ep.1 『プロローグ』
キャラクター紹介
礼堂信介
身長178cm
黒髪
若干くせっ毛
•職業: 営業職(一般商社の営業マン)
•年齢: 35歳
•性格: 理屈っぽいが、人の感情を察するのが得意。
だが、時折ひねくれた物言いをする。負けず嫌いな性格。
•趣味: ロック音楽(メジャーもマイナーも嗜むが、冬月ほど深くはない)、ドライブ、料理
冬月拓真
身長170cm
童顔
茶髪
•職業: IT企業のエンジニア
•年齢: 35歳
•性格: 感情的になりやすく、人に怒られるのが苦手。自分のやり方に強いこだわりがあり、他人に指図されることを嫌う。負けず嫌いな性格。性格に似合わず童顔である。
•趣味: ロック音楽(特にマイナーなバンドに詳しい)、ネットサーフィン
•関係性: 礼堂とは大学時代からの腐れ縁。
冬月拓真はモニター越しの苛立たしい会話をやり過ごし、ようやくリモート会議を終えた。画面を閉じると同時に、深くため息をつく。
「……確認不足ってなんだよ。お前も確認してねぇだろうが。。」
誰に向けるでもない呟きが部屋に響く。リモートワークの静かな空間がいつもは心地良いはずだったが、今日ばかりはその静けさが嫌になる。
苛立ちをどうにか消化しようと、冬月はスマホを手に取り、電話帳をスクロールする。狙いは一人、大学時代からの腐れ縁である礼堂信介だ。
「……お前しかいねえ。」
通話ボタンを押す。数回のコール音の後、礼堂が出た。
「おー冬月。どうした?」
礼堂の声は落ち着いていた。背景には車のエンジン音が聞こえる。
冬月:「どうした、じゃねえよ。愚痴聞け、愚痴!」
礼堂:「なんだ朝からご機嫌だな。」
冬月:「全然ご機嫌じゃねえよ! 上司に理不尽に怒られたんだよ。確認不足とかさ!」
礼堂:「なるほどね〜。まぁどうせお前が悪いんだろ?」
冬月:「は? 俺が悪いわけねえだろ。何でもかんでも部下のせいにするあの態度がムカつくんだよ。」
礼堂:「まあまあ、落ち着けって。」
礼堂は軽く流しながら、話題を変えるように言った。
礼堂:「それより、お前は相変わらず家に引きこもりか?」
冬月:「もうリモートワークで体がなまりそうだよ。お前はどうなんだ?」
礼堂:「俺? 仕事はまあ、ぼちぼち。ウチはノルマ無いしそこまで大変じゃないからな。」
冬月:「まぁでも相変わらず運転好きだよな〜お前。」
礼堂:「好きじゃねぇわ!営業は気楽だぞ〜。時間あればコインパーキングで寝れるしな。」
冬月:「そっかぁ。あっ!タクシー運転手になれば?」
礼堂:「だから運転好きなわけじゃねーから!」
お互いくだらないやり取りを続けていると、ふと冬月がパソコンを開きながら言った。
冬月:「なんか面白いことないかなぁ?仕事もつまらんし。もっと刺激のある日々を送りたいものだよ。分かるかね礼堂くん!」
礼堂:「またまた〜、いつも上司に怒られて刺激的な日々を送ってるじゃないか〜!冬月くん!」
冬月は大きな声で反論する。
冬月:「そういうんじゃなくて!もっと楽しい刺激だよ!」
冬月は話しながらいつものようにニュースサイトを眺めていた。
冬月:「ったくネットニュースもこれといってだなぁ〜。なんか面白いサイトとか変な掲示板とかないわけ?」
礼堂:「それ俺に言われてもな...。どんなの探してんだよ?」
冬月:「別になんでもいいよ。」
礼堂:「なんでもいいなら自分で探せ。」
冬月:「はいはい。ったく、つれねえなぁ。」
冬月がぼやきながらパソコンの画面をスクロールしていると、妙な文面に目に入った。
『未解決事件の真実に迫る!』
冬月:「……なんだこれ?」
冬月は興味本位でそのリンクをクリックした。ページには、どこか陰鬱なデザインとともに、様々な未解決事件に関する記事が並んでいた。
冬月:「なあ礼堂...。」
礼堂:「ん? どうした?」
冬月:「いや、今たまたま見つけたサイトが……なんか怪しい。」
礼堂:「怪しい?」
冬月:「あぁ。未解決事件をまとめた裏サイトっぽいんだけど、これ普通じゃないぞ。」
冬月の声に少し真剣さが混じる。
礼堂:「....お前さ〜。そんな気味悪いもん開くなよ。変なウイルスとか踏むぞ。いいか?絶対クリックするなよ?絶対だぞ!クリックするなよ〜?」
礼堂の雑なフリに対し冬月がくだらない茶番を繰り広げる。
冬月:「く...くそぉ!人差し指が勝手に...!な、何故だ!」
礼堂:「はは!やめろ!ホントしょうもないなお前。」
冬月:「いや明らかにフってだろうが。」
冬月はページをスクロールしながら、目を細めた。そして、とある記事に視線が止まった。
『ロックミュージシャン・ボウ殺人事件』
冬月:「あれ?...これって。」
礼堂:「なんだよ。」
冬月:「あのロックミュージシャンのボウの記事が載ってる。」
礼堂:「ん?ボウって、確かインディーズバンドのボーカルだったよな?」
冬月:「あぁ。しかも……懸賞金がかかってる。」
礼堂:「懸賞金? いくらだ?」
冬月:「1,000万!!」
電話越しに一瞬の沈黙が流れる。
礼堂:「え.....冬月まじか!?それはちょっと面白くなってきたな!」
冬月:「ふふっ.....だな!」
2人の会話が次第に真剣味を帯びていく中、偶然のクリックが10年前の事件を再び浮かび上がらせる幕開けとなった。




