表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第一章「魔剣と王女」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/62

非合理な選択

夕暮れの街道。


遠くに、煙が見えた。


「……村?」


セリスは足を止める。


黒い煙。

細く、だが確実に上がっている。


「帝国の追跡部隊だ」


ガイウスが言う。


「この先に小さな集落がある。おそらく、もう囲んでいる」


「……助けに行く」


即答だった。


ガイウスが、わずかに目を細める。


「勝率が下がる」


「分かってる」


「被害を受けた村人を抱えれば、移動速度も落ちる」


「分かってる」


「我々が狙われている以上、関わることで村がさらに危険に——」


「分かってる」


セリスは振り返らない。


ただ、歩き出す。


「……分かった上で行くのか」


「ええ」


短く、迷いなく。


ガイウスは一瞬、黙った。



『非推奨です』


ノイエが言う。


(二人とも黙って)


セリスは心の中で叫んだ。



——村は、すでに半分燃えていた。



帝国兵。五人。


村人を囲み、何かを問い詰めている。


(逃亡者の情報を聞いている——私たちのことだ)


セリスは低く身を構える。


「陽動を頼む」


小声で言う。


「右から二人引きつけて。残りは私が出る」


「……作戦を立てるのか」


ガイウスが、わずかに意外そうな顔をした。


「当然でしょ」


セリスは真顔で返す。


「助けに行くって言ったけど、無策で飛び込むとは言ってない」


沈黙。


「……了解だ」



陽動は、うまくいった。


ガイウスが二人を引きつける。

セリスが残り三人へ出る。


ノイエが動こうとする。


「自分でやる」


押さえる。


剣を、自分の手で振る。


拙い。

遅い。

それでも——


一人、二人。


三人目の瞬間——


横から、刃が来た。


気づかなかった。


六人目がいた。



衝撃。


だが、自分ではない。



「……ガイウス」


腕を押さえている。

血が、にじんでいた。


「……かばったの?」


「計算が狂った」


短く言う。

表情は変わらない。


「六人目の位置を読み誤った。俺のミスだ」


それだけ言って、残った敵へ向き直る。



——全て、片付いた。



村人は無事だった。

礼を言われる。

泣かれる。


セリスは笑って答えた。


だが。



「……ごめん」


小声で、ガイウスに言う。


「あなたが傷を負った」


「言っただろう。俺のミスだ」


「でも——」


「次から、六人目を想定しろ」


それだけ言って、歩き出す。


謝罪を、受け取らない。

慰めも、責めもしない。


ただ、次の話をする。


(……変な人)


セリスは、その背中を見た。


傷を負った腕。

それでも、まっすぐな背筋。


「……ありがとう」


聞こえたかどうか、分からない声で言った。


ガイウスは、振り返らなかった。



——ただ、わずかに。


歩く速度が、遅くなった気がした。

最後までお読みいただきありがとうございます!

面白かった、続きが気になる!と思っていただけましたら、

下の**【☆☆☆☆☆】をポチッと評価、

または【ブックマーク】**をいただけると、執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【開始12時間で100PV突破の注目の新作!】意志を持つ禁忌の魔剣は、彼女を守る剣か、それとも彼女を喰らう器か? 復讐に燃える王女が世界の真実を斬り拓く、本格ダーク戦記。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ