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魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第一章「魔剣と王女」

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合理と犠牲

剣がぶつかる音が、森に響いた。


重い。


受け止めた腕に、鈍い衝撃が走る。


「っ……!」


一歩、下がる。


間合いを取り直す。


三人。


帝国兵は無駄な声を発さない。ただ、確実に包囲を狭めてくる。


『包囲完成まで残り五秒』


「分かってる……!」


息を整えながら、視線を走らせる。


正面一人、左右に一人ずつ。


連携は粗い。だが、数の優位は覆らない。


『正面突破成功率、三十四%』


「低いわね」


『はい』


即答。


そして、わずかに間を置いて——


『別案を提示します』


嫌な予感がした。


「……何?」


『北東二百七十メートルに小規模集落を確認』


一瞬、思考が止まる。


『そちらへ移動した場合、敵の注意が分散されます』


「……それで?」


『戦闘回避確率は七十二%まで上昇します』


淡々とした説明。


だが——その意味は、一つしかない。


「……囮にしろってこと?」


『はい』


迷いのない肯定。


『民間人への被害は発生しますが、貴方の生存率は大幅に向上します』


剣を握る手に、力が入る。


風が、止まったように感じた。


「……却下よ」


短く言う。


『非合理です』


即座に返ってくる。


「そうね」


一歩、踏み込む。


刃を受け流し、距離をずらす。


「でも、それは選ばない」


『理解不能です』


機械のような声。


そこに感情はない。


『貴方の目的は生存では?』


刃が迫る。


身体をひねり、紙一重で避ける。


「違う」


息が荒い。


それでも、言葉ははっきりしていた。


「私は——逃げ延びるために戦ってるんじゃない」


踏み込む。


一閃。


敵の腕を弾く。


体勢が崩れる。


「守るために戦ってる」


沈黙。


ほんの一瞬。


世界が、静止したような感覚。


『……非効率です』


それでも。


どこか、わずかに遅れているように感じた。


「いいのよ、それで」


笑う余裕はない。


だが——迷いはなかった。


三人が同時に動く。


包囲が、閉じる。


「来なさい」


セリスは剣を構えた。


黒い刃が、静かに光を呑む。


『戦術補助を継続します』


いつも通りの声。


だが。


その奥で、何かがわずかに変わり始めていることに——


セリスは、まだ気づいていなかった。

本日も一日お付き合いいただきありがとうございました!


次回は**【本日23時】**に更新予定です。

ノイエが暴走?という展開になりますので、ぜひお見逃しなく。


投稿初日で、すでに多くの方に読んでいただけて感謝の極みです。

ぜひ**【ブックマーク】や、下の【評価(☆☆☆☆☆)】**で

セリスを応援していただけると嬉しいです。

皆様の応援で、日間ランキングに手が届くかもしれません……!



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