結太の大切な人
時間、
ーーこの世には朝がきたら昼がくるように、昼がきたら夜がくるようになっているーー
当たり前の事だ。
だが、夜がくると朝までが長い
毎日夜10時。
10時になると時計が止まるか、そのまんま時計の針が動き続けるか。その2パターン存在する。10時になり時計の針が止まると世の中の『時間だけとまり』夜が続く。時計が動き続けると『時間は止まらず』いつもどうり朝がくる。
時間が止まった場合100時間以内にまた時計は動きだし、朝がくる。
つまり100時間以内には必ず時間は動き出し朝を迎えることが出来るということだ。
今夜は33時間。
10時になり体感的に24時間。丁度1日たち時計は動きだした。
そこから9時間経過し今は朝の7時だ。
こんな時間の進みが適当な世界に住む俺、【萩原 結太】はやっと雲1つ無い晴天に囲まれ、朝のご飯をむかえていた。約2日ぶりとなろう飯を俺は口に詰め込まんとばかりに口に放り込む。お腹が空いていた。
食べ物ならなんでもよかった。
朝ご飯を口からでそうになるほど詰め食べていると、時間は朝の8時になりかけていた。
俺は朝ご飯を噛み締めながら学校に行く準備をする。
朝の眩しい太陽の光が制服に少しの温もりを感じさせていた。
ほんのりと暖かい制服を手に、着替えを始める。
ネクタイをしっかりとしめ朝の8時20分、家をでる。
家をでると友達が待っているわけではなく一人静か。
犬の声が聞こえる訳でもなく、鳥の鳴き声が聞こえる訳でもない。間違いなく一人。
だが、そんな筈の道路に一人の少年、いや、なにやら奇妙な青年が立っている。少し幼さが残るその青年はぶつぶつと何か言っている。
「到着しました。クロッ・・・」
クロッ??
聞き取れない。
何を言っていたのかわからない。
青年は耳に何かをあて、誰かと話しているようだった。
俺は誰かと電話でもしているのだろうと思い足を動かす。
青い空の下、歩くこと10分。俺の通う広島県国立大高校が見えてきた。
特に変わった事も無く見た目も普通な普通すぎる高校。
そんな学校へと俺はいつどうり足を踏み入れる。
少し汚い靴箱に靴を片付け、スリッパに履き替える。回りからは友達どうしで「おはよう」と言う声が聞こえてくる。
そんな事はどうでもいい。
クラスに向かっている途中、階段をのぼっていると後ろから声が聞こえる。
「おはよう!結太!」
いつもの声だ。
「おはよう。舜」
幼稚園から一緒の大切な友達、いや、親友【高瀬 舜】の声だ。身長は150くらいだうか、少し小柄なその体格からは元気の良さが伝わってくるようだった。髪には少しの寝癖がみられ、本当にいつも元気な奴だ。
A-2の65人クラスに俺と高瀬は入り席に座る。
たまたま隣り同士である俺は高瀬に朝の出来事を話す。
「今朝、家の前でぶつぶつ一人で何か言ってる青年がいたんだが見覚えあるか?」
知らないとは思う。だが聞いてみる。
「青年?知らないよ?その青年がどうかしたの?」
知ってるわけないか。
「いや、別にどうもしないよ」
クラスでいつも静かな俺は高瀬しか友達がいない。いつものように俺は高瀬と話していると朝の鐘がなりホームルームが始まる。
ホームルームを終えると10分の休憩があり、一時間目の国語と二時間め歴史を終え20分の大休憩がやってくる。
そんな休憩時間いつものように高瀬と話していると突然地面が強く揺れ出す。
地震だ。
非常ベルがなりだし担任が教室に急いで来る。
担任は混乱している皆に指示を出す。机の下に隠れるようにと。
地震はすぐに止まり外に全校生徒集合する。そこで人数確認をし、全員揃っていたら座って待機、揃っていなかったら大惨事。そのどっちかだ。
座っていくクラスが増えてくるなか、自分のクラスの人数確認が始まった。普通は2回人数確認をして揃っていたら良いのだが、なぜか内のクラスは3回、4回と確認している。
なぜだ?
「高瀬君がいないらしいよ・・・」
「ほんとかよっ・・・」
そんなクラスメイトの声が聞こえた。
俺は願うようにして回りを、高瀬を探す。
いない・・・。
俺はいつの間にか校舎を全力で走っていた。
ガレキやガラスの破片、まるで校舎は元の姿を失いかけ半壊している階もあった。そんな中いくら探しても見あたらない。舜の姿が。
見当たったのは赤色のインク。
赤色の液体。
ーー血だーー
ガレキの下敷きになり誰か姿は確認出来ない。
奇跡を願った。
神に祈った。
舜じゃないことを。本当は血では無いことを。
だがガレキをどかしてみると、そこにいたのは間違いなく高瀬 舜。そのものだった。
親友の姿は体を赤く染め上げ目を閉じていた。
頭が真っ白になった。
気付くと俺は。顔に小さな水を流し、
泣きながら叫んでいた
友の死に。
親友の死に。
その後、舜は先生たちが対処し事は終わった。
親友の死後。この二ヶ月は約1500時間を過ごした。一ヶ月を30日とすると二ヶ月で1440時間なのだがこの二ヶ月は約60時間普通ではない時間を過ごしていた。
家族同然だった高瀬 舜の死後、俺は学校に行かなくなった。
この適当な時、適当な世界、こんな何もかもがクソな世界は俺に疲れを与える事しか出来なかった。
「なんで、舜は死んだんだ。」
そんなことを呟きながら俺は一人でゲームをする毎日。
そんなある日、昼ご飯を食べようと立つと後ろからある声がした。
「君は親友とまた話したいかい?」
と。