ep.27『Hey Jude』
紗和:「今日は、いきなり泣いたりしてごめんなさいね…。感情的になっちゃって。」
礼堂:「いえいえ、こちらこそメールのやり取りから本当にすみませんでした!」
冬月:「ホントすいませんした!俺も反省してます!」
紗和:「ふふ、大丈夫ですよ。むしろ、こうして直接お話できてよかったです。でも、二人はどうしてこの事件を追ってるんです?」
礼堂:「いや~、それはですね…えーっと…。」
紗和の鋭い視線に、礼堂の目線が泳ぎ始める。
礼堂:(心の声)「今、一番言っちゃダメなのは懸賞金の話だよな…。どう誤魔化す…?」
冬月:「俺たちも、最初はただの興味本位だったんですよ。でも、紗和ちゃん!もうここまで来たら事件解決まで突っ走るしかないよ!紗和ちゃんのためにも頑張るから!」
紗和:「まぁ!本当に嬉しいです。お二人なら心強いわ。」
上手く誤魔化すことができ、紗和の信頼を得る2人。
礼堂:(心の声)「冬月ナイス!!」
礼堂:「あの、紗和さん。せっかくこうして一緒に動くわけだし、敬語とかやめませんか?堅苦しいと、なんか距離感じるし。年齢も恐らく近いでしょうから!」
冬月:「それいいね!俺もそっちの方が楽だし。」
紗和:「ふふ、そうですか?私はどっちでもいいですよ。あら、でもお二人って、見た目より年齢いってらっしゃるんですね?」
冬月:「えっ、見た目よりってどういうことですか?」
礼堂:「紗和さん、ちなみにおいくつ?」
紗和:「今年で46歳です~!」
礼堂&冬月:「紗和姐さん!!!!!」
こうして、紗和を「姐さん」と呼ぶことを心に誓った礼堂と冬月。
2人は紗和と別れ、街を歩きながら思考を巡らせていた。
冬月は何かを思い出そうとしている様子だったが、結局思い出せず、
「ま、思い出したら連絡するわ」と礼堂に言い残し、それぞれ家に帰ることにした。
冬月:「あー、なんだったっけな…。なんか引っかかるんだよな。」
自宅でコーヒーを飲みながら、秀治から送られてきた映像を再生していると、画面に映る一人の女性が目に留まる。
冬月:「これだ!やっぱそうだ。秀治さんの美女図鑑…に紗和姐さん映ってたじゃん!」
映像の中には、若い頃の紗和が鮮明に映っていた。現在とは雰囲気が違うが、その美しさは一目でわかる。
冬月:「かなり前だから服装とか髪型も違うけど、やっぱり美人だな~。いや~、46歳には全然見えなかったよなぁ…。今の紗和姐さんもすごいけど、若い頃も最高かよ。」
すっかり感心しながら映像を巻き戻し、何度も確認する冬月。そして、すぐに礼堂に電話をかけた。
礼堂:「おう、どうした?」
冬月:「思い出したよ。秀治さんの動画に紗和姐さん映ってた!若い頃の紗和姐さんだ。」
礼堂:「マジか!そこだけ切り取って送ってくれ!」
冬月:「いや、無理だね!お疲れ~!」
冬月が電話を切ろうとしたその瞬間、礼堂の声が再び響く。
礼堂:「ちょっと待て、冬月。そういえば提案なんだけど、一度みんなで集まらないか?情報も整理できるし、まだ出てきてない話も聞けるかもしれない。」
冬月:「あー、それはいいね!確かに、ここからはもうチーム戦だな。」
冬月が深く頷きながら神妙な表情を浮かべる。そして、真面目な口調で続けた。
冬月:「けどさ、一つだけ絶対に共有しちゃいけないことがある。」
冬月の発言に対し、礼堂はまるで愚問だなと言わんばかりにニヤリと笑った。
礼堂:「ふっ。懸賞金の話だろ?」
冬月:「イエス。」
2人の考えは完全に一致していた。
礼堂:「まぁただ、問題は夜魔さんだな。あの人、完全に乗っかろうとしてるだろ。」
冬月:「あそこはもう、仲間にするしかないんじゃないか?」
礼堂:「それしかないな。」
冬月:「ただし、条件付きで。」
礼堂:「だよな。」
2人は顔を見合わせ、タイミングを合わせるように同時に言い放つ。
礼堂&冬月:「1割でアイツを口止めする!!!」
夜魔の協力を仰ぎつつも、懸賞金の話を徹底的に隠す策を練り始めた2人。
冬月:「でもさ、懸賞金の件張本人である紗和さんと話をする必要はない?」
冬月の懸念点に礼堂が冷静に答える。
礼堂:「それはないだろう。逆にしたらしたで金目当てだと思われるよ。やっぱりあくまでも心から協力したいんですってスタンスを取らなきゃね。」
冬月:「まぁ、野田さんと秀治さん、富士田にはあとで飯でも奢ればいっか!!」
礼堂:「そういうことだ。いずれにせよ、まずは事件を解決しなきゃ1000万も何もないからな。」
冬月:「よし、じゃあ夜魔にみんな集めてミーティングだ!」
こうして次の方向性が固まった礼堂と冬月は、明日の仕事の為に、早めに睡眠を取るのであった。