162話 そのボスは
寧ろ俺から主体で行かせて欲しいと言いたいところだったので願ってもない提案だ。
それを快諾した後、その場で休憩しながら作戦会議を行っていく。
「69階層には神殿のような場所があってね、その神殿の大きな扉を開けたらすぐボスが待っているんだ。そして、ボスの攻撃力はタナカさんの木の根や壁を突破出来てしまうレベルで、スピードは僕たちの誰よりも速かった、、、」
ラクトさんが当時のことを思い出しながら神妙な表情で話してくれる。
「ほんと、、、あの時タナカさんがいなかったら流石にヤバかったわ」
その話にアリスさんが反応し、身震いをしながら呟いた。
「でも、次戦ったらあのデブに一発お見舞いしてやりたいわっ!」
だが、その一方でリリさんはぷんぷんしながらやってやると意気込んているのであった。
「では、作戦だが、まず前衛はマサトくんが特攻し、ウチのドルイと一緒に敵の攻撃を防いで欲しい!中衛はテツヤくんとミーリャ、僕で隙をついて追撃だ。後衛はトシくん、アリス、リリ、タナカさんの4人で味方に当たらないよう注意しながら援護してくれ。最初、マサトくんがどれだけ抑えてくれるかで変わってくるはずだ!君任せになってしまってすまないね」
ラクトさんはテキパキと役割分担を発表していく。
「大丈夫ですよ!そのつもりでしたから。それよりも俺は強敵と戦えるほうがワクワクしますしね」
楽しみだ。この人たちでも倒せなかった強敵。
無意識に俺の口角は上がっていた。
全員が万全の状態となり、ついに69階層へ繋がる階段に足を踏み入れる。
そこには今まで通り雲の絨毯があるのだが、今回、目の前にはとても巨大な石造りの神殿が荘厳に存在していた。
そして、建物の正面には巨大な一枚岩の扉がある。
「よし!みなさん、準備はいいですか?」
俺は先頭に立ち、後ろを振り返り確認を取る。
「ああ!最初任せたよ!マサトくん、君ならできる!」
「よろしくな!マサト!」
「頼んだよ!マサトくん!」
ラクトさんの鼓舞が飛び、トシくんとてっちゃんも応援してくれる。
クッと気持ちは一層引き締まり、力が漲る。
「いくぞっ!」
俺はその扉の前に立ち、手をかけると自動的に扉が開いた。
ゴゴゴゴッ
神殿の中は少しだけ薄暗いが上から光が差し込んでいるため、周りを見渡すことは可能だ。
この巨大な部屋の中央奥には大きな数人掛けの汚いソファが置かれており、そこにはどこかで見たことのある巨大な人物がだらっと腰掛けているではないか。
「えっ!?おい!マサト!アイツあん時の盗賊じゃねぇか!?」
てっちゃんは目を見開き、驚きのあまりそう口に出した。
「、、、そう、みたいだな」
アイツここの階層のボスになったのか。
「ハッ!やっと獲物がきたかぁ!楽しめるぜぇ」
その巨体はムクっと上体を起こし、立ち上がる。ドシドシと前へ歩き出した。
そして、先頭にいた俺はアイツと目が合う。
「おぉ!?ハッハッハァ!テメェあん時のガキじゃねぇかぁ?やっとここまで辿り着いたかぁ!」
「、、、久しぶりだな。ここのボスお前だったのか」
俺の身体の中に感じる鼓動がアイツを見た瞬間からどんどん大きくなっていくのを感じる。
自然と力が入り、アドレナリンが溢れ出る。
「来ぉい!ガキぃ!」
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