ep.5『Rock and Roll All Nite』
翌週の金曜日、バー『夜魔』に向かう礼堂と冬月。
冬月が少し緊張した様子で言った。
冬月: 「あ〜、なんか緊張するなぁ」
礼堂: 「な!1000万だもんな〜!」
冬月: 「実際それに緊張するよな〜」
礼堂: 「普通だったらジャンク・バスターズのギターに会えるのか〜。緊張するな〜。なんだけど、俺らは一味違うよ。」
冬月: 「おいおい、やめろ(笑)その感じ店で絶対出すなよ。ダサいから。」
礼堂: 「分かってるよ(笑)俺はそんなヘマしないから(笑)」
2人が話しながら歩いていると、店の前に到着。そこで、オーナーの夜魔が2人を見てニヤリと笑っていた。
夜魔: 「いや〜、緊張するね!1000万だもんね!、、、いやいや違う違う、バンジャスのギターに会えるからね!」
その言葉に、礼堂と冬月は思わず顔を見合わせて、心の中でツッコんだ。
礼堂&冬月(心の声): 「早速こいつヘマしてる!てかバンジャスじゃなくてジャンバス!」
礼堂: 「夜魔さん元気してました?」
夜魔: 「いや最近眠れない日々が続いててね、、事件のことばかり考えちゃって、、、」
冬月が心の中で思う。
冬月(心の声): 「寝れない原因、懸賞金だろ絶対」
夜魔: 「さぁ、店で待つとしようか。」
夜魔の言葉に、2人は頷き、店の中へ足を踏み入れた。
礼堂と冬月が店内に入り、野田を待つ間、世間話を広げる。
冬月: 「でもさ、やっぱりおかしくね?俺の確認ミスを見抜けなかったから、課長も部長に怒られてる訳だからさ、課長だってミスってんじゃんかよ!」
礼堂: 「まぁどっちもどっちよ。」
冬月: 「課長のキャリアの長さで見抜けないのはヤバいよ実際。」
礼堂: 「未来の自分へのブーメランだな、そのセリフ。」
するとカウンター越しの夜魔が話に入ってきた。
夜魔: 「またそんな話か〜(笑)冬月くん成長しないね〜(笑)」
礼堂: 「そうなんです夜魔さん。もう不治の病なんで、そっとしてやってください。」
冬月: 「余計なお世話だ!でも俺、会社で1番タイピング速いから!なんなら残像が見えるくらいだからね!」
礼堂: 「はいはい、分かったよ(笑)」
そんな無駄話をして場が和んでいる最中、入り口のドアが開いた。2人の視線が自然とそちらへ向く。
そこにはギターケースを背負った男が立っていた。少しやつれた雰囲気だが、鋭い眼光が印象的だ。男は店内を一瞥すると、ゆっくりと歩みを進め、カウンター席に腰を下ろした。
夜魔: 「お、野田さん!今日は来てくれてありがとう!」
礼堂と冬月は目線を交わし、静かに息を呑んだ。いよいよ“ジャンク・バスターズ”の元ギタリスト、野田との対面が始まる。
夜魔: 「じゃあ野田さん、飲み物は何にします?」
野田: 「そりゃロックに決まってるだろ!ウイスキーをロックで、ガツンといこうぜ!」
夜魔: 「了解です!」
夜魔が手際よくウイスキーを用意する間、礼堂と冬月は密かに野田を観察していた。
冬月(心の声): 「ウイスキーのロック……。やっぱり全部ロック基準なんだな、この人。」
礼堂(心の声): 「革ジャン、革パン、そしてウイスキー……どんだけロック尽くしなんだよ。」
ウイスキーが野田の前に置かれると、野田は豪快にグラスを持ち上げた。
野田: 「じゃ、まずは乾杯しようぜ!音楽と、この場に集まった俺たちに!」
礼堂&冬月: 「か、乾杯!」
全員がグラスを軽く合わせると、野田は一気にウイスキーを飲み干した。その勢いに圧倒されながらも、礼堂は慎重に話を切り出す準備を始めた。
礼堂: 「野田さん、今日はお忙しいところ本当にありがとうございます。実は少し、ジャンク・バスターズやボウさんについてお伺いしたいことがありまして……」
その名前を聞いた瞬間、野田の表情が少し変わった。目の奥に、どこか懐かしさと哀愁が入り混じるような光が宿った。
野田: 「ボウの話か……。そりゃ懐かしい名前だな。」
グラスを置いた野田が、真剣な表情で礼堂と冬月を見つめた。普段のノリが一瞬引っ込んだその雰囲気に、2人も自然と背筋が伸びる。
野田: 「いいだろう。俺に分かる範囲で答えるよ。……でも、あいつの話になるとちょっと感傷的になるかもな。」
こうして、礼堂と冬月は“ジャンク・バスターズ”やボウについて、野田の記憶の奥深くを探ることになった――。
キャラクター紹介
野田 幸司
年齢: 47歳
職業: プロギタリスト(ジャンク・バスターズの元メンバー)、現在はサポートミュージシャンとして活動中
外見: 長髪にサングラスがトレードマーク。黒い革ジャンと革パンを常に身に着けており、ギターケースを片手に持ち歩くという「ロックそのもの」の風貌。