11話 ニルは大変だった
私はニル。アルガ二スの王都、二アリスのギルドで働く狐の獣人よ。
ここで7年も働いているけれど、これでも19歳よ。
この世界では13歳から成人と同じ扱いを受けるようになるのよ。小さな村や街では数少ない働き手としてその頃から働き始めるのよ。
私はもともとこのギルドで仕事をしていた母親と冒険者だった父親の娘だったから、小さいときからギルドの仕事を手伝っていたの。おかげで今は受付嬢のまとめ役として働いているわ。
ただ…いつもここに立っているせいか、私に言い寄ってくる輩が沢山いるのよね。
時にどこかの貴族だったり時にそこそこ実力のある冒険者だったり、仕舞いには王族直属の騎士まで言い寄ってきたりするのよ。まったくもって面倒くさい。私は女の子が好きなのに……
……今「ゑ?」とか思った人。勘違いしないでよね。この世界では同性愛もあるのよ。街中で見かけるほど多いのよ。
同性でも子作りはできるのよ?知らなかった?
この世界で子供を作るっていうのは、二人の魔力の融合を指すの。だから同性もOK。
詳しいことは面倒だし私もそこまで知ってる訳じゃないから、この話はおしまいね。
ええと…何の話だっけ?
……そうそう。面倒くさいから話を繋げようと思ったんだった。
今ね、この二アリスの北の方で魔物の集団が押し寄せてきてるのよ。おまけに、その集団の最奥にはあのSSSクラスの三竜がいるって報告があったの。報告がきたときは、それはもう大変だったわ。それを聞いたギルド内の冒険者たちが軽いパニックに陥っちゃったのよ。住人をパニックにはできないから緘口令を敷こうと声をかけても誰も聞きやしないのよ。私だって考えることを放棄したいぐらいだったのに……
それで、その後落ち着いた冒険者たちや騎士団がそれを食い止めにここを離れているって状況ね。
まぁ不真面目だったり素行が悪かったりする人たちは動かず、ここに留まっているけどね。
彼らが出払ったあと、私たち受付嬢は現場の状況報告と冒険者の安否状況の整理で忙しかったわ。
現場の状況は、現地のギルド役員から随時知らせが届くわ。冒険者の安否も同様よ。
それで、私たちが忙しい中、ドアから人が一人入ってくるのが見えたの。今頃大方の冒険者たちは戦っている筈なのに。
彼女を見た瞬間ギルド内の時間が止まったわ。誰もがその美貌に見惚れていたの。私も含めて。
なんと可愛らしい顔だろうか。なんと艶やかな銀髪だろうか。なんと華々しい手足だろうか。なんと魅力的な女の子なんだろうか。
そんなことしか頭に浮かばなかった。
私がボーっとしている間に彼女は一人の冒険者に絡まれていた。なのに、彼女はのんきにも私に冒険者の登録をお願いしてきた。
なんでそんなに余裕なこと言ってるの!?彼はうちでもそこそこ有名なBクラスの冒険者なのよ!?
ちょっ!!その子を殴らないで!!
恐ろしくて目を瞑ってると、女の子ではなく男の悲鳴が聞こえてきた。
訳が分からずに目を開けると男の腕が折れていた。…なんで分かったかって?だって見るからに折れているもの。あれはかなりの重症ね。
そんな男に目もくれず、彼女は私のところまでやってきた。
今は色々と忙しいけど冒険者の登録の方が優先ね。すぐ終わるし。
登録を終えて彼女は魔法書を読みに行ったわ。かなりいい子だったわねぇ。
名前も教えたし敬語もやめてもらったし友達として認識してもらえたかしら。もし宿に困ってたら泊めてあげようかしら。あわよくばもっと仲を深めて色々と………ふふ。その時が楽しみだわ。
あら?スズがさっきの男のパーティに絡まれてる!?あいつら武器まで出してるし!!
私のスズに何してるのよっ!!!
…ってそんなことよりあの状況をどうにかしないと!!ギルドマスターを早く呼ばないと!!
しばらくは投稿できないと思うze☆




