2落ちるかも
「俺、送っていくから、帰らない?」
「あの窓開けて、自分の部屋に行けないかな?」
「無理…」
羽奈は、遊汰の言葉が言い終わるまでに、窓を開けて体を窓から出そうとしてる。
「無理だって」
案の定、羽奈は落ちかけている。
「待った、羽奈」
「何?」
「危ない、振り向くなよ、落ちるって。雪も部屋に入るし」
「あ、遊汰手伝って」
頭から落ちかけている、自力で戻れない羽奈を、遊汰は引っ張り上げた。羽奈は安堵のため息をついた。
「窓から帰るって、羽奈の部屋とここは同じ位置だけど、無理だよ」
「やっぱり無理かな」
「そんな笑い方しても、無理だって。近いって言っても距離、少しあるし、落ちたら痛いよ」
「まぁね」
「落ちてどうにかなったら、俺が怒られるからな」
遊汰はその後、小声で'怒られるだけならいいけど'と呟いた。
「遊汰ありがとう。あのままだと落ちるとこだった」
「まぁ、うん。素直にお礼言われて嬉しいよ」
「素直って、私のことを…」
「羽奈、そろそろよけてくれない? 羽奈の重みで、俺動けなくて…」
「ごめん、ってそれ失礼じゃない?」
羽奈はよけようとした。でも、次の瞬間遊汰にしがみついた。
「やっぱり、人の体温って暖かい」
「暖かいって、羽奈、この部屋も十分暖かいし、しがみつかれると動けないからマジでよけて」
「よけたくない、遊汰が頑張って動けばいいんじゃない?」
「どうしてそんなに…、よけてもこの部屋暖かいって」
遊汰は頑張って動こうとするが、動こうとする度、より強い力でしがみついてくる。
「もう、良いよ。俺、どうすればいいですか?」
「考えてなかった。遊汰は、童貞?」
「うん…ん?」
遊汰は、顔をうっすら赤くして驚いた表情をしている。そして、部屋の柱の角に足の指をぶつけていた。そして、「痛っ」と言い、痛みに悶絶している。涙目になっている。
「羽奈、急にどうした?」
「遊汰、面白い」
「そんなに面白いか、目に涙を浮かべてまで」
「だって、遊汰、驚いて、目もきょろきょろしてるもん。指、ぶつけてるし」
羽奈は、盛大にひとしきり笑ってこう言った。続けて「指大丈夫」と遊汰に聞いた。
「大丈夫。言っておくけど、指、ぶつけたのは、羽奈が俺にしがみつくから」




