164話 痛み
ヤツはその巨体で空気を切り裂き、とんでもない速度で前進してくる。
「ハッハッハァ、あん時は本来の力が出さなかったがぁ、今回はちげぇぜぇ?ほらよォォッ!!」
黒いオーラが纏わり付いたヤツの右拳が俺に迫り来る。
左手でいなそうと、ヤツの拳に触れた瞬間、黒いオーラに弾かれ、とてつもない衝撃が俺の手から腕へ伝わってくる。
「ぐっ、、、」
なんだ!?痛みを感じた、、、
「ハッハッハァァァ!どうしたァ!まだまだ行くゼェッ!」
両拳と両脚に黒いオーラを纏ったヤツは、巨体に似合わない俊敏な動きで追撃をしてくる。
あれは喰らっちゃだめだ。
右脚上段蹴り、スッとヤツの身体の外側へ避けるが少し掠る。やはり痛みがある。
左脚回転蹴りを避け、続いて左右交互にストレートが放たれる。最後のストレートは回避が間に合わずに手を出してしまう。
防御した手は黒い拳に触れ、ヤバい!と思った瞬間にはバシュッと自分の顔面へ自分の手が吹き飛び当たる。
手が顔面にかかり死角ができてしまう。
ドゴンッ
とてつもない轟音と共に腹に激痛が走る。
「ぐはッ、、ゔぅッ」
気づいた時にはヤツが遠のいていく。
俺がぶっ飛ばされたのか、、、
空中でヤツを視認しながら着地態勢を整え、地面が近づいてくると、スッと着地した。
腹部をさすりながらヤツをクッと睨みつける。
ん、なんだ?ヤツのモーションがおかしい。
何かをしようとしている。
どこかで見たことあるな。
ヤツは黒い拳を正拳突きのように俺のいる方向へ繰り出す。
そのモーションを見た俺の体は、脳で思考する前に細胞が疼き、腕を前に出す。
少量のオーラを拳から瞬時に射出する。
黒いオーラと俺のオーラはすぐ目の前で衝突する。
ドガッ
と音を立てると俺のオーラは消滅し、先ほどより小さくなった黒のオーラが俺に向かって接近する。
クソッ、次だっ!
瞬時に右拳を上げてオーラを溜めるがもう遅かった。
黒のオーラは俺の拳へと吸い込まれ、衝突する。
ドゴンッ
あれ?痛みが、ないぞ、、、
「ハッハッハァァ!ガキィ!テメェもオレと同じスキルを使えるとはなぁ!楽しくなってきたぜぇぇ!」
まさか、拳撃って飛ばすだけのスキルじゃない!?
俺は自分の拳にオーラを溜め、それを飛ばさずにグッと維持する。
ちゃんと意識すれば維持できそうだ。
なんだよ、こんなことできたのかよ。
脚もいけんのか?
オーラを溜めてみるといけた。おい、なんだこれ。
確かに拳法とか足技あるもんな。無意識に遠距離攻撃と拳からの攻撃だけかと思っていたが、違ったみたいだ。これは使える。
ニタッと俺の口角は上がる。
なんだよ、もっと楽しめるじゃんか。
ははっ、アイツと戦うと俺は強くなれるみたいだ。
みんなにはちょっと悪いけど楽しませてもらうぞ。
俺はまた前に向かって足を踏み出したのだった。
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