』

『そうか...いや、ありがとよ』


 そういってまた歩き始めた。

 リンゴの木から3時間ほど歩くと、天精からナビが来た。


『次の分かれ道は右だ』

『了解』


 そして、分かれ道についたところで、気づく。


「もう夜だな...いや、結構歩いたな。今日はここで野営かぁ」


 気がかりなのは、あとどれくらいかということ。


『あとどれくらいだ、天精?』

『そうだね...あと5時間ほどだね』

『そうか...ありがとよ』


 すでに8時間は歩いている。流石に足が限界だ。


「さあ寝るか...おやすみアリオン」

「グオウ...」


 そう言って2人は眠りについた。

***************************************

 次の日


「っしゃ!今日も頑張っていこう!」

「グオウ!」


 すっきり起きれた。朝日が、いい感じに上っている。


「さて行きますか。この調子だと、昼頃には着くかな」

『そうだね。でもここから分かれ道が多いよ。ちなみに、次は右だよ」

『覚えてるって。っじゃ、後で頼むわ』


 そう言って朝の日課...というよりは俺が好きでやってるだけだが。ともあれ、それを終えて俺はまた歩き出す。

 それからの道のりは、長かったが厳しいものではなかった。空気はきれいだし、魔物も少ない。町が近くに来ているのだろう。まあ、道中にあったミカン食べたらマヒったが。

 そうして4時間後、ついに町が見えてきた。


「すげぇ...めっちゃ中世風だな。しかし...壁高くね?10mはあるぞこれ」


 割と高めな壁が見えた。


「ガオオオ」


 アリオンも興奮しているのか、大きな咆哮を上げた。しかし、ここでは目立つだけだ。


『すまんが、咆哮抑えてくれね?きづかれると困る』

『わあったよ相棒』


 相変わらず、相棒と呼んでくるアリオン。まあ、もう慣れたっちゃなれたが。

 そうして歩くこと2時間。ついに、森を抜け、平地に出た。町に入る門はもうすぐだ。

 しかし...ここで魔物使いだとバレるとまずいことになる。流石にそんなポンポンと見破られることはないと思うが、魔物を連れてたら誰でもわかりかねない。そこで...


『すまねえ、お前はここで待っててくれ』

『なんでだ相棒?』

『場の混乱を防ぎたい...が第一かな?俺が魔物使いだとバレたらまずいことになる』

『んなもんふっ飛ばせばいいじゃねえか。相棒よ?』

『門にいる奴だけならそうかもしれねえが...流石に軍相手に善戦できるほど俺らはまだ強くねえだろ?』

『...なるほど、分かった。しくじんじゃねえぞ相棒』

『おうよ!』


 俺はアリオンを森に置いていき門に向かった。と言っても、400メートルくらいなのであっという間についたが。

 俺は門に着くと、衛兵みたいな奴に入国審査みたいなことをされた。


「職業は?」

「無職...ってか狩人だ。」

「ここに来た目的は?」

「素材をうっぱらって武器にしたい」

「なるほど、よし入れ」


 っぶねえ、いけた、人見知りにしてはよくやった、よかった。でもアリオンどうしよう...まあ、何とかなるだろ。

 俺がほっとしていると、横のもう一人の衛兵が焦っている。

 その衛兵の手元の石...スマホのような石が赤く光っている

 そして衛兵は言った。


「こ、こいつ...魔物使いです!」


 うわぁ、やっちまった。まさか検知器みたいなのがあるとはとは。

 俺はとっさに錆びた剣を構える。くそ、相手の剣のほうが強い!錆びた剣と手入された剣では太刀打ちできそうもない。俺は死を覚悟した。記憶が走馬灯のように駆け巡る。

 思えば...この剣とは異世界で一番長い付き合いだな。この剣のおかげでいろんなことができた。亀切ったり狼狩ったり...こいつには頭が上がらねえや。アリオンとも短い付き合いだったが...ありがとよ。天精も、なんだかんだいって俺を助けてくれたっけ。そう考えると、異世界も悪くなかったな。

 そして、衛兵の剣が俺の上半身を...



 切り裂く直前、爆煙が俺の周りを覆った。俺は煙を切り分け、視界を確保しようとした瞬間...何かに殴られ意識を失った。



 意識を失う直前、白い髪を見たような気がした。


これにて序章終了です。序章にしては長かったような気はしますが...

ここまで見てくださりありがとうございます。1章もそのうち上げるので、気長にお待ちください。

※感想や誤字指摘など、大歓迎ですので気軽にしていってください!

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