第一節 崩される平和(笑
雨はやんでしまった。
僕は歩いて家へと向かう。
帰ってもする事がないし、でも、外に居るのも不安だし。
まぁ、結局真っ直ぐ帰るんだけどね。
家に帰っても、寝るだけ。
おもしろくない。
高校2年生。
自由に動ける、最後の年なのに。
来年になれば受験で忙しくなって、雨の日にも眺めるのは活字のみになってしまう。
まだ遠い、まだ遠い、そう思って居たけど、もう秋。
地球はやっぱり、回ってるんだな。
ご飯とお風呂を済ませ、僕は布団の中で考える。
頭の中だけで許される冒険の活劇。
僕が主人公の自分の為の世界。
高校2年生になっても、こんなこと考える僕はやっぱり変なんだろうな。
「・・・俺、何、してるんだろうな・・・」
次の日・・・
・・・眼を閉じて、開くまでの時間を感じていたい。
気付けば、朝が来るのは、辛すぎる。
「いってきます。」
行ってきます。行って帰るだけです、はい。
電車に揺られ、気付けば学校に着く。
今日は快晴だ。
廊下側の俺は、遠くの窓をじっと眺める。
今日もよろしく、机。
手馴れた動きでイヤホンを耳へ突っ込み、顔を伏せ、真っ暗の世界へ。
誰も居ない、落ち着く世界へ。
気付けば学校も後編へ差し掛かる。
何も変わらなかったな。
刺激を求める俺と、平穏に隠れる僕。
複雑。
「さて、皆、今日から1週間の間他校のモンと一緒にボランティアを行う奴を一人選ばなければならんことになった。」
クラス全体がざわめく。
男子は一斉に騒ぎ、押し付け合い、女子は顔を伏せる。
騒ぎに巻き込まれワーワー言ってる俺に向かって、誰かが言った。
「お前さー、一番暇そうだからやっちゃいなYO!」
「やっちゃいなYO!」
人生オワタ\(^0^)/
この雰囲気に入ったら抜け出せないことを、長年の経験から知っていた。
「あーい、じゃ決定ー。」
「俺はぁあああああああああくそがああああああ」
心の叫びを聞いて皆は笑う。
こっちは本当にいやなんだちくしょうめ。
人一倍、人付き合いが苦手な俺は、慣れるまで大変なのに。
先生に連れられて、とりあえずボランティアを行う場所まで行くことになった。