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ep.51『Song 2』

礼堂はテーブルに手を置き、少し前のめりになって皆を見渡した。場の空気が一気に張り詰める。


礼堂:「では、改めて説明します!

2ヶ月後、ジャンク・バスターズの復活ライブを行います。野田さんを含めメンバーの皆さんには当時の楽曲を披露していただくため、すでにリハーサルを始めてもらっています。会場は野田さんに押さえていただきました。」


野田は煙草を指で転がし、火をつける。煙を吐き出しながら、静かに言葉を落とした。

野田:「ただな……一夜限りの復活だ。」


紗和はグラスを両手で包み込み、不安げに首をかしげる。

紗和:「でも、どうして急に復活ライブなんて?」



野田は少し目を細め、宙を見つめた。


野田:「礼堂くんや冬月くんがオフ会を開いたり、ボウのことで色々動いてくれただろ?その中で“もう一度あのライブを観たかった”って声を思い出したんだ。……まぁ、これも縁だな。ボウはもういねぇが、せめてライブで感謝の気持ちを伝えたいと思ってな。」



冬月は拳を握りしめ、体を乗り出した。

冬月:「野田さん……本当にありがとうございます!感激です!」


野田は苦笑しつつ、目を伏せる。

野田:「それと、もう一つ。これは俺なりのケジメだ。ボウのことを思い出すと辛いが、それでも前に進まなきゃならねぇ。復活ライブをやり終えたら、俺は犯人探しも含めて区切りをつける。……ただし、お前らを止めるつもりはない。そこは好きにやれ。」



その重い言葉に、場が一瞬しんと静まる。


礼堂は背筋を伸ばし、野田の言葉を正面から受け止めるように頷いた。

礼堂:「野田さん……ありがとうございます。俺も、このままダラダラと探し続けるのは駄目だと思います。だから、ライブまでの間に全力で犯人を見つけたい。


野田さんは復活ライブを成功させてください。犯人探しは俺達に任せてもらえれば。


それから、秀治さんには当日の撮影を、富士田には配信をお願いしたい。2人で連携してやってください。富士田、お前の見せどころだ。チャンネルを使っていいから宣伝も頼む。」


秀治は椅子の背にもたれかかり、にやりと笑った。


秀治:「やっぱり僕のスキルが必要になるよね。……フジキンさんとのタッグか。悪くない!!!」


富士田は椅子をきしませながら勢いよく立ち上がる。

富士田:「いや〜責任重大だ!!

でも、野田さんがここまでやってくれるなら、もう会社バレなんか恐くない!秀治さん、よろしくお願いします!!」


冬月は軽く手を上げ、にやりとした。

冬月:「つまりー……捜索隊は礼堂、オレ、紗和さんの3人ってことだね?」


礼堂:「そういうことだ!」


視線が紗和に集まる。彼女は少し考え込んだあと、静かに頷いた。

紗和:「……分かりました。私も精一杯頑張ります。」




その空気を和ませるように、秀治が冗談めかして言った。

秀治:「でもさ〜、復活ライブって言ってもボーカルがいないよね?さすがに僕のスキルでもボウさんのCGは無理だよ。ははは。」


その言葉を受け礼堂は軽く手を叩き、視線を末吉へ向ける。


礼堂:「それに関しては……末吉さん。」


カウンターにいた末吉が驚いた顔で振り返った。

末吉は思わずグラスを落としそうになり、慌てて持ち直す。


末吉:「え?僕?」


礼堂:「末吉さんカッコいいし、体型もボウさんに近い。できるだけ寄せて扮装して、是非大役を務めてほしいんです!!」


末吉は困ったように笑い、首をかく。

末吉:「こ、困ったなぁ……店のこともあるし、、、」


冬月:「末吉さん、俺からもお願いします!」

野田:「末吉くん……頼む。」


その言葉を受け、場にわずかな沈黙が落ちた。

カウンターの奥でグラスを磨いていた夜魔は、ゆっくりと手を止める。重厚な体格に似合わぬ静けさをまといながら、煙草の煙をふっと吐き出すと、鋭い眼差しで末吉を見据えた。


夜魔:「末吉!いいか?店のことは心配するな。お前ロック大好きだろ?ロックの1ページに載ってこい!こんなチャンス、二度とねぇぞ。」


末吉はしばし黙り込み、やがて表情を引き締めた。


末吉:「夜魔さん……ありがとうございます。

分かりました!やらせていただきます!

礼堂くん、、、、悪いけど、僕。歌上手いからね。」


礼堂は満面の笑みで頭を下げた。


礼堂:「ありがとうございます!それじゃ皆さん、よろしくお願いします!詳細はまた連絡しますね!」


こうして配役も無事に決まり、張り詰めていた空気は一転、笑い声とグラスの音が響く賑やかな酒席へと変わっていった。




一同が盛り上がっている中。。。

カウンターでグラスを磨いていた夜魔は、心の中でぼやく。


夜魔:(ん、、、、あれ?……......俺は?)


夜魔はそのままグラスを置き、独り言のようにため息をついた。

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