君想う心に雨が降る
酷い土砂降りだ。
目に映る空はこんなにも青く晴れているというのに、私の心は暗く重い雨雲に覆われている。冷たい血潮はザーザーと酷い音をたて、手足の指先は凍ったように動かない。
数分前までの熱い鼓動が嘘のようだ。底抜けに明るい空に腹が立つ。
あの人が視界に入るだけで、あの声が耳に入るだけで、この胸はうるさいくらいに高鳴っていたというのに。熱い鼓動は今や絶望の鐘へと成り下がった。
「なんで?」と聞くのもバカらしい。「奪われた」、「盗られた」なんて言うのもナンセンス。
ただの友達で満足していた私がバカだったのかな?
分かってる……。
アイツはちゃんと行動した。フラれる事を覚悟で自分の気持ちを正直に伝えた。そしてそれが上手くいった。ただそれだけの事。
妬む私の眼に、二人の照れたような笑顔が映る。
ああ、なんて恨めしい。
キラキラと輝く二人に背を向け歩き出す。
さようなら初恋。土砂降りはまだ止みそうにないけれど、いつか晴れる日が来る事を私は知ってるよ。
ただ今は、思い切り泣かせて。