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魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第二章「守るということ」

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伝言

朝食を終えて。

 

全員が卓を囲んでいると——

 

宿の主人が声をかけてきた。

 

「お客様に、お届け物が」

 

折り畳んだ紙を差し出す。

 

「……誰から?」

 

「使いの者が置いていきました。夜明け前に」

 

セリスが受け取る。

 

開く。

 

短い文章だった。

 

『ヴァレン北部に拠点を作った。必要なら使え。——エルディン』

 

セリスが、小さく笑う。

 

「……あの人らしいわね」

 

「誰からだ?」

 

ガイウスが聞く。

 

「レジスタンス結成の時に別行動を取った仲間。エルディンという人」

 

「……名前は聞いたことがある」

 

「生存者を集めて、拠点を作ると言っていた」

 

「それが、できたということか」

 

「そうみたい」

 

メイラが「どんな人ですか?」と聞く。

 

「似た者同士、って言ってた人」

 

「セリスさんに似てるんですか?」

 

「守り方が少し違うけど」

 

リオが「どう違うんだ」と聞く。

 

「……私は目の前の人を守る。あの人は仕組みを作って守る」

 

「……なんか、でかいな」

 

「でかい人よ」

 

ガイウスが「使者はどこへ行った」と問う。

 

「もう去ったそうです。返事は不要と」

 

ガイウスが「……徹底している」と言う。

 

「ヴァレン北部に拠点があるなら——後で使えるかもしれない」

 

「そうね」

 

セリスが紙を折り畳む。

 

(……エルディン)

 

(あなたは、ちゃんとやってるのね)

 

——

 

リオがセリスの隣に来る。

 

「……なあ」

 

「なに?」

 

「昨日の少年」

 

「うん」

 

「……お前がああいうことをするのを見て」

 

リオが少し間を置く。

 

「考えたことがあった」

 

「どんなこと?」

 

「……守るって、倒すことじゃないんだな、って」

 

セリスが、リオを見る。

 

「気づいた?」

 

「……ちょっとだけ」

 

「それで十分よ」

 

リオが「ちょっとだけじゃ足りないだろ」と言う。

 

「ちょっとずつ増えればいい」

 

リオが「……お前は気楽だな」と言う。

 

「そう?」

 

「そうだ」

 

「あなたが難しく考えすぎなの」

 

「……そうかもしれない」

 

リオが、前を向く。

 

「……まあ、考える」

 

「うん」

 

「答えが出たら」

 

「教えてくれるのね」

 

リオが「……考える、とは言った」とぼやく。

 

セリスが「同じじゃない」と言う。

 

「違う」

 

——

 

「行くぞ」

 

ガイウスが言う。

 

将軍の屋敷へ向かう。

 

「私が動くと怪しまれるかもしれない」

 

ライラが言う。

 

「私の顔を知っている人間が、この街にいる」

 

「……帝国の人間か」

 

「かもしれない」

 

ガイウスが「セリスが動く」と言う。

 

「私が?」

 

「お前の方が、話をまとめるのが上手い」

 

「……珍しいこと言うのね」

 

「一度だけだ。忘れろ」

 

メイラが「また言ってる」と小声で言う。

 

——

 

街へ出る。

 

朝の光が、石畳を照らしている。

 

人々が行き交う。

 

その顔に——重さがある。

 

(……守らなければ)

 

セリスは思う。

 

(この街も。この人たちも)

 

(ノイエ)

 

(何かあれば、教えて)

 

(了解しました)

 

短いやり取り。

 

それだけで、少し落ち着いた。

 

将軍の屋敷が——見えてきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


ここまでお読みいただきありがとうございます!


エルディンからの伝言。


「必要なら使え」——その一言が、どれだけ心強いか。


次回、将軍との接触へ。


続きをぜひ見届けてください。


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