ep.11『Gigantic』
数日後、、、
リバサイド株式会社の向かいにあるカフェ。
礼堂はノートPCを開きながら、コーヒーを片手に事務作業を進めている。イヤホン越しに冬月の声が聞こえる。
冬月:「お前、それもはや営業じゃなくて張り込み中の刑事だろ。」
礼堂:「しょうがないだろ。俺だって、いつもみたいに気楽にドライブしてたいよ。でもここ、川端の会社が見える唯一のポイントなんだよ。」
礼堂が窓越しにリバサイド株式会社のビルをちらりと見やる。
冬月:「まぁ、お前が張り込んでくれてる間に、俺は事件のことをまとめて整理してみたよ。今データ送るね。」
数秒後、礼堂のPCに通知が届く。礼堂はファイルを開き、目を通す。
礼堂:「おお、すごいじゃん。よくできてる。抜けもないし、一つもミスがないよ。」
冬月:「だろ?俺、こういうの得意なんだよね。事件には金が懸かってるんでねぇ。こちらも本気になりますよ。」
礼堂:「えっと…あれ?冬月、これ懸賞金のところ、金額が書いてないんだけど。万円しか書いてないよ。」
一瞬の沈黙の後、冬月が慌てた声を出す。
冬月:「そっ…それは、ほら!時系列をまとめただけだからさ。細かいところは、まぁ…気にしない方向で!ははは!」
礼堂は深いため息をつきながら呆れた声を漏らす。
礼堂:「一番大事なところだろ。懸賞金がどれだけ出てるかでモチベーション変わるだろうが。ほんと、お前が上司に怒られる理由がよくわかるよ。」
冬月:「うるさいな!俺のやる気が大事なんだよ!」
礼堂は苦笑しながら、再びリバサイド株式会社のビルに目を向ける。
礼堂:「まぁ、いいや。とりあえず今日は川端がどんな動きをしてるかを観察する。」
冬月:「俺も手伝えることがあったら言ってくれよ。リモートワーク中だから、画面越しに応援してやるよ。」
礼堂:「いや、それ手伝ってるとは言わないだろ。」
10分後、
冬月:「川端、出てきた?」
礼堂:「まだだよ。そんなに焦るなよ。」
30分後、
冬月:「川端、来た?」
礼堂:「まだだ。」
1時間後、
冬月:「川端は…」
礼堂:「だからまだだって!お前が飽きるなよ!張り込んでるのは俺だぞ!」
時間が過ぎ、気づけば夕方になっていた。
冬月:「なぁ〜、、、なぁ〜、、、川端社長は今日あれだろ?有休だろ?」
礼堂:「いやいや社長だから忙しいんだろ。大きな会社みたいだし。それだったらオフ会の日に休むだろ。」
そんなやり取りをしている最中、リバサイド株式会社から一人の男が出てきた。
礼堂:「あれ!?あいつ…」
冬月:「ん?どうした?」