6.2日目 これから...
「しっかし、魔法ってどうやって使うんだ?」
粘土の崖を見ながら、俺は言う。
「魔法って杖使うイメージだけど、んなもん持ってないぞ」
俺は、さっき手に入れた、ミアルについて考える。
「なんであのタイミングで...って思ったが、そういやあいつもミアル持ってたな、それか」
どうやら、この世界の魔法は、魔法を持っているモンスターとかを倒したら、持っていた魔法をとれるみたいだ。となると、火魔法の習得はもっと先になりそうだが。
「んじゃ、ミアル使ってみるかな、『ミアル』!」
そう言ってみたが、何も起こらない
「ん、違ったか?じゃあ、今度は...『ミアル』!」
腕を突き出す。直後、水の球体が掌の上にできていた。
「すげえ、しかも、腕動かしてもついてくるぞ、これ」
ボールをつかんでいるという感覚が、腕にある。
「これを粘土につければ...」
水のボールを粘土に向ける。岩のような粘土が、市販の紙粘土並みに柔らかくなった。
「やべえ、これはすげえ」
その後も何度か粘土を取り、腕いっぱいに抱え、洞窟拠点に戻った。
「これだけあれば剣の型とかいろいろ作れるだろ」
まずは粘土をこね、それから焼く。
「これでいいんだよな?よくわからんが」
直後、粘土が音を立てて割れた。え...えーと...うん
「…萎えた」
そして、俺はある結論に至った
『おい、天精』
『なんだね急に』
『ダメかよ』
オープニングトークをはさみながら、今後について話す。
まず、ドラゴンが孵ったら人里に降りる。これは、食料の安定供給、生活安定化のためだ。金は、この森の物でもうっぱらえばいくらか貰えるだろう。
次に寝床だ。アパート的なものがあればいいが、なければ森で肉などを刈り、一軒家でも買おう思う。
人里に降りれるかも微妙だし、そもそも珍しいと思う黒髪黒瞳でコミュ障が行けるが難関だが、今よりは安定した生活を送れると思う。
『…というのが今後についてなんだが、どうだ?』
『...ふむ、なるほど』
『いまちょとおっさん臭かったぞ』
まじめな場面でふざけるという俺の悪い癖だが、まじめなのは自分に合わないので、ごまかしているだけともいう。
『んで、あなた様的にこの発想はどうよ』
『いや、私はいいよ、ただね...』
『ただ?』
『この地方では、魔物使い...特に強大な魔物を仲間につける人間は差別を受けるよ』
『は...え?』
一瞬なぜか分からなかったが、差別するのには無理もない。自分より強い相手を怖がり、差別するのはどこでも同じだ。しかし、引っかかるのは、最初の『この地方』と言ってたことだ。つまり
『別の地方に行けば、支援を受けられるのか?』
『そうなるね、ただ、この国は島国だ。易々と外には出れないし、魔物使いには特に警戒されている』
『んなもん、魔物隠せば…』
『残念ながら、どうやってもバレるんだよ。君がHPとか見れるのと同じ原理だ』
『なるほど...』
半ば人里に降りる勇気が削がれたが、それでも...
『それでも俺は人里に降りるぞ、もう一人は寂しい』
『まあ、君が決めたのならいい、全力でサポートしよう』
『あんがとよ』
『それより、ステータス割り振りしといたら?』
『あ、そうだった。完全に忘れてたわ』
『あとこれから私と話すときは手を合わせてくれ』
『なんでだ?』
『そっちだとMPをほとんど消費しない。それにテレパシー自体は珍しい魔法でもないから、ぼけっと立って居るよりはそっちのほうが混乱を避けれるだろう』
『なるほどな。じゃあ、これからは好きな時に好きなだけ話せるのか?』
『そうなるね。ただ、移動中は避けたほうがいい。いつ襲われるか分からないからね』
『了解。んじゃ、あとで』
『またね』
それを区切りに、テレパシーは途絶えた。
『【天の声干渉】が【テレパシー】に変化しました』
『スキル隠蔽が発動しました』
『【テレパシー】がスキル隠蔽されました』
『【テレパシー】の必要MPが0になりました』
ほう、いろいろ変わったな。スキル隠蔽はなかなか便利そうではあるな。
ステータスもふっとこう。MP3レベ分、HP4レベ分でいいだろう
『HP最大値が60、MP最大値が25になりました』
よしよし、これで少しは楽にななっただろ。
さて、あと2日...頑張るか!
*****************************************
「それが君の選択か」
吹き荒れる猛吹雪の中、『それ』は言った。
「今回は特に珍しいね、ホント」
『それ』は面白げに表情を緩めた。それから首を伸ばし...
「さあ、君はどんな方法で...私を殺してくれるのかな?」
直後、周囲が豪炎に包まれた
これまでの誤字とかを適当に直しました。まだまだ間違いとかあると思うので、ご指摘お願いします。