8話 みんな大好き男飯
俺のお父さんは魔族で
お母さんは人間だった。
この頃の俺はまだ
訪れる惨劇を知らない。
幼い男飯︙出来たー!
父親︙すごいじゃないか。それはなんだ?
幼い男飯︙粘土で作ったはにわの置物だよ。
お母さんにあげるんだ!
父親︙きっと喜ぶぞ。
幼い男飯︙お母さん、これあげる!
母親︙まぁ、くれるの?ありがとう!
棚に飾っておくわ!
数年後
母親︙お父さん、魔王になったんだって!
帰ってきたら祝ってあげましよ!
男飯︙そうだな。
父親︙ただいまー
母親︙おかえり、ご飯できてるわよ。
男飯︙お父さん、言いたいことが…
父親︙フハハハ!!!!
今日から俺は魔王!お前達は奴隷だ!
聞かぬなら処刑するぞ!!
母親︙あなた!!
家族に対してそんな言い方はないでしょ?!
父親︙…聞かぬなら処刑すると言った!
お前たち!こいつを処刑室に連れて行け!
魔族︙わかりました。
魔族︙了解。
男飯︙お父さん、やめろ!!!
父親︙この置物、目障りだな!
割ってしまえ!!
バリン!!!!
男飯︙……俺、こんなお父さん嫌だ!
出ていく!!
男飯︙家出してきたものの
行く場所ないよな……。
ゼラ︙行く場所ならあるわよ。
男飯︙誰だ。
ゼラ︙私よ。
もう日が暮れるわ。
私の所に来なさい。
男飯︙ありがとう……。
ゼラ︙いいのよ。
それよりもー
頭に何をかぶってるの?
男飯︙実はー…
ゼラ︙なるほどね。
お母さんにあげた置物を
お父さんが壊したその破片……と。
男飯︙ひどいよな。魔王になった途端
人が変わったかのように
家族にも権力を振るい出した。
ゼラ︙ずっとここにいていいわよ。
人間の支配権を持ってるから。
男飯︙支配権……?ああ、キュリオスの子か。
ゼラ︙なんで知ってんの?
男飯︙前々からそいつには気をつけろって
お父さんが言ってた。
見た感じ危険な人ではないな。
れん︙師匠は優しくて強いよ。
テツ︙危険なのはその実力だがな。
ゼラ︙誰の実力が危険だって?
テツ︙さーせん。
男飯︙…仲間もいるのか。
ゼラ︙あんたも仲間よ。
私はゼラ。
テツ︙オレはテツ。
れん︙僕はれん。
男飯︙俺は岩長男飯…だ。よろしく。
(このかぶりものは捨てよう。
新たな仲間と居場所ができたから。)