ep.15『世界の終わり』
今日は富士田が一大プロジェクトの担当になって初めてのミーティング。。
富士田はオフィスの会議室に向かう。部屋には役員たちと、彼がこれから担当する一大プロジェクトに関連するメンバーが集まっている。富士田はやや緊張しながらも、表情を崩さないように努める。
会議室に足を踏み入れると、富士田は少し緊張した様子で、目の前に広がる面々を見渡す。役員たちが並び、テーブルの上には資料が整然と置かれている。周囲の静けさに、彼は改めてこのプロジェクトの重要さを実感していた。
会議の先頭に座っているのは、直属の上司だ。上司が目を合わせると、にこやかに手を挙げる。
上司:「おう、富士田。やっと来たか。さっそくだが、このプロジェクトを進めるのは君だ。よろしく頼む。」
富士田は一瞬、呆気に取られたような顔をし、その後すぐに表情を引き締めて頷く。
富士田:「わかりました。頑張ります。」
その言葉が響き渡ると、役員たちが少しずつ頷き合う。その空気の中で、富士田は胸に浮かぶ不安を押し込めようとするが、心の中で既にいくつかの疑念が膨らんでいた。
富士田:(心の声)「うーん、このプロジェクトがうまくいけば、会社での評価も上がるけど、配信の時間が大幅に減るのが痛い…。どうしようかな…。でも、逃すわけにはいかないか…。」
資料を手にした上司が口を開く。
上司:「この案件は、会社としても非常に大きな意味を持っている。君の手腕にかかっていると言っても過言じゃない。それに、このプロジェクトには役員も関わっており、社長も注目している。君のキャリアを大きく左右するチャンスだと思ってくれ。」
その言葉に富士田は一層、責任の重さを感じる。まるで全員が彼を見守っているような気がして、背筋が伸びる。
富士田:(心の声)「これ、断ったらどうなるんだろう…。でも、断れないよな…。成功させるしかない。」
役員の一人が資料をスライドしながら、さらに補足する。
役員A:「君には、このプロジェクトの全てを任せる。だが、その分、君の判断力が重要になってくる。君のリーダーシップに期待している。」
その言葉に富士田は心の中で決意を固め、力強く答える。
富士田:「了解しました。プロジェクトを成功させます。」
その後、ミーティングは具体的な進行方法についての話し合いに移るが、富士田は心の中で次のことを考えていた。
富士田:(心の声)「さて、仕事が一段落したら配信だ…どうにかして時間を作らないと…。でも、これは本当に大きなチャンスだし、逃せないな。」
会議が終わり、富士田は役員たちと軽く挨拶を交わして部屋を出る。次なるステップとして、プロジェクトに取り組むための準備を進める覚悟が固まっていた。
ミーティングが終わり、自分のデスクに戻った富士田は、ふとスマートフォンを手に取る。画面に表示されているのは、冬月と礼堂からのメッセージだ。
冬月:「普通に会社のプロジェクト進めようとしてない?
( ◠‿◠ )」
富士田は眉をひそめ、画面をスクロールすると次にもう一つのメッセージが現れる。
礼堂:「会社のプロジェクトも大事だけど、、もっと大事なプロジェクト、忘れてないよね?( ◠‿◠ )」
富士田:(心の声)「あいつらなんなんだよ!どっかで俺のこと見てんのか!?」
一気に疲れが出たような気がして、富士田は椅子に深く腰掛ける。彼には、一大プロジェクトのことを真剣に考えなければならないというプレッシャーが常にのしかかっていた。けれども、あの二人が突然メッセージで指摘してくるそのタイミングが妙に引っかかる。
富士田:「どうしてこんなタイミングで…。」
無意識にスマートフォンを握りしめ、ふと冷静さを取り戻そうとする。だが、すぐに頭に浮かぶのは、冬月と礼堂がどこでどう自分を見ているのかという疑念だ。
その直後、別のメッセージが飛び込んでくる。
冬月:「いや、あれだよ。プロジェクト進めつつも、あっちの方が大事だろ?」
礼堂:「いつやるの?今でしょ?」
二人の言葉に、富士田は再びスマートフォンを床に置く。今、目の前にある現実──プロジェクトのこと──と、二人からのメッセージが交差する。
富士田:(心の声)「やっぱり、こいつら…。俺を何かに追い込もうとしてるのか?」
頭の中で二人が企んでいることを考えながらも、彼はそのメッセージを無視することはできなかった。
富士田:「ああ、わかったよ…。俺が進めるって言ってんだろ。」
しかし、心のどこかで、富士田は本当にそれで良いのか疑問を抱きながらも、プロジェクトと向き合っていかなければならないと自分に言い聞かせるのだった。
その後、何度もメッセージを見返し、少しだけ冷静になった富士田は、心の中で一つの決断を下す。
富士田:「まずはこっちのプロジェクトをやり遂げる。それからだ。」