159話 車輪
「そろそろ浮いている雲の中からいきなりトゲが飛んでくるから注意してね!」
ラクトさんがそう教えてくれた次の瞬間、俺の右側に浮いている雲をバフッと突き破り、猛スピードの金色のトゲが飛来する。
俺は即座に拳撃をそのトゲに向けて飛ばし、ぶち当てると鈍い金属音と共にトゲは消失した。
「おお!さっきは出してなかったスキルだね!その戦闘スタイルで遠距離攻撃もできるなんて珍しいじゃないか!」
目をキラキラさせたラクトさんがズンズンと近寄ってくる。どうやら彼は戦術やスキルの話になるといきなりテンションが上がるみたいだ。
「雲に潜んでいるモンスターは車輪の真ん中に気持ち悪い顔があってね、縁には金色のトゲが付いていてそれを飛ばしてくるんだ。さぁ出てくるよ」
すると雲を突き破り、トゲ付き車輪が回転しながら飛び出してくる。
ダンザイィィィ、ダンザイィィィ
うん、確かにキモいわ。
「それじゃあ、やっちゃいますね」
俺はラクトさんに余裕を見せたかったので早速倒しに行く。
飛んでくるトゲをナックルでいなしながら距離を縮めていき、キモ車輪に到達すると中央に付いている顔を思い切り殴る。
ギョォォォォ
キショいな、おい!
「ねぇ!ラクトっ!あの事言わなくてよかったの?車輪の最後の攻撃のこと!」
リリさんの声が少し離れた後方で小さく聞こえた。
とその時、殴りつけていた顔がブクッと膨張し、爆ぜた。中からは金色の小さなトゲが一斉に射出される。
「うわッ、、」
カンッカンッカンッカンッカンッ
爆ぜたトゲが全方位に広がり、近くにいた俺にも襲いかかる。
が、鉄壁の効果によりトゲを防ぎ切り、キモ車輪は霧となって消えていった。
「マサトくん、申し訳ないッ!このモンスターが最後にあの攻撃をしてくること言い忘れてたッ!怪我はないかい?」
ラクトさんがもの凄い申し訳なさそうに、そして気まずそうな表情で俺の心配をしてくれている。
「あ、俺は全然大丈夫ですよ。次から忘れないでくださいね!」
俺以外だったらどうなってたかは考えたくないな。犠牲が俺でよかったのかもしれない。
「本当に申し訳なかった。次から気をつけるよ」
ラクトさんはしゅんと肩を落としながらまた先頭を進み始めたのだった。
俺はラクトさんたちの後について行こうとすると次はドルイさんが近寄ってくる。
「なぁ、さっき君がトゲを防御したやつはスキルか?」
寡黙なドルイさんが話しかけてくることに少し驚いてしまった。
「あ、はい、そうです。防御特化型みたいなスキルです」
そう答えるとドルイさんはその鋭い目つきで俺の足先から頭の先までをじっくり観察するように見てくる。
「、、、、今度、耐久力勝負をしよう」
「え、、、あ、はい、喜んで。ん?喜んで?わかりました」
ドルイさんはそれだけ言い、困惑する俺を置いて再び前を向いて歩き出していったのだった。
なんか、ドルイさん不思議な人だ。
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