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魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第二章「守るということ」

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真実

ヴァレンの街を出たのは、その日の夕方だった。


次の目的地は、まだ決まっていない。


ただ、北へ向かう。


帝国の目が届きにくい方向へ。



夜。


野営の準備をする。


火を起こす。


各自が動く。


ガイウスが薪を集める。

リオが火をつける。

メイラが食料を確認する。

ライラが周囲を見回る。


セリスが火の傍に座る。


(……疲れた)


声には出さない。


(ノイエ)


(今日は使わなかったわね)


(……はい)


(よかった)


(……なぜですか)


(使わない方が、いい気がするから)


沈黙。


(……セリス)


珍しかった。

ノイエが名前で呼ぶことは、少ない。


(なに?)


(……後で、話があります)


(後で?)


(……一人になれる時に)


セリスが「……分かった」と心の中で答える。



食事を終えて。


各自が休む準備をする。


「見張りは俺が最初にやる」


ガイウスが言う。


「傷は?」


「問題ない」


「また言ってる」


リオが言う。


「うるさい」


「俺が代わろうか」


「いらない」


「……そうか」


リオが「ガイウスって、意地っ張りだよな」とメイラに言う。


メイラが「そうですね」と言う。


ガイウスが「聞こえている」と言う。


「聞こえてていいんです」


メイラが毛布を広げながら答える。



少しずつ、静かになる。


セリスが立ち上がる。


「……少し、外の空気を吸ってくる」


「一人で行くな」


ガイウスが言う。


「すぐそこまで」


「……俺も行く」


「見張りは?」


「リオ、代われ」


「え、俺?」


「頼む」


リオが「……しょうがないな」と言って立ち上がる。


「本当にすぐ戻るから。一人で大丈夫よ」


「大丈夫かどうかは俺が判断する」


セリスが「……頑固ね」と言う。


「そうだ」



野営地から少し離れた場所。


木々の間。


星が見えた。


「……きれいね」


「そうだな」


ガイウスが答える。


二人で、しばらく空を見ていた。


(……ノイエ)


(ガイウスがいるけど、大丈夫?)


(……構いません。どうせ、聞こえません)


(そうね)


(……では、話します)


(うん)


沈黙。


(……セリス)


(なに?)


(……あなたは今、死に向かって歩いています)


セリスが、固まる。


(……どういうこと)


(……私を使うたびに、あなたの命が削れています)


(知ってる)


(……知っていたんですか)


(うすうす)


(……なぜ言いませんでした)


(言ったら、あなたが止めるかもしれなかったから)


(……私が、止める?)


(私じゃなくて——あなたが私を使うことを、止めようとするかもしれなかった)


沈黙。


(……このままでは、死にます)


(どのくらいで?)


(……分かりません。ただ)


(ただ?)


(……使うたびに、加速しています)


セリスが、空を見上げる。


(……そう)


(……怖くないんですか)


セリスが少し考える。


(怖い)


(……では、なぜ)


(守りたいものがある。だから——止まれない)


長い沈黙。


(……非合理です)


(知ってる)


(……それでも、続けるんですか)


(続ける)


(……なぜ、そんなに簡単に言えるんですか)


(簡単じゃない)


セリスが、星を見る。


(ただ——やめる理由が、守りたい気持ちに勝てない)


ノイエが、長い間、何も言わなかった。


(……了解しました)


それだけ言った。



「……セリス」


ガイウスが、突然言った。


「うん?」


「その剣——使うたびに、何かが削れているように見える」


セリスが、固まる。


「……将軍も同じことを言ってたわね」


「将軍が気づくなら、俺も気づく」


「……気のせいよ」


「嘘が下手だな」


「……」


セリスが黙る。


ガイウスが「答えなくていい」と言う。


「え?」


「……聞いたのは俺の確認だ。答えを強要するつもりはない」


「確認?」


「……お前が、何かを抱えていることを、確認した」


セリスが、ガイウスを見る。


「……それだけ?」


「それだけだ」


「何も、聞かないの?」


「今は聞かない」


「……なぜ」


ガイウスが少し間を置く。


「お前が話したい時に、話せばいい」


セリスは、しばらくガイウスを見た。


(……この人は)

(いつも、こうだ)


踏み込まない。

だが——いなくならない。


「……ありがとう」


「礼はいらない」


「言いたいから言う」


「……」


ガイウスが「戻るぞ」と言う。


「うん」


二人が野営地へ向かう。


星が、瞬いていた。


(……ノイエ)


(さっきの「了解しました」って、どういう意味?)


沈黙。


(……あなたが止まらないなら)


(……私も、止まらないということです)


セリスが、歩きながら——


小さく、笑った。

「了解しました」

たった三文字。

なのになぜ——

こんなにも、心強いのか。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

ノイエからの告白、来ましたね。

「死に向かって歩いています」

それを聞いても——セリスは止まらない。

「守りたい気持ちが、やめる理由に勝てない」

この子は本当に、そういう子なんです。

そしてガイウスも気づいていた。

「今は聞かない」という言葉——

あの男なりの、優しさだと思います。

次回以降、セリスが「知っていて戦い続ける」

という覚悟がどこへ向かうか——

ぜひ見届けてください。

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