仲間
夜。
焚き火の周りに、人が増えていた。
「エルディンだ」
青年が名乗る。
整った顔立ち。
王族の気配。
「……亡国の王子だ」
セリスと目が合う。
少しだけ、笑う。
「……似た者同士だな」
セリスも、わずかに笑う。
その様子を——
ノイエ・ジールは観察していた。
『……質問があります』
「なに?」
『あの個体に対し、心拍数が上昇しています』
「なっ……!?」
顔が赤くなる。
「ち、違う!」
『否定の根拠が不明です』
「だって——!」
言葉に詰まる。
『……興味深い』
静かな声。
『これは、何ですか』
セリスは顔を逸らす。
「……知らない」
小さく言う。
その時。
ガイウスが立ち上がる。
「決まりだな」
全員を見る。
「俺たちは、帝国に抗う」
短く。
だが強く。
「——レジスタンスだ」
火が、揺れる。
その光の中で。
セリスは剣を握る。
——逃げるだけじゃない。
戦う。
その決意の隣で。
『……理解を開始します』
ノイエ・ジールが、静かに呟いた。
——
しばらくして。
エルディンが、立ち上がった。
「俺は別の動きをする」
全員が、彼を見る。
「どこへ?」
「根回しが必要だ」
短く言う。
「剣だけじゃ、帝国は倒せない」
「……一人で?」
「その方が動きやすい」
「危なくない?」
「お前たちも——十分危ないだろう」
「……そうね」
エルディンが——セリスを見る。
少し、間があった。
「生きていろ」
「……あなたも」
「ああ」
それだけ言って。
背を向ける。
焚き火の光が、その背中を照らす。
やがて——暗闇に、消えた。
セリスは、その方角を見た。
(……また、会えるわよね)
声には、しなかった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
次回は**【本日21時】**に更新予定です。
セリスが先行偵察に出たものの……という展開になりますので、ぜひお見逃しなく。
面白かった、続きが気になる!と思っていただけましたら、
下の**【☆☆☆☆☆】をポチッと評価、
または【ブックマーク】**をいただけると、執筆の大きな励みになります!




