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礼堂と冬月の不完全な作戦〜愛は勘違い編〜  作者: A gyousya
未解決事件の幕開け
3/59

ep.3『Cigarettes and Alcohol!』

金曜日の夜、仕事を終えた冬月と礼堂は、仕事の疲れを癒すためにバー『夜魔よるま』へ向かっていた。静かなバーの中で、二人はいつものように軽い酒を交わしながら話を始める。


冬月:「お疲れ、礼堂。」

礼堂:「お疲れ、冬月。リモートワーク、どうだった?」

冬月:「まあ、普通だな。でも、仕事が多すぎてちょっと疲れた。」

礼堂:「俺もだよ。あ、そういえば、最近ちょっと調べものしてたんだ。」


冬月:「調べもの?」

礼堂:「うん、あのボウの事件。」


礼堂:「調べてみたけど、証拠らしい証拠も情報も全然出てこないんだよ。」

冬月:「やっぱり10年前の事件だからな。そんな簡単に情報が出てくるわけないだろ。」


礼堂:「だよな。もう手がかりすらない感じだし、調べても意味ないんじゃないかと思って。あ〜。懸賞金〜。」

冬月:「まあ、情報が出てこないのは当たり前だよな。事件自体が結構昔だし。」


二人がそんな風に話していると、冬月の声が思いのほか大きく響き、ふと近くの席に座っていた店のオーナーである、

夜魔一徹よるま いってつ】が、吸っていたタバコの火を消し顔を上げた。

グラスを手にし、こちらを見ているその視線に気づいた二人は、一瞬間が空いた。


夜魔:「今なんて言った、、、、10年前のボウの事件だと?」

夜魔が冷たい視線を向けながら尋ねた。


その言葉に、冬月も礼堂も一瞬言葉を失う。夜魔はグラスをゆっくりと回しながら、徐々に口元に不敵な笑みを浮かべた。


夜魔:「……何なんだ?、その話。」

夜魔は少し楽しそうに言った。


冬月は少し顔を赤らめながら、慌てて言い訳をしようとするが、礼堂が軽くツッコミを入れた。


礼堂:「お前、声でかすぎだろ。おかげで夜魔さんに聞かれちまったじゃねーか。」


冬月:「あ、いや、そんなつもりじゃ……」

と恐縮するも、夜魔はまったく気にした様子もなく、ただ興味深そうにグラスを回している。


夜魔:「面白そうな話だな。」

夜魔は静かに言った。


冬月:「いや、あの、別に……全然しょうもない話っすよ!ははは!」

冬月はどうにか話を逸らそうとし、言葉を濁すが、夜魔はその態度に気づいたのか、もう一度不敵な笑みを浮かべて言った。


夜魔:「話を逸らそうとしても無駄だよ、冬月くん。

まぁ、その話、、極秘の情報がないわけじゃないけどな〜。」


夜魔はグラスを回しながら言った。

冬月は思わず息を飲み、礼堂もその言葉に反応を示す。


礼堂:「極秘の情報?」


礼堂が眉をひそめて尋ねると、夜魔は一瞬だけにやりとした笑みを浮かべ、冷たく言った。


夜魔:「まあ、でもどうかな。」


夜魔はグラスを口元に持っていきながら続けた。

夜魔:「ちなみにだが、懸賞金はいくらだ?」


その言葉に冬月と礼堂は驚きながら、視線を交わす。


冬月「懸賞金……?」

冬月が言いながらも、どう返すべきか迷っていた。


礼堂:「おいおい、夜魔さん、急にどうしたんすか?もし知ってるんならその情報をくださいよ。」

と礼堂は笑いながらも警戒を見せた。


夜魔はその問いには答えず、無邪気にグラスを飲み干すと、もう一度挑戦的に言った。


夜魔:「まあ実際、あんまり興味ないんだけどな、懸賞金の額なんか。ただ、とりあえず聞いておこうか。いくらだ?」


冬月はしばらく黙り込んでから、ようやく言葉を発する。


冬月:「1000万。」


夜魔はその額を聞いてから、とても満足そうにうなずいた。


夜魔:「1000万か……なるほどな。」


夜魔はその言葉の後、少し楽しそうに続けた。

夜魔:「まあ、俺は本当に興味ないんだよな。

1000万とかそういうの。金じゃねぇからこういうのは。」


冬月と礼堂は互いに目を合わせ、心の中で瞬時に会話を始める。


冬月(心の声):

「夜魔さん、ずっと懸賞金の話しかしてないな。」

礼堂(心の声):

「ほんとだな。ボウの事件の話もしたいのに、懸賞金ばっかりだ。」


冬月(心の声):

「これ、もしかしてボウのことすら知らないんじゃないか?」

礼堂(心の声):「ありえる。」


二人はその後も会話を続けながら、視線を夜魔に送り、改めてボウのことを知っているか試してみることにした。


冬月:

「てかさ、夜魔さん、ボウのこと知ってんすか?」

礼堂:

「音楽好きとか聞いたことないけど、どうなんすか?」


夜魔はグラスを置き、少し困ったように首をかしげると、答えに窮している様子を見せた。



少し間をおいて、どこか濁した声で続けた。


夜魔:「ん〜、あぁ〜、あれね。いや〜懐かしいね!

ボウちゃんね!うん!すげー好きだったわ!」


その答えに、冬月と礼堂は一瞬顔を見合わせ、すぐに察する。


冬月(心の声):「あ、こいつ、ボウのこと全然知らねぇな。」

礼堂(心の声):「ほらな。まったくピンと来てないじゃん。」

冬月(心の声):「なら、ちょっとカマかけてみるか。」


冬月が冷静に言った。


冬月:「じゃあ、簡単なクイズ。ボウがいたバンドは?」


夜魔は少しの間、考え込むような素振りを見せた後、にやりと笑って言った。


夜魔:「あぁ〜、あれね。懐かしいね。泣きそうだね。

『エモい』ってこういう時使うんだね。うん、俺すげ〜好きだったわ確か!」


冬月と礼堂は、その反応で確信する。夜魔はボウのことを全く知らない。バンドの名前すら思い出せていないことが明らかだった。


礼堂(心の声):「やっぱりな。」

冬月(心の声):「全然知らないじゃん、こいつ。」


二人は思わず顔を見合わせ、苦笑いを浮かべる。夜魔はその様子を見て、少し困った顔をしながら言った。


夜魔:「お前ら、何疑ってんだ?」


その時、カウンターにいる夜魔の店長、【末吉すえよし】がふと顔を上げて、にこやかに声をかけてきた。


末吉:「ボウってロックバンド『ジャンク・バスターズ』のボウかな?」


礼堂と冬月は驚き、目を見開いた後、思わず同時に声を出す。


礼堂&冬月「アンタが知ってるんかい!」


そして、二人は瞬時に心の中で会話を始める。


冬月(心の声):「え、マジか…末吉さん知ってたんだ。」

礼堂(心の声):「まさか末吉さんが知ってるとは思わなかったな。」


夜魔は目を見開き、得意げに言った。


夜魔:「あ〜!そうそう!ジャンク・バスターズ!ジャンバスね!」


そして、満足げな表情を浮かべて、腕を組みながら続ける。


冬月(心の声):「知った風に略すな!」

礼堂(心の声):「ほんと調子いいなぁ...」


二人は再び顔を見合わせ、苦笑いを浮かべた後、気を取り直して末吉に質問をする。


礼堂:「末吉さん、ロックバンドとか好きなんですか?」


末吉は軽く肩をすくめて、笑顔で答える。


末吉:「まぁ、人並みにね!」


それから、少し考え込むようにして、続けた。


末吉:「ボウさんなら、昔うちのバーに何回か来たことあるよ。」


その言葉に、冬月と礼堂は驚きの表情を浮かべる。思わず同時に言った。


礼堂&冬月「え、マジで?」


キャラクター紹介


夜魔よるま

年齢: 46歳

職業: バー『夜魔』のオーナー

外見: 身長190cm、体重120kg。厳つい外見で、どこか怖い印象を与えるが、目つきにどこか余裕と計算高さが感じられる。金が絡むと色々乗っかってくる癖がある。

また面倒見がよく、周りの人から慕われる存在。


末吉すえよし

年齢: 42歳

職業: バー『夜魔』の店長

外見: 中背で細身、ラフな服装が多い。顔つきは穏やかで、にこやかな表情をよく見せるが、目元に少し鋭さも感じさせる。

性格: 明るく、社交的で盛り上げ上手。人懐っこい性格だが、少し天然な一面もある。特に新しい話題や面白い話があると、すぐに乗っかって会話を盛り上げようとする。周囲に気配りをしつつも、時折ドライな一面が顔を出す。

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― 新着の感想 ―
あははははは。夜魔さん。知らないのバレちゃいましたね。 拓真も信介も知らないのわかってからかうの面白いです。 と、思ったら末吉さん! ボウさんがお店に来ていたですって!? ど、どういうことー!?
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