12話 ま、魔法書……読みたいのに…
絡んできた冒険者を追っ払ったあと、誰かが後ろから声をかけてきた。
「おい、ギルド内での騒動は罰則の対象だぞ?」
「ああ?」
ドワーフ・男・38歳・ステータスは全体的に高め・がっしりとした図体
…かなりの手練だな。
「ギルドマスター。彼女は他の冒険者に絡まれていただけなので、罰則の対象にはなりません。私含め、このギルド内の全員が見ていました。」
「む……。そうか。すまぬな、早とちりしちまって。俺はこのギルドのマスターのジャックだ。」
「そう。ボクはスズ。よろしくね。」
案外いい人みたいだね。この人を見る眼差しが全部尊敬のものみたいだから、ギルドマスターだってのも頷ける。
「ところで、どうやってあいつらを追っ払ったんだ?あいつらはあれでもBランクの冒険者なんだぞ?」
見られてたか。
……どうしよ。ここは俺のスキルを正直に言うか…それとも誤魔化すか…
「え…と。純粋に殺気で威圧しただけだけど…。」
「本当か?!あいつらを威圧できる程の殺気とは……一度俺にその殺気を当ててみてくれないか?」
「…ゑ?い、いいの?さっきよりは弱くなると思うけど…」
「ああ。遠慮なくやってみてくれ。」
「これ以来話さなくなるとかはやめてね?(うるうる)」
「っ…!…勿論だ。」
「それじゃあ行くよ…?」
「『殺気解放』」
瞬間ジャックの動きが止まった。やはり目を見開いている。…毎回思うがそんなに恐いか?
……お?少しずつ動き始めたぞ?
「こ…これほどとは……この俺でもこの様か……」
そう言うと俯いて黙り込んでしまった。何か考えているのだろうか?
受付の方を見てみると、ニルたちは仕事をしていた。かなり忙しそうだけどなにかあったのかな?
暫くするとジャックが顔をあげてとんでもないこと言ってきた。
「今日からスズ。お前のランクはBだ。」
………は?
「ど、どうして?」
「いやなに、お前ほどの殺気が出せる者がFランクだとおかしいだろ?現にBランクの冒険者を殺気のみで追っ払ったんだからな。それに今、緊急依頼が出てるんだよ。それに参加して欲しくてな。」
「それだけ?」
「いや?実は近々この国中の冒険者が参加する闘技大会があってな。うちのギルドは少ないんだよ、特別強い輩が。だからそれに出てもらいたいんだよ。で。その参加条件がCランク以上だからランクを一気に上げようって訳さ。」
「え?対人戦?ボクそんなのやったことないんだけど…ていうか強制?」
「ああ。個人戦のみで、順位が上のギルドから資金が来るんだよ。それで今年こそ上位に食い込まないといけないからな。さもないとこのギルドに来る資金が減っちまう。対人戦はやりゃあできるさ。俺はそうだったからな。」
「お、おう。」
「てことで宜しく頼むな?」
「はあ。わかったよ。じゃあ一つ頼んでいい?」
「なんだ?」
「魔法学校にボクを推薦とかできない?」
「おう。できるぞ。そのぐらいならお安い御用だ。ただ、編入はもう少し後になりそうだな。」
「それってその緊急依頼のせい?」
「ああ。だから参加して欲しいのさ。その依頼に。」
「わかったよ。じゃあこれを少し読んでからね?」
「それで構わない。ただ、なるべく早くしてくれよ?こっち側は結構苦戦してるらしいしな。」
そう言うとジャックはニルに何かを話しに行った。まあ十中八九ランクのことだろうけどね。
ほら、ニルだって驚いてるじゃないか。
はぁ。ギルドカードの更新に行くか。
「凄いね!スズ!あのギルドマスターを認めさせるなんて。」
「特に何もしてないんだけどね……はい、ギルドカード。」
「ありがと。……これで良しっと。はい、ギルドカード。ついでに緊急依頼も一緒に受注しちゃったから。(にこにこ)」
「え?……ジャックめ。これじゃあ断りにくいじゃないか。」
「ん?何か言った?」
「いや?じゃあ魔法書を読んで来るよ。」
そう言って受付を離れる。
……ふぅ。これでホントにやっと魔法書が読める。
かなり間が空いてしまったぁぁぁ
ごめんなさい!
でも今度はアドバンスト模試が俺を苦しめるぅぅぅぁぁぁぁ!




