ep.21 『複雑な事情』
礼堂と冬月から今までの流れを説明された秀治。
秀治:「なるほどね〜。
じゃあ、今その川端って社長を疑っていて、君たちの友達である富士田くんがそっちを探っていて、
君たちは動画サイトにアップしていた僕にコンタクトを取ったってわけだ」
礼堂:「はい。そんな感じです」
秀治:「でも、なんでわざわざ事件のことなんか探ってるの?
別にボウくんの知り合いだったってんならまだ分かるんだけどさ」
冬月と礼堂は目を合わせ、アイコンタクトで会話を始める。
冬月(どうする礼堂?言うか?1000万のこと)
礼堂(いやダメだ。夜魔さんみたいに『1割よこせ』とか言われかねない)
秀治が二人の沈黙を不思議そうに見つめる。
秀治:「な……何か、複雑な事情がありそうだね。
まぁ無理には聞かないよ。僕にも出来ることがあれば協力させてくれ」
礼堂:「えっ、いいんですか!?ありがとうございます!」
冬月:「ありがとうございます!」
秀治:「僕だって、ボウくんの事件、気にならないと言ったら嘘になるからね」
礼堂と冬月がホッとした表情で顔を見合わせる。秀治は自分の腕時計をちらりと見てから、少し真剣な表情に変わる。
秀治:「元々さ、僕はジャンク・バスターズの大ファンだったんだけど、彼らのライブをなんとか映像にしたくてさ。あるライブの後、ボウくんに話しかけてみたんだ」
──回想。
熱気に包まれたライブ後、観客が引き上げる中、若い秀治がボウに声をかける。
秀治:「どうも!いつもライブ楽しませてもらってます!秀治と申します!」
ボウ:「あぁどうも!いつもありがとうね。秀治くん、よく見に来てくれてるよね」
自分の存在を覚えてもらっていたことに、大興奮する秀治。
秀治:「いきなり図々しいこと言ってすみません!
このジャンク・バスターズの最高にカッコいいライブを、映像として撮りたいんです!」
ボウ:「そう言ってもらえるのはありがたいけど、ライブを記録として残すつもりはないんだよね。全く」
秀治:「記録として……じゃありません!僕は、ジャンク・バスターズのライブの格好良さを!熱を!どんなに時が経とうがリアルに感じて欲しくて、発信したいんです!
見てもらいたいんです!いろんな人に!これは僕でなきゃできない!!!」
ボウ:「はは!すごい自信だね〜!そっか〜。どうする?野田っち?」
野田:「でも俺たち、自分たちのライブって客観的に見たことないよな?いいんじゃねぇか?」
ボウ:「まぁそこまで言ってくれるなら、ぜひよろしく頼むよ。
ただし…カッコよく撮ってよ!日本にはこんなカッコいいバンドがいるんだって、世界中に思わせてくれるような!なんなら世界どころか宇宙も超えちゃってさ!」
野田:「ボウちゃん……宇宙は無理だろ〜。あとそれ、俺らの努力次第じゃね?」
ボウ:「そりゃそうだな!ハッハッハ!!」
回想が終わり。
秀治:「とまぁ、これが俺とボウくんの最初の会話だったんだよね。懐かしいなぁ」
昔話を懐かしむ秀治。礼堂と冬月はそのエピソードに胸を打たれている。
秀治:「あっ、ちなみに。サイトにアップしてるもの以外にも映像があるから送っておくよ!
何か重要なものが潜んでいるかもしれないからねぇ」
冬月:「ありがとうございます。映像は自分の方にお願いします」
秀治は再び、腕時計を確認し......
秀治:「では、これから帰って、ゲーム配信を見ないといけないから帰るね!」
冬月:「ゲーム…配信?」
秀治:「うん!『フジキン』って配信者なんだけどさ〜、ツッコミが面白くってさ!
ツッコミの時に右手を振る癖があるんだけど、いつもそれのせいで敵にやられちゃうんだよね〜」
礼堂と冬月がハッと目を合わせる。
礼堂:(それって…...もしかして......)
冬月:(あぁ……間違いないよ)
礼堂:「フジキンって、メガネかけてます?」
冬月:「登録者1500人くらいです?」
秀治:「あぁ、あれ?知ってるの?」
礼堂&冬月:
「アイツかよ!!!!」
礼堂は秀治に状況を説明する。
秀治:「あっ!さっき言っていた富士田くんがフジキンさんだったんだね!」
冬月:「恐らく」
秀治「ふふふ。より君達に協力したくなったよ!富士田くんに感謝するんだな!」
礼堂&冬月:(アイツには黙ってよう......)
2人は目を合わせて、深く頷いた。




