死体を縫う
掲載日:2025/11/30
目の前にあるバラバラの死体。
繋ぎ合わせたらさて、どうなる?
道の真ん中に誰かの右脚が落ちていた。
誰のだろうと眺めていると、道の更に先の方には左脚が落ちていた。
右脚を抱えながら左脚に近付くと、更に道の先に胴体が落ちていた。
右脚と左脚を抱えながら胴体に近付くと、その先の道には右腕が、更に先には左腕があった。
全てを抱えて歩いていたら、最後に男の頭が落ちていた。
可哀想なので全てのパーツを針と糸で繋ぎ合わせてあげると、その男は目を開けて立ち上がった。
「ありがとう。」
と、軽く会釈をし、男は颯爽と歩いていった。
自分以外の人間がこの世界にいたのかと嬉しくなった俺は、それから毎日毎日、バラバラになった身体を見付けては、針と糸で繋ぎ合わせた。
俺の手で繋ぎ合わされ、息を吹き返した人間が増えていく。
次第に俺は自分がこの世界の創造主であり、生命を生み出す神になったような快感に浸った。
しかしある日ふと、何気なく自分の首を触った瞬間、俺の呼吸が止まった。
震える指先から伝わる、かすかな糸の凹凸。
冷たい汗が背中を流れる。
俺はいったい、──誰に、縫われた?
〈終〉




