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迷い真夜ったお椀の在処

遠野物語にインスピレーションされ作った小説です。

マヨイガという不思議な処。

どうぞお楽しみ下さいm(__)m

迷い真夜ったお椀の在処


向日葵や朝顔の蕾が開き始める頃の話

「ここは、何処だろう。」

僕はさっきまで近所の桐の花が咲く林で友達とかくれんぼをしていた。はずだった。いつの間にやら知らない処に着いたらしい。

今、目の前ににあるのは真っ黒い立派な門の大きな家だった。門の近くの岩からは水が湧いている。その湧水の近くには赤くぬられた桶が置いてあり、近くにネズミが一匹いた。

周りにも誰かが居る様子が一切無い。

お腹も減って、疲れはててしまっていた僕はこの家にお邪魔になることにした。

「ごめんください」

僕は門を開きそう言い放った。

やはり何処を見ても人の気配はない。

「まあ、ここの人が帰ってきたら謝ればいいか」

庭には沢山の鶏が歩いていた。紅白を美しい花が咲き誇り、大きな牛小屋や馬小屋には沢山の牛や馬がいた。真っ赤な鳥居のお稲荷さんが祀られていた。

最初はこの大きな庭で少し休憩するつもりだったが家の中から火鉢の音がする。

好奇心は猫をも殺す

そんな言葉が僕の頭の中を過ったが、好奇心が勝り中を探索してみることにした。

もしかしたら誰かがいるのかも。

「誰かいるなら挨拶しなきゃ」

僕はこの家の座敷に上がらしてもらった。座敷には金の屏風、ずらりと並んだ朱色の膳やお椀があった。

この家の裏手では炉で火が燃えていて

茶の間には何かの大桶があった。

また僕は座敷に戻り座る。

膳には美しく、美味しそうな料理が並んでいた。

僕の頭にはうっすらと或、考えが出てくる。

ここは人が住むところなのか?

あやかしか?はたまた神様が住むところなのでは無いか?

一度考えるとその思考はどんどん広がる。

本当に入ってきて良かったのか。

段々恐怖心に呑み込まれ僕はこの家を出た。

庭には小川が流れている。

帰り道が分からなかった僕は庭にいることにした。お腹はどんどん減っていく。

「家の中の膳の食べ物一口なら食べていいよね。」

独り言を呟いていると昔の記憶が黄泉帰った。

お母さんから聞いた話だ。父はもういなかったので寂しくならないようにと母と話す機会が多かった。

「いいかい?隠れ里や隠れ家は神様が住んでいる処だから絶対に此処の食べ物は食べたら駄目だよ。」


「何で?神様が作った御飯なら食べたら良いことが起きないの?」


「何にも起きない。夢から覚めることを、起きることを忘れてしまうの。隠れ里から出れなくなってしまうんだ。確か...ヨモツヘグイと謂うんだ」


ヨモツヘグイ

そうだ!僕の住んでいる土地に伝わる神様の話を聞いた時に教えてくれたんだ。その神様は立派な家に住んでいる、その家に迷い混む人がいるという伝承だった。

もしかしたら此処は神様の住まい?

僕は慌てて門を飛び出した。


林を走り抜けた。何処に行けばいいか分からない。兎に角、家から離れるように逃げる。

気付いた頃には僕は家で寝ていた。

かくれんぼをしていた友達が僕の顔を覗きこんでいる。


「大丈夫?」

起きた頃はもう黄昏時だったがずっと心配して僕の家で目を覚ますのを友達をみんなで待ってくれたのだ。

友達の話を聞く所によると僕はあの林の入り口、林の入り口のお稲荷さんの鳥居の前で倒れていた所をかくれんぼをしていた友達が見つけ、皆でここまで運んできてくれたらしい。

「ありがとう」

一言僕は呟いた。


数日後、僕は友達と近くの川で遊んでいた。友達が何か川上から流れてくるのを見つけたようだ。

「なんだ、これ」

僕は友達に近づき拾った物を見せてもらった。


「これ僕があの時見た物だ」

友達にあの時の話をした。信じてくれる人はいなかったが此処に証拠品がある。

友達からお椀をもらった。別に僕は使わないが拾った友達が「ならあげるよ」といってくれたのだ。


家に帰り母にお椀を渡した。

「綺麗なお椀ね」

といってお米を量るのにつかった。理由を聞くとあまり汚したくないからといっていた。

母がそのお椀を使い始めてからお椀に不思議な事が起きた。お米を一粒入れたらお椀一杯にお米が増えるのだ。

試しに母はお酒を一滴垂らしたらお酒もお椀一杯増えたのだ。

母には川で拾ったということしかいってないが、「詳しく聞かせて」と言われたので話すことにした。

そうしたら母は驚いた顔をした。

「私もその家にいったことがあるかも」

母は迷い混む所まで同じだがお椀が綺麗だったのでその家から持ち出してしまったらしいのだ。

やはりあの林の入り口のお稲荷さんの鳥居の前で倒れていたらしいのだが、お椀は持ってなく、流れてくることもなかったそうだ。

「私は欲が強すぎたのかもしれないわね。貴方が無欲だったからお椀が流れてきたのよ。きっと。」

こんなことも教えてくれた。

「ネズミ見掛けたでしょう。」

母のいったことが的中し、驚きを隠せない。

「ネズミは根の国に住むから根住みなの。根の国は死後の世界、所謂浄土の国なのよ。多分彼処は死後の世界に近い所なのかもしれないわね。」


あの家に迷ったのは僕の心に「迷いが」あったからなのかもしれない。

母はこの辺の中学校で良いと言うが僕は小学5年生の時から友達に話を東京の中学に行くという聞き東京都の中学校に行きたかった。

何か東京に憧れが有ったのだろう。だけど僕は母にこの事を話さなかった。

この心の迷いがもたらした、神様の悪戯だったのかもしれない。(今では東京の方に行かなくて良かったと思う。頭も悪かったし。)


彼処の家はお稲荷さんの家だったのかもしれない。


その後母と僕は「朱椀屋」というお店を開き大繁盛した。お米やお酒を売る小さなお店だ。

このお店のおかげで母と僕は裕福に暮らすことが出来たのだった。


僕が大人になってから思ったことだがこれは迷い家だったのかもしれない。

たまに田舎に帰る、母のいなくなった家は静かだ。お店はもう閉めたのだがお椀は大切にとっておいている。毎回帰る度に僕はあのお稲荷さんにお参りしている。

ありがとうの感謝を込めて。


この話は僕が子どもの頃体験した一夏の

   じつわ

    物語     である

どうでしたか?面白くなかったとおもいますが...

遠野物語おもしろいですね。今後も昔話関係の話つくってみたいです。他の作品も良ければお読み下さいm(__)m

ここまで読んで下さりありがとうございます(´∇`)

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