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魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第一章「魔剣と王女」

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新たな仲間と旅の目的

森を抜けると、視界が開けた。

 

遠くに小さな集落が見える。

 

「人……いる?」

 

セリスは慎重に視線を巡らせる。

 

『敵勢力の気配なし。安全圏と推定します』

 

ノイエの声が告げる。

 

「少し休むわ」

 

ガイウスが横で肩をすくめる。

 

「油断するな。追跡はすぐそこだ」

 

「分かってる」

 

集落の入口で——声をかけられた。

 

「……あなたたち、帝国の者じゃないよね?」

 

振り返ると、少年と少女が立っていた。

 

少年は手に弓を持っている。

 

少女は小型の魔法陣を浮かべている。

 

「違う。敵じゃないわ」

 

セリスは静かに言う。

 

「私たちは——帝国に追われている」

 

「追われてる?」

 

少年が眉をひそめる。

 

「何をした?」

 

「逆らった」

 

短く答える。

 

「それだけよ」

 

少年と少女が、目を合わせる。

 

やがて——少年が、小さく息を吐いた。

 

「……俺たちも同じだ」

 

——

 

焚き火を囲む。

 

少年が名乗る。

 

「リオ。弓が使える」

 

「メイラです。回復魔法が、少しだけ」

 

「少しだけ、ってどのくらい?」

 

「……軽い傷なら」

 

「十分ね」

 

セリスが言う。

 

「私はセリス。これはガイウス」

 

「よろしく」

 

ガイウスが、ぶっきらぼうに言う。

 

リオが、セリスの剣を見る。

 

「……その剣、普通じゃないな」

 

「そうね」

 

「聞いていいか?」

 

「……まだ、全部は話せない」

 

「なんで」

 

「私自身が、まだ分かっていないから」

 

リオが——少し考えて、頷く。

 

「……まあ、いいか」

 

「ありがとう」

 

——

 

「で」

 

リオが続ける。

 

「あんたたちは、どこへ行くんだ?」

 

セリスは——火を見る。

 

(……どこへ)

 

逃げているだけではない。

 

それは分かっている。

 

「帝国を——止める」

 

やがて、言葉が出た。

 

「止める?」

 

「ええ」

 

「どうやって?」

 

「……まだ分からない」

 

「正直だな」

 

「嘘をついても仕方ないから」

 

リオが——少し笑う。

 

「そういうやつ、嫌いじゃない」

 

「ありがとう」

 

「ただ」

 

リオが言う。

 

「帝国を止めるって——でかすぎないか」

 

「でかいわ」

 

「なのに、やるのか」

 

「やるしかないから」

 

「……なんで」

 

セリスが——リオを見る。

 

「私の国が、滅んだから」

 

「民が死んだ」

 

「兵が死んだ」

 

「父が——死んだ」

 

「……」

 

「それを——帝国がやった」

 

「復讐か」

 

「……最初はそうだったかもしれない」

 

「今は?」

 

セリスが——剣を見る。

 

「今は——止めたい」

 

「復讐じゃなくて?」

 

「ええ」

 

「違いは?」

 

「復讐は——私のため」

 

短く言う。

 

「止めるのは——次に同じことが起きないため」

 

「……」

 

リオが、黙る。

 

メイラが——小さく、手を上げる。

 

「……私も、村が焼けました」

 

「帝国に」

 

「……ええ」

 

「だから——私も、行きます」

 

「危ないわよ」

 

「分かってます」

 

「それでも?」

 

「……分かってて、行きます」

 

セリスが——メイラを見る。

 

その目が、真剣だった。

 

「……ありがとう」

 

——

 

リオが——立ち上がる。

 

「俺も行く」

 

「理由は?」

 

「守りたいもんがある」

 

「何を?」

 

リオが——少し間を置く。

 

「……まだ、分かんない」

 

「分からないのに?」

 

「分からないから——探しに行く」

 

セリスが——少し笑う。

 

「変なの」

 

「そうかもな」

 

「でも——好きよ、そういう答え」

 

リオが——耳を赤くして、前を向く。

 

「……行くんだろ。早くしろよ」

 

「そうね」

 

——

 

(ノイエ)

 

(……新たな戦力を確認しました)

 

(感想は?)

 

少し、間があった。

 

(……悪くない、と思います)

 

(へえ)

 

(……合理的に考えて)

 

(その前置き、いつも嘘ね)

 

(……否定はしません)

 

セリスは——少し笑う。

 

「行こう」

 

「どこへ?」

 

ガイウスが聞く。

 

「……次の場所へ」

 

「それだけか?」

 

「今は——それだけよ」

 

ガイウスが——溜め息をつく。

 

「……まあいい」

 

焚き火が、風に揺れる。

 

四人が——歩き出す。

 

どこへ向かうかは、まだはっきりしない。

 

でも——

 

(……止まる理由はない)

 

夜の森が、静かに続いていた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

次回は**【本日18時】**に更新予定です。

ガイウスにその真意を聞くものの・・・という展開になりますので、ぜひお見逃しなく。

面白かった、続きが気になる!と思っていただけましたら、

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