ep.23『Don’t look back in anger』
翌日、怒りを抑えられない冬月は、裏サイトの管理人へ、怒りのメールを送ることに決めた。
キーボードを叩く手が震える。
冬月(心の声):「なんだよ、あのページ。俺達の貴重な時間を無駄にしやがって!いったい何が楽しいんだよ?」
彼は勢い余ってメールを打ち始める。
メール内容:
『管理人様、
貴方のサイトを見て、正直言って腹が立っています。
ただの遊び感覚で犯罪をネタにしているようにしか見えません。
事件の詳細なんて一切載せず、ただ「犯人はまだわからない」なんて書いておいて、何がしたいんですか?
時間を返してほしいです。
冗談でもいい加減にしろって感じです。
本当にふざけんなよ。
冬月』
メールを送信した後、冬月は一息つく。少しだけ気持ちが楽になった気がしたが、まだ怒りが収まらない。彼は画面をじっと見つめる。
その瞬間、パソコンが音を立てて通知を表示した。
通知:「管理人からの返信」
冬月は一瞬驚き、手が止まる。しかし、冷静さを取り戻し、返信を開く。
返信内容:
『冬月様、
おっしゃる通り、サイトの内容が一部の方々に不快感を与えていることを理解しています。
ですが、これは単なる情報提供の一環であり、悪意を持って運営しているわけではありません。
今後も引き続き、少しでも皆様のお役に立てる情報を提供できるよう努めていきますので、ご了承ください。』
冬月は返信を読み終わると、唇を噛んで息を吐く。
冬月:「ふざけたこと言ってんな…」
冬月はもう一度キーボードを叩く。
「どう責任を取ってくれるんだ?」と心の中でつぶやきながら。
再送信するメール内容:
『管理人様、
今の返信、全く納得できません。
あなたのサイトのせいで、私は仕事にも影響が出ています。毎日上司に怒られ、まともに仕事ができない状態です。
これは明らかにあなたのサイトの内容が原因です。
一体、どう責任を取ってくれるんですか?
冬月』
メールを送信した後、冬月は少しだけ心が落ち着いた気がした。だが、再び通知が届くのを待つことになった。
しばらくして、また新たな返信が届く。
返信内容:
『冬月様、
ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。
ですが、どうしても気が収まらないのであれば、お電話にて対応させていただきます。
お手数ですが、お電話での対応をご希望の場合は、その旨お知らせください。』
冬月はこの返信を読んだ瞬間、冷や汗をかいた。
冬月:「電話で対応って、そんなことで済ませるつもりか…!社会人としてそれはないだろう!」
彼は再びメールを打ち始める。
再送信するメール内容:
『管理人様、
電話での対応では到底納得できません。
社会的な常識として、直接謝罪に来るべきです。
あなたが謝罪するためにこちらに訪問してください。』
送信ボタンを押した瞬間、冬月は一瞬、冷静になった。
しばらくして、再び管理人から返信が来る。
返信内容:
『冬月様、
それでは、日にちと時間を指定していただければ、こちらから伺わせていただきます。
お手数ですが、ご都合の良い時間をお教えください。』
返信を確認した冬月は、少し驚きながらも、心の中で満足感を感じた。
冬月:「よし、これでイライラも収まった。最初からそういえばこっちもそれなりに考えたのに。」
だがその後、冬月は少し面倒くさくなり、いったん冷静になった自分に気づいた。
冬月:「いや、なんだか面倒だな…恐い人だったらどうしよう。。」
冬月は礼堂に電話をかけ、夜に会う約束を取り付ける。
その夜、礼堂との再会を心待ちにしながら、冬月は自分の思考を整理しようとした。
自分が求めていたものは、ただ単に「納得できる結論」だったが、どうしてもその過程で過剰に反応してしまったようだ。
その日、礼堂との会話がどんな方向に進むのか、頭の中でなんとなく考えていた。