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君想う心に雨が降る

作者: タコ

挿絵(By みてみん)


 


 酷い土砂降りだ。

 目に映る空はこんなにも青く晴れているというのに、私の心は暗く重い雨雲に覆われている。冷たい血潮はザーザーと酷い音をたて、手足の指先は凍ったように動かない。

 数分前までの熱い鼓動が嘘のようだ。底抜けに明るい空に腹が立つ。


 あの人が視界に入るだけで、あの声が耳に入るだけで、この胸はうるさいくらいに高鳴っていたというのに。熱い鼓動は今や絶望の鐘へと成り下がった。


「なんで?」と聞くのもバカらしい。「奪われた」、「盗られた」なんて言うのもナンセンス。

 ただの友達で満足していた私がバカだったのかな?

 分かってる……。

 アイツはちゃんと行動した。フラれる事を覚悟で自分の気持ちを正直に伝えた。そしてそれが上手くいった。ただそれだけの事。


 妬む私の眼に、二人の照れたような笑顔が映る。

 ああ、なんて恨めしい。

 キラキラと輝く二人に背を向け歩き出す。


 さようなら初恋。土砂降りはまだ止みそうにないけれど、いつか晴れる日が来る事を私は知ってるよ。

 ただ今は、思い切り泣かせて。


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― 新着の感想 ―
[一言]  女性の悲しみや後悔などが入り混じった感情が、丁寧な文章で伝わってきました。    ただ沈んでいるだけではなく、再び浮かび上がる為に今のこの時間が必要だと、女性が思っている雰囲気が好きです…
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