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森のくまさん

作者: 庄子貴裕

ある日、女の子が森を歩いていた。


森の中は、少しだけ開けていて、ちょっとした道のようになっていた。

少し歩くと、開けた場所にでた。

日が差し込み、泉にこんこんと水が湧き、囲むように色とりどりの花が咲いている。

女の子は喉が渇いていたので、水を飲もうと近づいたが、

そこには大きなクマが居た。


「お嬢さん、この森は狼も出る。すぐに森から出なさい。」

「その前にお水を貰っても良い?喉がカラカラなの」

クマがうなづくと、女の子は両手で水を掬って飲んだ。


「お嬢さんは私が怖く無いのか?」

「お母様の方が怖いわ。ところで歩き通しで疲れてしまったの。少し休ませて貰っても良い?」

クマがうなづくと、女の子はクマに寄りかかってスヤスヤと寝てしまった。


日が傾くころ、女の子が目を覚ます。

「枕になってくれてありがとう。ここにはおじさんと来たの。そろそろ帰らないと。」

女の子はクマに頭を下げると、小走りで来た道を引き返して行った。


クマは寝なおすつもりだったが、身体に何かが引っかかっていた。

白い貝殻の小さなイヤリング。女の子の落とし物か。

クマやれやれと腰を上げると、女の子を追って歩き出した。


しばらく走ると、女の子の叫び声がしたので、クマはさらに急いだ。

女の子の前には刃物を振り上げた男が居た。

「母親からお前を消せと言われてな。」

女の子はじっと男を見つめた。

男が一瞬躊躇したその時、震え上がるようなクマの吠え声が聞こえた。

男はクマに驚き、一目散に森から逃げ出した。


クマは女の子を背中に乗せて泉まで戻ってきた。

「これはお嬢さんの落とし物だ。」

クマはイヤリングを女の子に渡した。

「ありがとう、これは本当のお母さんにもらった大切なものなの」

クマは黙って女の子に寄り添った。


「お礼をしたいけど、私はこのイヤリングしかあげられるものを持っていないの」

「食べられないものは必要ない。そうだな何か得意な事はあるか?」

「私、歌が得意なの。あなたのために歌うわ」

クマはしばらく気持ちよさそうに聞いていたが、そのうち歌に合わせて吠え始めた。


そうしているうちに、女の子のお腹がなった。

「そう言えば何も食べていないわ」

「お嬢さんが食べられそうなものを私は持っていないな。仕方ない、この奥に小人が住んでいる。彼らに相談してみよう。」

「小人さんがいるの?」

「ああ、この奥に気のいい7人の小人が住んでいるのさ。」


そうして一人と一匹は、森の奥に消えていった。


白雪姫序章 森のくまさん 終わり

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