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魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第一章「魔剣と王女」

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共闘の代償

森の奥から現れたのは——五人。


そのうちの一人が、明らかに“違った”。


装備が違う。


纏う空気が違う。


「……指揮官、ってところね」


セリスは小さく呟く。


『個体識別。上位戦闘員の可能性が高いと推定されます』


ノイエの声が告げる。


「厄介ね」


五対一。


しかも質が違う。


正面から受ければ——押し切られる。


「来るわよ」


足音が止まる。


一瞬の静寂。


そして——


「排除しろ」


短い命令。


次の瞬間、全員が同時に動いた。


速い。


第13話で戦った個体より、明らかに速い。


「っ——!」


一撃目を受ける。


重い。


腕が軋む。


そのまま二撃、三撃。


連携が取れている。


休ませない。


「——甘い!」


横からの一撃を弾き、体勢を崩す。


だが——


「……!」


背後。


反応が一瞬遅れる。


(まずい——)


その瞬間。


金属音が響いた。


火花。


セリスの背後で、刃が弾かれている。


「油断しすぎだ」


低い声。


振り返るまでもない。


「……ガイウス!」


「礼は後だ。まずは生き延びるぞ」


短く言い、前に出る。


その動きは——重い。


だが、揺るがない。


一撃一撃が、確実に相手を押し返す。


「一人増えたか」


指揮官が低く呟く。


「構わん。両方排除しろ」


再び、五人が動く。


「行ける?」


ガイウスが横目で問う。


「なんとか」


「上等だ」


口元が、わずかに上がる。


「俺が前を受ける。お前は隙を突け」


「……分かった」


役割は明確だった。


ガイウスが“盾”。


セリスが“刃”。


「来い!」


ガイウスが踏み込む。


真正面から受ける。


二人、三人と引きつける。


「——今!」


その一瞬。


セリスが動く。


側面へ回り込む。


一閃。


一人が崩れる。


「ちっ……!」


指揮官の目が細まる。


「連携か」


「気づくのが遅いわ」


返しながら、さらに踏み込む。


だが——


次の瞬間。


空気が変わった。


「——下がれ!」


ガイウスの声。


反射的に飛ぶ。


直後——


地面が抉れた。


指揮官の一撃。


重い。


速い。


そして——鋭い。


「……あれは別格ね」


『同意します』


ノイエも即座に肯定する。


「任せろ」


ガイウスが前に出る。


「……大丈夫?」


「無理だな」


即答。


だが——


「だが、時間は稼ぐ」


その言葉に、迷いはなかった。


「その間に——やれるな?」


セリスは、息を整える。


視線を、指揮官へ向ける。


(さっきの感覚……)


第13話の、あの力。


意図して出せるかは分からない。


だが——


「やるしかない」


剣を握る。


強く。


深く。


『出力上昇の兆候なし』


ノイエが告げる。


「分かってる」


それでも。


踏み込む。


ガイウスが指揮官を受ける。


重い衝突。


火花。


その隙。


セリスは、残りを削る。


一人。


二人。


だが——


「っ……!」


疲労が、限界に近い。


動きが、鈍る。


「セリス!」


ガイウスの声。


振り向く余裕はない。


だが、分かる。


——押されている。


(間に合わない……!)


その瞬間。


また、あの感覚が——


来ない。


沈黙。


身体は、ただ重い。


「くそ……!」


歯を食いしばる。


それでも。


足を止めない。


「——こっちだ!」


ガイウスが叫ぶ。


指揮官を、わずかに崩す。


一瞬の隙。


それは——一度きり。


セリスは、踏み込んだ。


限界を超えて。


速さではない。


技でもない。


ただ——意志で。


「——ああああっ!」


振り抜く。


黒い刃が、指揮官を捉える。


深く。


確実に。


沈黙。


そして——


崩れた。


残った兵も、動きを止める。


指揮官を失ったことで、統制が崩れる。


「退け!」


誰かが叫び、散っていく。


静寂が戻る。


「……はぁ……っ」


膝をつく。


呼吸が乱れる。


視界が揺れる。


「無茶しやがって」


ガイウスが肩を貸す。


「……そっちも」


「お互い様だ」


短く笑う。


だが、その目は鋭い。


「……今のは何だ?」


「……分からない」


正直に答える。


嘘はない。


だが——


「そうか」


ガイウスはそれ以上追及しなかった。


「だが——」


視線が、剣に向く。


「普通じゃねえな」


「……ええ」


否定はできない。


風が吹く。


村の方から、恐る恐る人が顔を出す。


助かった——という空気。


だが。


セリスの胸は、重いままだった。


(……足りない)


勝った。


守れた。


それでも——


余裕はなかった。


一歩間違えれば、全て終わっていた。


『……戦闘データを更新』


ノイエが静かに言う。


その声は、いつも通り。


だが——


その奥に、何かがあるような気がした。


セリスは、剣を見下ろす。


黒い刃は、何も語らない。


ただ——そこにあるだけだった。

最後までお読みいただきありがとうございます!

次回は**【本日8時】**に更新予定です。

ノイエの合理主義とガイウスの情熱の間で……という展開になりますので、ぜひお見逃しなく。

面白かった、続きが気になる!と思っていただけましたら、

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